マーケター86%がAI活用も技術スキル停滞、日本EC事業者の3つの論点

マーケターのAI採用率が2025年に86%まで上昇する一方、技術スキルは停滞。日本EC事業者が楽天Amazon Shopify運営で今すぐ取るべき3つの初動を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

米国マーケターのAI採用率が2022年の44%から2025年には86%まで急上昇したものの、社内の技術スキル習得は追いついていないという調査結果を、米EC業界メディアModern Retailが2026年5月14日に発表しました。日本のEC事業者にとっても、ツール導入と人材育成のギャップは無視できないテーマです。本稿ではこの調査の要点を整理し、楽天・Amazon・Shopify・Yahoo!ショッピングを運営する日本のEC事業者がいま着手すべき具体策を解説します。

マーケティング担当者のAI活用イメージ

マーケターのAI採用率は4年で2倍、CAIO任命も加速

Modern Retailが142名のブランドとエージェンシーの専門家を対象に行った調査によると、マーケティング業務でのAI採用率は2022年44%、2023年57%、2024年71%、そして2025年には86%まで上昇しました。3年間でほぼ倍増した計算です。

活用形態の内訳を見ると、85%は既製のAIツールをそのまま使い、40%は既存の大規模言語モデルを使って自社用ツールを構築、独自LLMを開発しているのは19%にとどまります。多くの企業がGoogle Gemini、Adobe Firefly、Microsoft Copilot、Anthropic Claudeなど既存サービスを土台に据え、その上で社内向けのワークフローを組んでいる構図です。

組織面では、General Motors、Mastercard、ZocDocなど大手企業が相次いで最高AI責任者(CAIO)を任命する動きも顕著になっています。M7 Innovationsの創業者は調査の中で「ベースラインではみんなAIに慣れてきたものの、それでもギャップは残っている」と指摘しており、ツール利用率の高さが必ずしも社内スキルの底上げにつながっていない実態が浮かび上がります。

日本EC事業者にとっての論点:楽天・Amazon・Shopify運営の現場

経済産業省の電子商取引に関する市場調査によれば、日本のBtoC-EC市場規模はおおむね24兆円規模で推移しており、AI活用の巧拙が売上成長率を左右する局面に入っています(具体的な日本国内マーケターのAI採用率の最新値は要確認)。米国で86%まで進んだAI活用率に対して、日本のEC現場で同水準の浸透が起きているかは別問題で、ここに先行者利益のチャンスがあります。

楽天市場では商品ページのキャッチコピー生成やレビュー要約、Amazonではスポンサープロダクトの自動入札最適化、ShopifyではShopify Magicによる商品説明文の自動生成、Yahoo!ショッピングでは出品支援AIなど、各モールごとに使えるAI機能は揃いつつあります。問題はこれらを「触っている人がいる」状態と、「全店舗運営担当者が業務に組み込めている」状態には大きな差があることです。Modern Retailの調査が示すように、既製ツールを使うだけならハードルは低いものの、社内のスキル定着には別の投資が必要になります。

調査でCode and Theory共同創業者は「スキルアップと再教育こそが人間の創造性の価値を倍増させる」と語っています。日本のEC事業者にとっても、AI導入の競争軸は「どのツールを買うか」から「誰がどう使いこなすか」へシフトしつつあると捉えるべきです。

今後の展望と初動アクション

第一に、現場のAI活用度合いを可視化する社内アンケートを実施することをおすすめします。商品ページ作成、広告運用、レビュー対応、メルマガ、CS対応などの業務単位で「AIを使っているか」「使えていない理由は何か」を棚卸しすると、ツール導入だけでは埋まらないスキルギャップが見えてきます。

第二に、既製ツールの社内テンプレート化です。ChatGPTやClaudeで商品説明文を作る場合でも、社内で統一されたプロンプトテンプレートと禁止ワードリストを整備しないと、品質はばらつきます。Modern Retailの調査でも85%が既製ツール利用と回答しているように、まずはこの層を厚くすることが現実的です。

第三に、特定業務でのAI責任者を任命することです。CAIOのような大仰な役職でなくとも、商品ページAI担当、広告AI担当のように業務粒度で責任者を置くと、ナレッジが一人に貯まり、社内研修や引き継ぎが回り始めます。

第四に、月1回程度の社内AI事例共有会を設定することです。失敗事例も含めて共有することで、ツールの仕様変更やプロンプトの微調整にも対応しやすくなります。

第五に、外部研修やパートナー活用です。社内だけで全てを賄うのは現実的ではありません。ECモールが提供する公式研修や、AI導入支援を行うパートナー企業の活用も視野に入れるべきです。

まとめ

AI採用率86%という数字の裏には、ツールを使うだけでは追いつかないスキルギャップが横たわっています。日本のEC事業者にとっても、楽天・Amazon・Shopify・Yahoo!のいずれを運営していても、ツール導入と人材育成は両輪で進めるべきテーマです。次の一手は、社内スキルの可視化とテンプレート整備から始めるのが現実的です。

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引用元: Modern Retail


投稿者: 齋藤竹紘

齋藤 竹紘(さいとう・たけひろ) 株式会社オルセル 代表取締役 / 「うるチカラ」編集長     Experience|実務経験 2007年の株式会社オルセル創業から 17 年間で、EC・Web 領域の課題解決を 4,500 社以上 に提供。立ち上げから日本トップクラスのEC事業の売上向上に携わり、 “売る力” を磨いてきた現場型コンサルタント。 Expertise|専門性 技術評論社刊『今すぐ使えるかんたん Shopify ネットショップ作成入門』(共著、2022 年)ほか、 AI × EC の実践知を解説する書籍・講演多数。gihyo.jp Authoritativeness|権威性 自社運営メディア 「うるチカラ」で AI 活用や EC 成長戦略を発信し、業界の最前線をリード。 運営会社は EC 総合ソリューション企業株式会社オルセルTrustworthiness|信頼性 東京都千代田区飯田橋本社。公式サイト alsel.co.jp および uruchikara.jp にて 実績・事例を公開。お問い合わせは info@alsel.co.jp まで。

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