NVIDIA、AIエージェントCPU Veraで2000億ドル新市場を狙う

NVIDIAのフアンCEOがエージェント型AI向けCPU「Vera」で2000億ドルの新市場を宣言。決算と販売実績、AWSなど競合の動き、AIエージェント時代の計算基盤の変化を整理します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが、決算説明会で「2000億ドル(日本円でおよそ30兆円)の全く新しい市場を見つけた」と宣言しました。その主役は、これまで同社の本業ではなかったCPU製品の新型「Vera」です。GPUの王者が、なぜいまCPUに巨大な成長余地を見いだしたのか。AIエージェント時代の計算基盤がどう変わろうとしているのかを、事実関係に沿って整理します。

何が起きたか:Veraが切り開く「2000億ドルの新市場」

TechCrunchによると、フアンCEOは5月のNVIDIA決算説明会で、新型CPU「Vera」が「これまで手をつけたことのない、2000億ドルの全く新しいTAM(獲得可能な市場規模)を切り開く」と語りました。Veraは2026年3月に発表された製品で、NVIDIAの公式発表では「エージェント型AI向けに専用設計された世界初のCPU」と位置づけられています。

この決算自体も好調で、売上高は四半期で816億ドルと過去最高を更新し、次の四半期は910億ドルを見込むとしています。フアンCEOによれば、単体販売のVera CPUはすでに今年だけで200億ドルを売り上げており、「まだ始まったばかり」だといいます。Veraは単体でも、同社のGPU「Rubin」とセットでも販売されています。

NVIDIAはGPU市場では圧倒的な王者ですが、CPUはこれまでインテルやAMDの主戦場でした。その領域に専用設計で踏み込んだことが、今回の発言のポイントです。

なぜ重要か:AIエージェントは「CPUで動く」

フアンCEOの主張の核心は、AIの役割分担にあります。AIモデルが「考える」処理はGPUが担う一方、実際に作業をこなすAIエージェントの多くはCPU上で動く、という整理です。エージェントは割り当てられたタスクを処理するためにCPUを使い、将来的にはエージェント自身が「CPU駆動のPCのようなもの」を使うようになる、とフアンCEOは予測しています。

Veraがエージェント向けとされる理由は、設計思想にあります。従来のクラウド向けCPUは「コア」を増やして複数のアプリを同時にできるだけ速く動かす方向で進化してきました。これに対しVeraは、トークン(AIが扱う情報の最小単位)をできるだけ高速に処理することに特化して設計されているとされます。生成AIの推論やエージェントの動作は、まさにこのトークン処理の積み重ねであり、用途を絞り込んだ設計が差別化の根拠になっています。

背景には、競合の動きもあります。先月にはAmazon Web Servicesが、Metaと数百万個規模の自社製AI向けCPUの契約を結んだと報じられており、AmazonのアンディジャシーCEOはAI半導体でNVIDIAに匹敵、あるいは上回れるとの姿勢を示してきました。主要クラウド各社が独自チップ開発を進めるなか、NVIDIAがどこまで「エージェント向けCPUの本命」であり続けられるかが問われています。

今後の動き:「人間10億人、エージェント数十億」の世界

フアンCEOは、市場規模の根拠を利用者数の構造変化に置いています。「世界には10億人の人間ユーザーがいる。私の感覚では、世界はやがて数十億のエージェントを持つことになる」と述べ、その数十億のエージェントがそれぞれツールを使い、そのツールが今の人間にとってのPCのような存在になる、という見立てを示しました。そのうえで「もっと多くのCPUが必要になる」と結論づけています。

もっとも、こうした強気の予測には注意も必要です。TechCrunchの記事自体が、フアンCEOを「自社を語らせれば屈指の煽り役」と評しつつ、四半期ごとに実際に成果を出してきた実績があると両論を併記しています。2000億ドルという数字はあくまで同社が描く将来像であり、競合のクラウド各社や半導体スタートアップが自社チップ開発を加速させている点も含め、実現の度合いは今後の出荷実績で検証されていく段階にあります。

EC事業者にとって直接の業務変更が生じる話ではありませんが、注目しておく価値はあります。商品検索や接客、在庫判断などをAIエージェントが自律的にこなす流れが進めば、その裏側で動く計算基盤のコスト構造が、いずれ各種AIツールの料金や応答速度に跳ね返ってきます。エージェント型AIが「特別な機能」から「当たり前のインフラ」へ移る過程を、技術の土台から眺めておく一例として押さえておきたいニュースです。

まとめ

NVIDIAは、GPUに続く成長の柱として、エージェント型AI専用のCPU「Vera」で2000億ドル規模の新市場を狙うと宣言しました。すでに200億ドルを売り上げているとされる一方、AWSなど競合も自社チップで攻勢を強めており、強気の予測が現実になるかは今後の出荷で試されます。AIエージェントが社会に広がる土台が、いまチップ単位で組み替えられつつあります。

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引用元: TechCrunch


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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