セット商品企画をAIで|7パターンで設計し粗利まで検算するECスキル

セット商品やまとめ買いの企画を、値引率だけでなくセット1回あたりの粗利まで検算して設計できるAIスキルをEC事業者向けに解説します。在庫の抱き合わせを避ける考え方、化粧品3点セットの検算例、二重価格や特商法の注意点まで紹介します。

投稿日: カテゴリー EC×AI活用

セット商品企画スキルとは、セット販売を粗利まで検算して設計するAIスキルです。

セット商品やまとめ買いは客単価を上げやすい一方で、「単品合計より1,000円お得」と値引きだけを先に決めてしまい、送料やモール手数料を引いたら粗利がほとんど残らなかった、という失敗が起きやすい施策です。このセット商品企画スキルを使えば、値引率を決める前にセット1回あたりの粗利を実数で検算し、在庫の抱き合わせによる失敗も設計段階で避けられます。本記事は、EC支援19年・5,000社超の支援実績を持ち、AI導入支援を2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

このスキルは、ALSEL Agent Skillsとして配布しているスキル群の一つで、Claude CodeなどのAIエージェント環境から呼び出して使います。

セット商品企画スキルでできること

このスキルでできるのは、セット販売の企画づくりと粗利検算を一気に通すことです。理由は、セットの良し悪しが見た目の値引率ではなく、送料や手数料まで引いたあとの実質粗利で決まるからです。

具体的には、商品一覧(型番・単品価格・原価・販売数)、送料条件、モール手数料率や想定広告費率、顧客像といった情報を渡すと、セットの目的設定から構成案、価格設計、粗利検算、商品名案、画像構成の指針、モール登録時の注意点までを一つの企画書として出力します。セットの型は、お試し・まとめ買い・シーン同梱・ギフト・定期バンドル・詰替・松竹梅の7パターンから、目的に合うものを選んで設計します。なお、全体の粗利シミュレーションや送料無料ラインの試算、訴求コピーの作成などは役割の異なる別スキルが担当し、このスキルはセット企画に絞ります。

実際の使い方(起動から出力まで)

使い方は、やりたいことを言葉で伝えるだけです。起動のトリガーが自然文で用意されているため、たとえば次のような依頼で動きます。

  • 「化粧品のお試しセットを考えて」
  • 「まとめ買い3個・6個の値引率とセット粗利を試算して」
  • 「母の日のギフトセット案を出して」
  • 「定期バンドルの価格設計をして」

依頼を受けると、スキルはまず入力情報を整理し、不足している数値は「仮定」「不足情報」「確認したいこと」に分けて明示したうえで進めます。出力は、企画方針・構成案・価格と粗利の検算・商品名と画像構成・モール登録の注意点・最終チェックという構成の企画書です。構成品は主役品と補完品とスターター小物の3層を基本に選び、売れ筋と滞留品の抱き合わせにならないかを設計段階でチェックします。

セット商品でありがちな2つの失敗と、検算での防ぎ方

セット商品で起きやすい失敗は、大きく「値引率だけで判断する」ことと「在庫処分の抱き合わせ」の2つです。どちらも、顧客の購入動機と自社の粗利という肝心な軸を飛ばしてしまうからです。

一つ目の値引率だけで判断する失敗は、このスキルの最重要原則で防ぎます。スキルは、値引率を打ち出す前に、セット販売価格から構成品の原価合計、送料原価、モール手数料、想定広告費、その他コストをすべて引いたセット1回あたりの粗利を実数で出します。セットの本質は、単品ごとに広告・送料・梱包・カスタマー対応が必要なところを1回のCV(購入完了)にまとめて効率化する点にあります。だからこそ、値引率の大小ではなくCV1回あたりの実質粗利で判断するのが正しい見方です。

二つ目の在庫処分の抱き合わせは、構成品の選び方で防ぎます。スキルは、売れ筋に滞留品を紛れ込ませる構成を避け、顧客側の購入動機(節約・贈答・お試し・継続)に紐づいた組み合わせを設計します。もし在庫処分そのものが目的なら、セット化ではなくアウトレットや訳ありページとして分離することを勧めます。滞留品をセットに紛れさせると、売れ筋の印象まで下げてしまうためです。

化粧品3点セットの粗利検算例(例示値)

具体的な検算のイメージは、SKILL.mdに載っている化粧品3点セットの例が分かりやすいです。結論から言うと、この例ではセットにしたほうが単品を別々に売るより粗利が多く残ります。

例では、化粧水2,000円(原価800円)、美容液3,500円(原価1,400円)、日焼け止め1,800円(原価700円)の3点で、単品合計は7,300円です。これを10パーセント引きの6,580円でセット販売し、送料原価600円、モール手数料率10パーセント、広告費率5パーセントと仮定します。販売価格6,580円から、原価合計2,900円、送料600円、手数料658円、広告費329円を引くと、セット粗利は2,093円、粗利率は31.8パーセントになります。同じ3点を単品として別々に売った場合、送料と広告がCV3回分かかるため粗利合計は1,505円で、セットのほうが588円多く残る計算です。これらの数値はSKILL.mdの例示値(仮定)であり、実際は自店の原価・送料・手数料率に置き換えて再計算します。

モール登録と法規で気をつけること

セット企画で見落としがちなのが、モール登録の作法と価格表示の法規です。ここを外すと公開後に修正や指摘を受け、せっかくの企画が止まってしまうためです。

登録面では、楽天市場AmazonYahoo!ショッピングShopifyそれぞれで、JANは単品を流用せずセット用に新規採番すること、在庫を構成品と連動させるか別在庫にするかを事前に決めることが基本です。セットは送料を1回にまとめられるのが強みですが、送料無料ラインをいくらに置くかは別途詰める必要があり、送料無料ラインをAIで試算するスキルの解説記事もあわせて参考にしてください。

法規面では二つ押さえます。まず「単品合計より○○円お得」と打ち出すなら、比較対照にする単品価格に販売実績が必要です。景品表示法の二重価格表示の考え方では、最近相当期間にわたって販売されていた価格でないと不当表示のおそれがあるとされ、一般には8週間程度が目安として語られます。次に、定期購入を含むバンドルでは、特定商取引法が定める最終確認画面の表示事項(分量、販売価格や対価、支払いの時期と方法、引渡し時期、申込みの撤回や解除に関すること、申込期間の6項目)を反映する必要があります。順位や最上級をうたう表現を使う場合も、その根拠(主体・期間・対象・方法・出典)が要ります。スキルはこれらを注意点として提示しますが、薬機法や景品表示法のNG表現の細かいチェックは専用の別スキルと役割を分けています。

導入効果と、向いているEC事業者

このスキルの効果は、セット企画1本にかかる時間と判断ミスを同時に減らせることです。原価・送料・手数料・広告費を毎回手で拾い直すのは手間がかかり、入れ忘れて粗利を削るミスも起きがちですが、スキルに数値を渡せば内訳つきで粗利が出るため、確認と意思決定が速くなります。EC運営全体をAIで効率化する動きは広がっており、関連してClaude Opus 5でEC運営を自動化する取り組みの記事も公開しています。ただし粗利計算の正確さは人が用意した数値に依存するため、実数に置き換えて再計算する前提は変わりません。

向いているのは、セット商品やまとめ買いを日常的に企画する楽天市場やAmazon、自社ECの運営者です。まず試すなら、検討中のセット案を一つ、単品価格・原価・送料・手数料率とあわせてスキルに渡し、粗利がいくら残るかを検算するところから始めると分かりやすいです。本記事を執筆した齋藤竹紘は、EC・AI関連の書籍を3冊執筆し、5,000社を超えるEC事業者の支援に携わってきました。値引率だけで決めて粗利を削ってしまう失敗を、設計段階でとめるためのスキルです。

よくある質問

このスキルは在庫処分にも使えますか

いいえ、滞留在庫の処分が主目的なら、このスキルはセット化ではなく別ページでの分離を勧めます。売れ筋に滞留品を抱き合わせると、売れ筋の印象まで下げてしまうためです。処分が目的なら、アウトレットや訳ありとして分けて販売するのが適切です。

定期購入バンドルで特に注意することは何ですか

特定商取引法が定める最終確認画面の表示事項(6項目)を反映することです。定期は初回割引を大きくしがちですが、その場合は回収に何か月かかるかも試算します。割引だけを見て継続の採算を見落とすと、続けるほど赤字になりかねないためです。

参考文献

※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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