投稿者 TAKEHIRO SAITO投稿日: カテゴリー EC×AI活用
AIが変える買い物体験の未来
日本のEC市場は成熟期を迎え、新規顧客の獲得コストは年々上昇し、既存のマーケットプレイスへの依存度も高まっています。そんな中、AI検索エンジンのPerplexityが発表した新しいショッピング機能「Shop like a Pro」は、EC事業者にとって新たな販売チャネルの可能性を示すだけでなく、消費者の買い物体験そのものを根本から変える可能性を秘めています。
Perplexityは、これまで検索と情報提供に特化したAIプラットフォームでしたが、今回のアップデートで商品の検索から購入まで一気通貫で対応できるワンストップソリューションへと進化しました。この変化は、単なる機能追加ではなく、オンラインショッピングの在り方そのものを再定義する試みといえるでしょう。
革新的な機能が実現する新しい買い物体験
「Shop like a Pro」の中核となる機能は、米国のPerplexity Pro会員（月額20ドル）向けに提供される「Buy with Pro」です。この機能により、ユーザーはPerplexityのウェブサイトやアプリ内で直接商品を購入でき、配送先と請求先情報を一度保存すれば、ワンクリックで複数の小売業者から商品を購入できます。さらに、Buy with Proを利用したすべての注文には無料配送が付帯します。
「Snap to Shop」という画像検索機能も注目に値します。商品の写真を撮影するだけで、関連商品を表示するこの機能は、言葉で説明しにくい商品を探す際に特に有効です。日本市場では、ファッションやインテリアなど、ビジュアルが重要な商品カテゴリーで大きな価値を発揮する可能性があります。
Perplexityの最大の強みは、偏りのない客観的な商品推奨にあります。表示される商品カードはスポンサー広告ではなく、AIが各商品の特徴、価格、レビューを分析して選出した純粋なレコメンデーションです。この透明性の高いアプローチは、消費者の信頼を獲得し、より高いコンバージョン率につながる可能性があります。
無料の加盟店プログラムがもたらす機会
Perplexityは大手小売業者向けに無料の加盟店プログラム（Merchant Program）を立ち上げました。このプログラムは、Perplexityの新しいスポンサー付き質問広告製品とは完全に別物であり、純粋に商品データの共有を促進するためのものです。
プログラムに参加することで得られるメリットは多岐にわたります。まず、詳細な商品情報をPerplexityのインデックスに含めることで、推奨商品として表示される可能性が高まります。また、ワンクリック決済「Buy with Pro」への統合により、購入プロセスの簡素化も実現できます。
さらに注目すべきは、無料のAPIアクセスです。これにより、加盟店は自社のウェブサイトにPerplexity搭載の検索体験を構築でき、インデックスを自社商品のみに絞り込むことも可能です。また、カスタムダッシュボードを通じて、自社商品に関連する検索やショッピングのトレンドを把握でき、マーケティング戦略の最適化に活用できます。
Shopifyとの統合により、すでに多くのShopify加盟店の商品情報にアクセスできるようになっています。これは、特に越境ECを展開する日本企業にとって、米国市場への新たなアクセスポイントとなる可能性があります。
日本のEC事業者が今すぐ考えるべきこと
現在、この機能は米国のPerplexity Pro会員限定ですが、Perplexityは他の市場への展開も計画しています。日本のEC事業者は、この新しい販売チャネルに備えて、以下の準備を始めることが重要です。
商品データの整備は最優先事項です。AIが正確に商品を理解し、適切に推奨するためには、詳細で構造化された商品情報が不可欠です。特に、商品の特徴や利点を明確に記述し、高品質な画像を複数用意することが重要です。「Snap to Shop」機能を考慮すると、様々な角度や使用シーンの画像を準備することで、視覚検索での発見可能性が高まります。
また、グローバル展開を視野に入れた準備も必要です。英語での商品説明の充実、国際配送への対応、多通貨決済の準備など、越境ECの基盤を整えることで、Perplexityのような新しいチャネルが日本市場に参入した際に、迅速に対応できます。
最も重要なのは、AIとの共存を前提とした戦略の構築です。Perplexityのような対話型AIは、単に商品を検索するだけでなく、「99ドル以下のヘッドフォン」や「脂性肌向けのファンデーション」といった具体的なニーズに基づいた推奨を行います。このような検索行動に対応できるよう、商品説明に使用シーンや対象ユーザーの情報を含めることが重要です。
Perplexityが月間4億件以上の質問に回答し、その相当部分がショッピング関連であるという事実は、消費者の買い物行動がすでにAI中心にシフトしていることを示しています。日本のEC事業者は、この変化を新たな成長機会として捉え、積極的に対応していく必要があるでしょう。AIショッピングアシスタントは、もはや未来の話ではなく、現在進行形で起きている変革なのです。
引用: perplexity
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