目次
1.Amazon SEOの重要性と特徴
Amazonで商品を販売するなら、検索結果で自社商品を上位表示させる「Amazon SEO」は欠かせない知識です。なぜなら、約70~75%のユーザーはAmazonで商品を探す際、トップページの検索ボックスにキーワードを入力して検索を開始し、そのうち70%近くのユーザーは検索結果の2ページ目以降を見ないと言われています。つまり、検索結果の1ページ目に表示されなければ大半の顧客を取り逃がすことになるのです。Amazonは米国EC市場シェアの約40%を占める巨大プラットフォームであり、その検索エンジンで上位に表示されることは売上拡大のカギとなります。
しかし、Google等の一般的な検索エンジン最適化(SEO)とは異なり、Amazon独自の検索アルゴリズムによって最適化のポイントも異なります。Amazonはユーザーが「買いたい商品」を迅速に見つけられるよう、検索キーワードとの関連性だけでなく商品の販売実績や顧客満足度など購買に直結する要素を重視しています。本記事では、Amazonの検索アルゴリズム(A9および最新版のA10)の基本と仕組みから、商品タイトル・説明・箇条書き・画像・バックエンドキーワードといった商品ページ最適化の方法、さらにはカテゴリ選定、販売実績・レビュー・CTR/CR(クリック率・コンバージョン率)とSEOの関係、広告活用、競合分析、ガイドライン違反とならない裏技的テクニックまで、Amazon SEOの主要テーマを最新情報に基づき網羅的に解説します。
まずはAmazonの検索結果ページの構造を理解し、SEOで狙うべき領域を確認しましょう。Amazonの検索結果ページには、大きく「スポンサーブランド広告」「スポンサープロダクト広告」(いずれも有料広告)と「オーガニック検索結果(SEOによる自然検索部分)」の3つが表示されます。PC画面の例では、トップにブランド広告(緑枠)、次にスポンサープロダクト広告(青枠)が表示され、その下に赤枠で示すオーガニック検索結果が続きます。Amazon検索結果ページの例(緑枠:スポンサーブランド広告、青枠:スポンサープロダクト広告、赤枠:SEOで順位が決まるオーガニック結果) 広告枠より下のオーガニック結果部分で自社商品を1ページ目上位に表示させることが、Amazon SEO対策のゴールとなります。
2.Amazonの検索アルゴリズム:A9からA10へ
✓ A9とA10アルゴリズムの基本
Amazonの検索順位を決定しているのは、Amazon独自の検索アルゴリズムです。従来このアルゴリズムは社内で「A9」と呼ばれてきましたが、2020年頃からの大幅アップデートにより現在は一般に「A10」アルゴリズムと呼称されています(※Amazon公式がこの名称を使用しているわけではなく、あくまで業界での俗称です)。A10はA9の後継バージョンであり、本質的な仕組みはA9を踏襲しつつも特定の要素の重要度のウェイトが変化している点が特徴です。
Amazonのアルゴリズムの目的は顧客の検索意図に最もマッチし、かつ購入されやすい商品を上位に表示することです。そのため、Google検索のような被リンク評価等は考慮されず、以下のような「関連性」と「販売実績」に関わる要素がランキング決定に用いられていると推測されています:
- 検索キーワードとの関連性:商品タイトル、箇条書き(商品仕様)、商品説明、検索キーワード(後述のバックエンドキーワード)などに検索語が含まれているか。特にタイトルは最重要で、ここに主要キーワードが入っているかがまず評価されます。
- 販売実績:その商品の売上件数や販売履歴。売れている商品は「顧客に支持されている」と見なされ、上位に表示されやすくなります。最新のA10では商品単体の利益よりも検索キーワードとの適合度(関連性)と実際の売れ行きが優先され、たとえ新商品でも検索意図に合致し売れる商品なら上位表示され得ると言われます。
- コンバージョン率(成約率):商品ページの訪問者に対し購入に至った割合(ユニットセッション率とも呼ぶ)も重視されます。A10ではクリック率(CTR)とともに重要視され、CTRが高くても購入に繋がらなければ評価されませんが、CTRが高くコンバージョン率も高い商品はランキングが向上します。
- 在庫の有無・保持率:在庫切れの商品は検索結果に表示されないため、在庫を切らさず安定供給できていることも評価対象となります。在庫が潤沢であれば顧客ニーズに即応できるため信頼度が上がり、ランキング上有利になります。実際、FBA在庫の有無が検索順位に大きく影響するとの実験結果も報告されています。
- カスタマーレビュー(評価と件数):高評価かつレビュー件数が多い商品は転換率向上につながるため以前からSEO要因とされてきました。ただし近年、やらせレビュー問題への対処で直接の重みは下がった可能性がありますが、それでも正当な高評価商品は依然有利でしょう(少なくとも購買転換には寄与します)。
- 出品者の評価(セラー評価やアカウントヘルス):出品者アカウントの健全性、出荷遅延やキャンセル率、対応品質などのセラー信頼度も考慮されると言われます。評価の低い出品者の商品はBuy Box獲得も難しく、SEO上も不利になり得ます。
- クリック率(CTR):検索結果に表示された際にどれだけクリックされるかも重要です。魅力的なタイトルやメイン画像でCTRが高い商品は、「顧客の興味を引く relevant な商品」と評価されランキング向上につながります。
- 価格競争力:価格自体はアルゴリズムの直接要因ではありませんが、競合商品より明らかに割高だと購入されにくく転換率低下→ランキング低下に繋がります。適正かつ魅力的な価格設定は間接的にSEO効果を持ちます。
以上のように、Amazon SEOでは「検索キーワードとの関連性を高める内部対策」と「販売実績や転換率など外的要因の向上」という両面からの施策が必要です。特にA10アルゴリズムでは、従来よりも出品者の信頼性(アカウント評価や在庫状況)、外部からのトラフィックなども重視されるようになったと言われます。例えば「オーガニック(自然検索からの)販売実績」が広告経由の販売よりも強いランキング効果を持つことや、Amazon外のサイト・SNSからの集客による売上がランキングにプラスのシグナルを送ることが指摘されています。実際Amazon公式も、外部流入から購入した顧客はプラットフォーム内検索からの顧客より平均購入額が15%高いとのデータを公表しており、外部からの質の高いトラフィック獲得を推奨しています。
✓ 2024年の新展開:AIによる検索の進化
さらに最新動向として、AmazonはAI技術を用いた新アルゴリズム「COSMO」や生成AI「Rufus(ルーファス)」を開発・導入し始めています。COSMO(Common Sense Model of Objects)は2023年に発表された機械学習モデルで、従来のA9ベースのアルゴリズムを強化し、消費者の購入履歴や検索行動、一般的な常識知識まで学習して高度にパーソナライズされた検索結果を提供するものです。一方Rufusは自然言語処理に基づくAmazon独自の生成AIで、ユーザーの検索意図や購買動機を深く分析し、関連商品やコンテンツを動的に生成・レコメンドする役割を担っています。例えば商品説明が不足している場合に補完的な説明文を自動生成して表示するといった機能で、顧客の理解を助け購買促進につなげる技術です。
これら最新AIの導入により、Amazon検索は今後さらにユーザー体験重視(検索意図の的確な把握と満足度向上)へシフトしていくと見られます。ただし基本となる「適切なキーワードによる関連性確保」と「商品力(売上・評価)の向上」というSEOの本質は不変です。アルゴリズムが高度化するほど小手先のテクニックは通用しにくくなり、結果的に「良い商品を適切に最適化して提供する」王道戦略がより重要になるでしょう。次章からは、その王道である商品ページの最適化手法について具体的に解説していきます。
3.商品ページの最適化:キーワードとコンテンツ戦略
Amazon SEOの内部対策としてまず取り組むべきは、商品ページ内の各要素を最適化し、狙った検索キーワードとの関連性を高めることです。Amazonの商品ページには、SEOに関係する主要な要素がいくつかあります:
- 商品タイトル(商品名) – 検索順位に最も大きな影響を与える要素。商品を象徴するキーワードは必ず含め、かつユーザーがクリックしたくなる魅力的なタイトルにする必要があります。
- 商品説明の箇条書き(Bulletポイント、商品仕様) – タイトル下に表示される5つまでの特徴箇条書き。キーワードを盛り込みつつ、商品の特徴・利点を分かりやすく伝えることでコンバージョンにも寄与します。
- 商品説明文(プロダクトディスクリプション) – 詳細な説明テキスト。ブランド登録済みならA+コンテンツ(商品紹介コンテンツ)として画像やリッチテキストで魅力を伝える部分です。
- 商品画像(メイン画像・サブ画像) – 購入の決め手となる重要要素。直接キーワードには関与しませんが、CTRと購入率を左右するためSEOに間接影響します。
- 検索キーワード(バックエンドキーワード) – 商品ページ上には表示されませんが、セラーセントラルの商品編集画面で設定する検索用語欄です。ここに関連キーワードを補完的に登録することで、商品ページ上のテキストにない検索語でもヒットさせることができます。
以下、それぞれの要素について最新のガイドラインやベストプラクティスを解説します。
1. キーワードリサーチ:適切な検索語を見つける
効果的な最適化は、適切なキーワード選定から始まります。自社商品を探す際に顧客が使いそうな言葉を徹底的に洗い出しましょう。キーワードリサーチのステップとして、以下の方法がおすすめです:
- Amazonサジェストの活用: Amazonの検索バーに関連しそうな語を入力し、自動表示されるサジェスト(補完キーワード)を確認します。サジェストは実際によく検索されている語句で需要を反映しています。例えば「スマホ 三脚」と入れて候補に「スマホ 三脚 リモコン付き」等が出れば、それらは重要な関連語と言えます。
- 関連キーワードツールの利用: 無料の外部ツール(例:ラッコキーワード)を使うと、AmazonサジェストやGoogleサジェストを一括取得できます。また、検索ボリューム(月間検索回数)の概算が分かるツールや、競合度を推測する指標を提供する有料ツール(例:Helium 10やセラースプライト)も有効です。実データに基づき「よく検索され競合も多いキーワード」「ニッチだが確実に刺さるキーワード」をリストアップしましょう。
- 競合商品の分析: 同カテゴリで上位表示されている競合の商品ページを調査し、タイトルや箇条書きにどんなキーワードが使われているかチェックします。特に競合の商品に付いている「Amazon’s Choice」や「ベストセラー」バッジは、その商品が特定キーワードで人気であることを示す指標なので注目です。競合が狙っているキーワードは自社にも関連する可能性が高いため、漏れなく洗い出します。
- Google検索キーワードの活用: ユーザーはAmazonの前にGoogleで商品情報を探している場合もあります。Googleのサジェストやキーワードプランナーから関連語やトレンドを得て、それがAmazonでも需要があるか検討します。例えばGoogleでよく検索される商品ニーズ(「〇〇 おすすめ」等)はAmazon内検索にも波及することが多いです。
- 顧客レビューやQ&Aの分析: 自社や競合商品のレビュー文やQ&A欄に、顧客がどんな言葉で商品を表現しているかヒントが隠れています。専門用語ではなく日常的な呼称や、用途に絡むキーワードが見つかるかもしれません。
こうした調査でリストアップしたキーワードから、特に重要なものを厳選して商品ページに反映します。闇雲に関連語を大量投入するのではなく、自商品の訴求に合った適切な語を選ぶことが大切です。Amazonは「非常に多くの関連キーワードを詰め込むこと」より「絞り込まれた重要なキーワードを適切に入れること」を求めている、と指摘されています。キーワードの選定段階からこの点を意識しましょう。
参考: キーワード調査には専用ツールの活用も効果的です。例えば日本のAmazonセラーにも利用者が多い「セラースプライト」では、商品カテゴリごとの検索ボリュームデータや競合状況指標(クリック集中度など)が提供されており、効率よく有望キーワードを発見できます。
2. 商品タイトルの最適化
商品タイトル(商品名)はAmazon SEOで最も重要な要素です。Amazon内検索・外部検索の双方でヒット率を高め、かつ検索結果一覧でユーザーの目を引くタイトルにする必要があります。
最適化のポイントは次のとおりです:
- 主要キーワードを必ず含める: リサーチで特定した主要な検索語をタイトル内に組み込みます。特にタイトルの前半に重要キーワードを置くとヒット率が上がると言われます。例えば「Bluetoothイヤホン」で上位を狙いたいなら、「Bluetoothイヤホン 防水 ワイヤレスマイク付き…」のように冒頭から関連語を入れます。
- タイトル長さの目安: 60文字前後、80文字以内が推奨の目安です(Amazon公式は200文字まで許容しますが、長すぎると可読性が下がりCTR低下につながります)。一方、日本のAmazonガイドラインでは全角50文字程度までを推奨としているケースもあります。カテゴリにもよりますが、重要情報を盛り込みつつ冗長にならない長さを心がけましょう。
- 構成要素と順序: 「メーカー/ブランド名 + 一般的な商品名(カテゴリ名)+ 特徴(仕様・カラー・サイズなど)+ 型番/容量等」といった順で記載すると分かりやすく網羅的です。例:「Anker(ブランド) モバイルバッテリー 10000mAh 大容量 超軽量【PSE認証】2台同時充電対応」といった形です。
- 禁止・不適切な表現は避ける: Amazonの商品名ガイドラインに反する文言は入れないようにします。典型例として、「セール」「送料無料」「公式」「日本一」などの主観的・宣伝的フレーズ、絵文字や特殊記号、他社ブランド名の無断使用などはNGです。また「人気商品」「ベストセラー」などの主観表現も禁止されています。これらを入れると低品質な出品と見なされ検索順位が下がる可能性もあります。ガイドライン違反は最悪の場合カタログ抹消につながるため注意が必要です。
- キーワードの重複は不要: 同じキーワードをタイトル内で繰り返してもSEO効果は高まりません。むしろ不自然・スパムと判断されかねないため、主要キーワードはそれぞれ一度入れれば十分です。例えば「えんぴつ」を売るのに「えんぴつ えんぴつ えんぴつ」と連呼する必要はなく、1回でOKです。
- ユーザー目線で魅力を伝える: キーワード詰め込みだけでなく、ユーザーがその商品を選ぶ決め手となる情報を盛り込みます。色・サイズ・材質・数量・適合機種など、購入前に知りたい要素はタイトルに含めるとクリック率向上につながります。ただし何でも詰め込むと冗長になるので、本当に訴求したい特徴に絞りましょう。タイトルは商品を一言で的確に表現したキャッチコピーと考えると良いでしょう。
(参考:Amazon公式ヘルプ「商品名のガイドライン」も随時確認し、各カテゴリーのルールに従ってください。)
3. 商品説明文の最適化(基本説明とA+コンテンツ)
商品説明文(プロダクトディスクリプション)は、商品ページ下部に表示されるテキストエリアで、商品の詳細情報や使用方法などを記載します。特に購入検討中の顧客の疑問を解消し、購買意欲を高めることが目的です。
最適化のポイント:
- 詳しく丁寧に書く: 商品の仕様、使い方、メリット、他社商品との違いなど、可能な限り詳しく記載します。ここに含めた情報はAmazon内検索の索引付け(インデックス)対象にもなり得るため(※ブランド登録出品の場合、基本説明文はA+コンテンツと差し替わりますが、A+未登録キーワードは検索に使われるとの情報もあります)、キーワードも適度に織り交ぜるとよいでしょう。ただし不自然な詰め込みは禁物です。
- A+コンテンツの活用: ブランド登録出品者の場合、無料で利用できるA+コンテンツ(商品紹介コンテンツ)をぜひ活用しましょう。A+コンテンツでは画像とリッチテキストを組み合わせて商品やブランドの魅力を訴求できます。Amazonのデータによれば、A+コンテンツを追加すると平均5.6%売上が向上したとの報告もあります。A+部分のテキスト自体は検索アルゴリズムに直接影響しないと言われますが、画像に設定する「代替テキスト」(altテキスト)は検索に寄与する可能性があります。A+画像を追加する際は、各画像に関連キーワードを含む簡潔な説明(100文字以内程度)をaltテキスト欄に入れておくと良いでしょう(これもガイドライン順守の範囲で)。
- 読みやすいフォーマット: 長文になりすぎると離脱を招くため、段落分けや箇条書き等で読みやすく整形します。AmazonではHTMLの一部タグ(<b>, <br>, リストタグなど)が使用可能でしたが、2021年以降順次基本説明文でのHTML装飾が無効化されました。そのため現在はプレーンテキストで簡潔にまとめる方が安全です(改行は可能)。ユーザーに伝わりやすいシンプルな表現を心掛けましょう。
- 禁止事項の遵守: 説明文でも、連絡先情報の記載、他サイトへの誘導、自社サイトでの直接購入促進、過度な誇張表現、根拠のない効能効果の断言等はガイドライン違反です。特に医薬品的な効果表現や、安全性に関する誤認させる表現は厳禁です。公式の「ルールとポリシーを遵守」のリンクに目を通し、問題のない範囲で説明文を作成してください。
4. 箇条書き(Bulletポイント、商品仕様)の最適化
商品説明の箇条書き(商品仕様欄、Bulletポイント)は、商品の主な特徴を5つまで箇条書き形式で示すセクションです。PCではタイトル下部、スマホでは「商品情報」欄に表示され、非常に目立つ位置にあります。ここはユーザーが商品を比較・検討する際に真っ先に読む部分なので、SEOと同時に転換率向上の観点からも最適化が重要です。
最適化のポイント:
- 5つすべて埋める: 箇条書きは最大5件まで登録できますが、可能な限り5つ全て活用しましょう。一つひとつに商品の重要なメリット・仕様を盛り込み、ユーザーに「この商品は自分のニーズに合っている」と理解させる情報を提供します。
- 文字数制限を守る: 5項目合計で1000文字以内が公式推奨です(1項目あたりではなく5つ合計で1000文字)。各項目は100~200文字程度を目安にすると読みやすく、情報量も確保できます。長すぎる箇条書きは途中で途切れて表示されないこともあるため注意してください。
- キーワードを適度に含める: 箇条書きにも関連キーワードを盛り込めば検索ヒットの助けになります。ただし箇条書き内のキーワードは必ずしも全部がインデックスされるとは限らないとも言われます。よって箇条書きの本来目的である「商品の訴求」にまず注力し、キーワードは不自然にならない範囲で散りばめる程度にしましょう。それより箇条書きの充実自体が購入意欲を高め結果的にSEOに効く(売上増につながる)という視点が大事です。
- ユーザー視点のメリット表現: 各項目は単にスペックを羅列するだけでなく、「その特徴がユーザーにとってどんなメリットがあるか」を述べると効果的です。「○○な設計 – 長時間使用しても疲れにくい」「○○対応 – 幅広いデバイスで利用可能」等、特徴+利点をセットで書くと魅力が伝わります。
- フォーマットと文体: 文頭は大文字や数字から始め、簡潔なフレーズで要点を示すのが一般的です(例: 「🎧【Hi-Fi高音質】~」のように強調)。Amazon公式では「シンプルな表現で、ピリオド(終止符)を付けない」ことが推奨されています。各項目は箇条書きとして完結する文にし、改行や箇条書き内でのリスト化は避けます。また、セラー独自の情報(発送方法や保証、価格等)は含めない決まりです。
- 一貫した順序: 複数商品を扱っている場合、箇条書き項目の順序や書式は統一するとブランドイメージ的にも良いでしょう。例えば1項目目はいつも素材/品質、2項目目はサイズ/適合、3項目目は保証内容…といった具合に統一すると、複数商品を横断して比較するユーザーにも情報を探しやすくなります。
5. 商品画像の最適化
画像は購入率(コンバージョン)を左右する極めて重要な要素です。でも触れたように、検索結果一覧にはメイン画像が小さく表示され、ユーザーはまず画像とタイトルを手掛かりにクリックするか判断します。従って画像最適化はCTR改善に直結し、結果的にSEOにも間接効果があります。
最適化のポイント:
- 画像点数: メイン画像1枚 + サブ画像最大8枚(カテゴリーにより異なる場合あり)をフル活用しましょう。複数の高品質画像がある商品ページは、情報量の多さからユーザーの想像力を刺激し購買意欲を高めます。できれば最低5枚以上は用意したいところです。
- メイン画像の要件: メイン画像は検索結果や商品ページのトップに表示される写真で、背景は純白(RGB値255,255,255)、商品全体が画像の85%以上を占め、付属品以外の余計なオブジェクトやテキストを含めない、など厳格なルールがあります。また推奨サイズは1600px以上の正方形で、これにより拡大ズーム機能が有効になります。高解像度でクリアな商品写真を用意しましょう。
- サブ画像の活用: サブ画像では、メインでは見せきれない別角度・使用シーン・サイズ比較・機能説明などを表現します。例えば着用イメージ、製品寸法を示す図、特徴機能を説明するグラフィック、パッケージ内容一覧など、多面的に商品の情報を伝えましょう。テキスト説明を画像内に入れることも許されていますが、フォントが小さすぎるとスマホで読めないため注意です。
- CTRを意識した魅力: とりわけメイン画像はCTRに直結するため、「一目で他の商品と差別化でき、魅力が伝わるか」を意識します。可能ならプロカメラマンに依頼して照明や背景にもこだわった高品質写真を用意すると良いでしょう。また、競合がみな似たような写真の場合、自社だけ小物を加えて使用イメージを出す、色で目立たせる等の工夫でクリック率が向上するケースもあります。
- 画像ガイドライン遵守: 画像にも禁止事項があります。例えばメイン画像での文字入れ、ロゴ以外のグラフィックはNG、また過度な性的・暴力的表現や著作権侵害物も当然禁止です。ガイドラインに違反すると掲載停止になりますので、公式の「画像ガイドライン」を確認し準拠してください。
※画像自体は検索キーワードとの直接的な関連性要因ではありませんが、良い画像はクリックを生み、クリックは売上に繋がり、結果としてランキング上昇に寄与します。逆に画像が悪ければどんなにタイトルや価格が良くてもクリックされず機会損失となります。画像最適化も広義のSEOと捉え、手を抜かないようにしましょう。
6. バックエンドの検索キーワード(Search Terms)の最適化
検索キーワード(Search Terms)欄は、セラーセントラルの商品編集ページ内「キーワード」タブにあるフィールドで、商品ページ上には表示されない隠れたキーワード設定項目です。ここに入力した単語もAmazon検索のインデックス対象となり、商品タイトルや説明文には含めにくい語を補完できます。
バックエンドキーワード最適化のポイント:
- 補完用途に徹する: タイトルや説明に入れられなかった関連キーワードや同義語、略語、誤字変換などをここに入れます。例えばタイトルに入れられなかったカラー名、英語別表記、スペイン語名、略称、よくあるスペルミスなどです。重複は不要なので、すでに商品ページ本文に含めた単語は入れる必要はありません。
- 文字数・書式ルール: 半角スペース区切りで単語を連結し、全体で500バイト以内が上限です(※ファッション系など一部カテゴリは250バイト制限)。日本語は1文字3バイト換算のため約166文字程度ですが、実際はスペース等除外される文字もあるので入力後にセラーセントラル画面で「○○バイト残り」と表示されるのを確認しましょう。またアルファベットは大文字小文字区別なしなので、どちらか一方だけでOK。カンマやセミコロン、句点は区切りとして認識されないので使わずスペースで区切ります。
- 禁止キーワード: バックエンドとはいえ、入力してはいけない語があります。具体的には:
- 他社の商標やブランド名、競合商品名、他社ASIN等
- 主観的表現(“最高” “人気”など)や一時的状況(“新発売” “セール中”など)
- 不適切な言葉、公序良俗に反する語
- 汎用すぎるカテゴリー名(“本” “家具”など単体では意味の広すぎる語)
これらを入れると最悪アカウント健全性に響くため厳禁です。また医薬品的効能や禁止成分名などは当然ながらNGです。ガイドラインにある「検索キーワードのルール」を定期的に確認し、違反しないようにしましょう。
- 詰め込みすぎない: 制限バイト数いっぱいまで無理に詰め込む必要はありません。関連性の薄い語を入れても検索ヒットはしても購入されないため無意味ですし、場合によっては関連性スコアを下げる可能性も指摘されています。「この商品に確かに関係があり、検索されそうだが本文には入れづらい語」を厳選して入れましょう。なお入力する単語の順序は特に関連性スコアに影響しないと言われます(AND検索的に扱われるため)が、複数語の組み合わせも網羅したい場合はスペースで区切るだけで自動組み合わせ検索されます。たとえば「スマホ ケース 耐衝撃」と入れれば「スマホ耐衝撃ケース」「耐衝撃 スマホ ケース」などもカバーされます。
以上が商品ページ内の各種コンテンツ最適化の基本です。次章では、こうした内部要因以外にAmazon SEOへ影響を与える外部・付随要因について解説します。
4.ランキングに影響を与えるその他の要因
商品ページの内容最適化に加えて、Amazonでは商品や出品者のパフォーマンスに関わる要素も検索順位に影響します。ここでは主なものを取り上げます。
1. 販売実績(売上件数・売上速度)
前述のとおり販売実績はAmazonランキングの重要指標です。商品が売れるほど、その商品ページは「人気・実力がある」と見做され上位に押し上げられます。特に特定の検索キーワード経由での売上が多ければ、そのキーワードの検索結果で上位表示されやすくなります。
新規出品直後の商品はこの販売履歴がないためSEO的には不利ですが、初動で広告やプロモーションを使って販売件数を稼ぐことが後の自然検索順位向上につながるでしょう。売上履歴は短期的な急上昇だけでなく継続的な安定売上も重要です。季節要因なども踏まえ、コンスタントに売れ続けるよう在庫と販売戦略を整えましょう。
2. ユニットセッション率(コンバージョン率)
ユニットセッション率とは、商品ページのセッション数に対する購入ユニット数の割合です(一人が複数個買うと率が上がる点が一般的な購入者ベースのコンバージョン率と異なります)。この指標が高い=「ページ訪問者が高確率で購入している」状態であり、Amazonはそうした転換率の高い商品を上位表示させたいと考えます。
ユニットセッション率を上げるには、カートボックス(Buy Box)の獲得、良いレビュー評価の蓄積、魅力的なページ作り(タイトル・画像・価格・説明の一貫性)など総合的な施策が必要です。特にBuy Boxを獲得できていないと(出品者が複数いて自社がBuy Box負けしている場合など)どんなにページを訪れても購入に繋がらないため、健全な出品者パフォーマンスでBuy Boxを取ることが先決です。
3. 在庫管理とFBAの利用
在庫切れはSEO上の大敵です。Amazonでは在庫切れ商品は検索結果に一切表示されなくなるため、たとえ以前に1ページ目上位だった商品でも在庫ゼロになれば圏外になります。常に在庫を切らさない供給体制を構築することは基本中の基本です。特に需要が急増するセール時期(プライムデー等)の前にはFBA倉庫へ十分に在庫補充するようにし、機会損失を防ぎましょう。
また在庫関連では、FBA(フルフィルメント by Amazon)を利用するか否かもランキングに影響します。FBA利用商品にはプライムマークが付き、Prime会員に訴求できるだけでなく、アルゴリズム上も有利になる仕組みがあります。ある調査では約75.5%のセラーがFBAを利用しており、今や使わないこと自体が相対的なマイナスとも言われます。FBA利用により出荷遅延リスクや配達スピードも向上し、結果として顧客満足度・転換率アップ→SEO効果につながるので、可能な限りFBAを活用しましょう。
4. カスタマーレビュー(商品レビュー)
商品レビューの星評価と件数も長らく重要視されてきた要因です。高評価の商品は購入率が高まるため間接的にランキングを押し上げますし、Amazonも顧客満足度の指標として評価を参照していると考えられます。ただし、昨今はサクラレビュー問題への対処のためレビューだけで機械的に順位決定しない傾向も指摘されています。かつては大量のやらせレビューで短期的に上位表示する裏技もありましたが、年々通用しにくくなっています。
とはいえ正当に集めた高評価レビューは依然価値があります。レビュー数が0よりは1、1よりは10とある方がコンバージョンも上がりますし、競合と比較された際の信頼度に差が出ます。したがって地道にレビューを集める努力(良質な商品提供とフォローアップ、Vineプログラムの活用等)は続けましょう。ただし決してやらせレビュー(家族知人からの不正取得やインセンティブ提供レビュー)に手を出さないことです。Amazonは不正レビュー検出アルゴリズムを強化しており、発覚時はレビュー削除やアカウント停止等の厳しいペナルティがあります。
5. 出品者評価(セラー評価)
出品者評価(ショップレビュー)とは、購入者がセラー(販売元)に対して付ける星評価です。注文から数日後にAmazonから購入者へアンケートメールが送信され、配送の迅速さや商品説明との一致度、対応の丁寧さなどについて5段階評価されます。回答率は低めですが、特に自己発送(FBM)の場合は配送トラブル等で低評価が付くリスクがあります。セラー評価が著しく低いと、Buy Box獲得も難しくなり、SEO的にも不利になる可能性があります。Account Healthや顧客満足度を高く維持すること(遅延ゼロ、キャンセル率低減、問い合わせ迅速対応など)は、ひいてはSEOにもプラスに働くと心得ましょう。A10アルゴリズムでは「出品者の権威性(seller authority)」が要因の一つと言われ、在庫数や評価スコアを含む出品者全体の実績が考慮されるとの分析もあります。
6. クリック率(CTR)と関連性
CTR(クリック率)は「検索結果に表示された際にクリックされる割合」で、A10ではこれも重要視されるようになっています。CTRが高いということはユーザーにとって魅力的で検索意図にマッチした商品だと推測できるため、AmazonはCTRが高い商品の順位を上げる傾向があります。ただしCTR単独ではなく、その後のコンバージョンまで見て最終評価されます。CTRが高いのに売れない商品は一時的に表示されても徐々に下がっていくでしょう。
CTRを高めるには既に触れたタイトル最適化やメイン画像の工夫がカギとなります。また、カスタマーレビューの星(平均評価)や件数も一覧で表示されるため、評価4以上&レビュー多数の商品はクリックされやすい傾向があります。価格ももちろん比較要素です。要は検索結果一覧で自社商品の表示が他より魅力的に映るよう総合力を高めることがCTR向上→SEO向上につながります。
7. カテゴリー選定と関連性
商品のカテゴリー(Amazon内の商品分類)も適切に選ぶ必要があります。Amazonの検索では絞り込みフィルターとしてカテゴリーが使われる他、検索アルゴリズム自体も「その商品がどのカテゴリーに属しているか」を見て適合性を判断すると考えられます。例えばユーザーが「ランニングシューズ」と検索した場合、スポーツ用品カテゴリー内の該当商品が優先表示され、全く無関係なカテゴリー登録の商品は表示されにくくなります。
最も関連性が高い正しいカテゴリに出品することは基本ですが、中には意図的に競合の少ないカテゴリに入れて露出を稼ごうとする手法も存在しました。しかしAmazonは商品と無関係なカテゴリ登録を検出するとカテゴリ移動や最悪出品停止にするため、正攻法で適切なカテゴリ・サブカテゴリに登録するのが安全です。また一部カテゴリでは属性(絞り込み項目)も重要です。色・サイズ・ブランド名などの項目を正しく設定しておくと、検索結果でのフィルタ一致により露出機会が増えます。カテゴリ選択時や出品時に提示される項目は漏れなく埋め、正確なデータを入力しましょう。
5.Amazon広告(PPC)とSEOの関係
Amazon内広告(PPC広告)は、スポンサープロダクトやスポンサーブランドなど自社商品を検索結果や商品ページに露出させる有料施策です。広告自体はSEO(オーガニック順位)とは別枠表示ですが、広告運用は間接的にSEOに大きく寄与します。
✓ 広告は直接ランキング要因ではないが売上増で貢献
A9アルゴリズムの時代、一部では「広告を回すと有利になる」とも言われましたが、A10では広告出稿そのものはランキング決定要因ではないとされています。Amazon側も「広告を出す=上位表示」は望ましくないと考えるでしょう。ただし広告経由の売上やトラフィックは結果的に販売実績を増やし、SEOにプラス効果があります。特に新商品は実績ゼロから始まるため、最初は広告投資で販売実績とレビューを積み上げる方が近道とも言われます。
まとめると、広告→売上増→オーガニック順位向上という間接効果が期待できるため、SEOと広告運用は車の両輪です。以下、広告とSEOを連携させるポイントを挙げます。
- キーワード選定の連携: 広告キャンペーンで手動ターゲティングする際のキーワードは、SEOで狙うものと基本一致します。広告のクリックやコンバージョン実績データから、どの検索語でよく売れたか分析し、それを商品ページ内にも反映する(タイトルやバックエンドに追加等)アプローチが有効です。逆にSEOで上位表示できているキーワードは広告では入札額を下げるなどメリハリをつけると良いでしょう。
- 初期ローンチ時の戦略: 新商品はまずスポンサープロダクト広告(自動と手動両方)で露出を増やし、レビュー獲得までの販売実績を作ります。この際多少赤字でも広告費をかけることで、後々オーガニックで上位に入れば回収できます。軌道に乗るまでのブースト策として広告は積極的に活用しましょう。
- 広告で得た露出を無駄にしないページ最適化: 広告でせっかく集めたクリックを購買につなげるため、商品ページは万全に整えておきます(画像・説明・価格・在庫・評価の総合力向上)。広告の効果でCTRやセッションは増やせても、ページが悪ければコンバージョンせずSEOにもつながりません。広告費の無駄遣いにならないようSEO視点での商品ページ品質を高めておくことが前提です。
- 外部広告の活用: Amazon内のPPCだけでなく、FacebookやInstagram等の外部広告でAmazon商品ページに誘導することもA10では評価されるとされています。Amazonは外部から顧客が来るとプラットフォーム全体の利益が増えるため、外部流入に報奨を与える形でランキング上有利になるという分析です。Amazon Attributionなどを活用して、外部広告で質の高いトラフィックを流入させるのも高度なSEO戦略の一つです。
要注意なのは、広告を出しているからといってそれだけで有利にはならない点です。広告を使いつつもしっかり売上につなげ、レビューを増やし、商品の評価を高めていくことで初めてSEO効果が出ます。Amazonも「広告費だけに頼らず、外部集客や商品自体の魅力向上にも注力せよ」とアドバイスしています。広告とSEOのバランスを考え、総合的なマーケティング戦略を立てましょう。
6.競合分析と差別化戦略
Amazonでは常に競合他社の商品と比較されます。同じような商品が並ぶ中で自社商品を選んでもらうことが、ひいてはSEO成功(売上増→ランキング上昇)の条件です。そこで重要になるのが競合分析と差別化戦略です。
✓ 競合商品の徹底調査
まずはキーワード検索で上位に来ている競合商品ページを徹底的に調べます。注目すべき点:
- 競合のタイトル・箇条書き・説明文: どんなキーワードが使われ、どんなセールスポイントを押し出しているかを確認します。自社商品との共通点・相違点を洗い出し、自社に足りない訴求ポイントがないか探ります。例えば競合が「〇〇認証取得」と書いているなら自社も取得していれば明記すべきですし、競合が触れていないメリットを自社が持っていればそれを強調するチャンスです。
- 価格と提供バリュー: 競合価格帯と比較して自社は高いのか安いのか、またその価格差を正当化できる付加価値があるか検討します。単純に安値競争に持ち込む必要はありませんが、価格以上の価値を感じてもらえる説明がないと売れません。競合より高価格な場合は「なぜ高いのか」を説明文やブランドストーリーで補完することも検討しましょう。
- レビュー内容: 競合商品のレビュー(特に低評価レビュー)には「ユーザーの不満点」が詰まっています。それを読み解き、自社商品では同じ欠点がないか確認します。仮に同様の弱点があるなら商品改良や説明でのフォローが必要ですし、競合にない長所が自社にあるならそれは差別化ポイントとして前面に出すべきです。
- 画像の質・構成: 競合の画像枚数や見せ方をチェックし、自社が見劣りしていないか比較します。競合が実施しているが自社が欠けている画像(例:サイズ比較、モデル着用写真など)があれば追加を検討します。逆に競合にないユニークな画像コンテンツを作れば差別化できます。
- Amazon’s Choice/ベストセラー: 競合にこれらバッジが付いている場合、何のキーワードでChoiceに選ばれているか確認します。商品ページに表示される「Amazon’s Choice: △△(キーワード)」という箇所をクリックすると、そのキーワードの検索結果ページに飛べます。そのキーワードが自社にも当てはまるなら、自社の対策キーワードリストに加えましょう。
✓ 差別化ポイントの強調
競合分析を踏まえたら、自社商品の差別化ポイントを明確にして、それを商品ページでしっかり伝えます。差別化の切り口は様々ですが、例えば:
- 機能・品質差: 「当社製品は〇〇技術により耐久性2倍」など、スペック上優れている点。
- コストパフォーマンス: 「同価格帯で唯一〇〇を付属」など、値段に対してお得感がある点。
- デザイン・スタイル: 「高級感ある素材・デザイン」など、見た目やブランド性の違い。
- ターゲット特化: 「女性向けに軽量化」「プロ向けハイスペック版」など、特定ニーズに応える点。
- サービス面: 「日本語サポート・長期保証付き」など、購入後の安心感で差別化。
こうした強みをタイトルや箇条書きの冒頭に盛り込み、ひと目で分かる形で打ち出します。競合が触れていないニッチなメリットでも、ユーザーにとって価値があるなら記載しましょう。他社と肩を並べて遜色ないどころか、何かしら勝っている部分があることが重要です。そうでなければ上位表示されても売上は伸びず、持続的なSEO改善は望めません。
また差別化できるポイントが現状で少ない場合、商品開発自体の見直しも検討が必要です。最終的にはAmazon SEOも「商品力」が物を言います。アルゴリズムを攻略するテクニックは大切ですが、それ以前に「商品そのものがユーザーに支持されるか」を突き詰めることが、長期的には最強のSEO対策となります。
7.ガイドライン遵守の裏技・実践Tips
最後に、Amazonのルールを守りつつ効果を発揮するテクニックや注意点をまとめます。ブラックハットな手法は排除し、ホワイトハットで使えるTipsです。
✓ やってはいけないNG行為
まずは絶対にやってはいけない施策を再確認します。以下の3つは代表例です:
- キーワードの詰め込みすぎ: 商品タイトルや検索キーワード欄に関連語を不自然に羅列する行為です。効果がないばかりか、前述のようにガイドライン違反や評価低下を招きます。適切なキーワード選定と配置が肝心で、詰め込めば良いものではありません。
- やらせレビュー(不正レビュー): 友人知人に頼んだり金銭提供して五つ星レビューを書かせる、レビューグループで星の付け合いをする等の行為です。Amazonのポリシー違反であり、検出されればレビュー削除やアカウント停止など重大なリスクがあります。短期的に評価を上げようとしても長続きせず、発覚のリスクを考えれば割に合いません。正攻法で良い評価を集める以外にありません。
- AmazonスーパーURLの使用: かつて使われた裏技で、検索結果ページのURLに特定キーワードや並び順情報を埋め込んで商品のSEO効果を操作しようとする手法です。SEOツール等で生成される特殊なAmazonリンク(Super URL)を経由して購入が発生すると、そのキーワード経由で売れたように見せかけ順位上昇を狙うものでした。しかしこれは正当な方法ではなく、Amazonからペナルティを受ける可能性があります。実際2020年以降、この手法に対する取り締まりが強化され、多用すると検索アルゴリズムから除外されるリスクも指摘されています。長期的にビジネスを続けるなら手を出すべきではありません。
これら以外にも、たとえば自作自演の注文(ランキング操作購入)や競合商品の偽レビュー攻撃など、不正行為全般は当然NGです。短期的に順位を上げても必ず発覚し、アカウント停止など取り返しのつかない事態を招きます。Amazonの掲げる「地球上で最もカスタマーを大切にする企業」という理念に反する行為は淘汰される運命です。小手先の不正に頼らず、地道な改善を積み重ねましょう。
✓ ガイドライン遵守のホワイトハットTips
それではルール範囲内で使える実践的なTipsを紹介します:
- Amazonブランド登録と活用: ブランド登録(Brand Registry)をするとA+コンテンツやブランドストア、Amazon Attribution、ブランド分析(Brand Analytics)など多くのツールが使えます。特に「検索クエリパフォーマンス」レポートでは、自社ASINがどの検索キーワードで何回表示・クリック・購入されたか詳細データが得られます。これを分析すると、想定外のキーワードで売れている・逆に狙ったキーワードで転換率が低い等が分かり、SEO改善に直結します。ブランドストアも外部からの集客ハブとして機能し、ストア経由売上はSEO評価にプラス影響との見方もあります(内部的には「Internal Sales」に分類され評価される可能性)。
- クーポン・タイムセールの活用: 商品にクーポンを設定すると、検索結果に緑色のクーポンバッジ(「¥○OFF」等)が表示され目立ちます。これによりCTRが上がるケースが多々あります。またタイムセールや数量限定セールに参加すると、その時間帯はセールバッジが付き並び替えでも優遇されるため、一時的に順位を上げ新規顧客を獲得するチャンスになります。セールで稼いだ販売実績がその後のSEO向上に寄与することも期待できます。
- リスティングのABテスト: Amazonの「Manage Your Experiments(英語の場合)/ テスト管理」機能を使うと、タイトルや画像、A+コンテンツのABテストが可能です。異なるタイトル案やメイン画像を試し、CTRや転換率への影響をデータで比較できます。これによりより効果的な要素を発見して採用し、SEO強化につなげられます。Manage Experimentsはブランド登録が必要ですが、無料で使える有力な改善ツールです。
- 外部集客とSNS活用: 前述のように外部からのトラフィック増加はランキング向上のシグナルになります。自社の公式サイトやブログ、SNSで商品ページを紹介し、Amazonへ送客しましょう。特にSNSでのバズは短期的に大量のアクセスと売上をもたらし、一気にランキングを押し上げる可能性があります。Amazon LiveやAmazon PostsといったAmazon内SNS的機能も積極的に活用し、商品の露出を高めると良いでしょう。
- ロングテールキーワード戦略: ビッグキーワード(検索量大)だけでなく、複合語などロングテールキーワードで地道に上位を取る戦略も有効です。例えば「スマホ 三脚 ライト付き リモコン」といった具体的ニーズのキーワードでは競合が少なく、新規でも上位を狙えます。そうしたニッチな需要を積み重ねていくと、全体の売上底上げとともにレビュー増など好循環が生まれ、メインキーワードでの評価も向上します。ニッチキーワードを拾えるよう商品説明や検索キーワード欄を工夫しましょう。
- 定期的なルール変更への対応: Amazonは検索アルゴリズムやガイドラインを不定期に更新します。例えば過去にはタイトル文字数制限がカテゴリごとに強制施行されたことや、検索キーワード文字数仕様の変更などがありました。月に一度は公式情報をチェックし、変化に気付いたら速やかに対応することで、ペナルティ回避や競合に先んじた最適化が可能になります。
以上、ホワイトハットで使えるテクニックを挙げましたが、いずれも基本は「顧客志向」であることに留意してください。結局、Amazon SEOの最終目的は「顧客にとって役立つ商品をしかるべき検索で上位表示すること」です。顧客メリットを第一に考え、その上でテクニックを駆使するという姿勢が成功につながります。
まとめ:本質を押さえた継続的改善を
以上、Amazon SEOの基礎から応用まで包括的に解説しました。重要なポイントを振り返ります。
- Amazonの検索アルゴリズムA10は、検索キーワードとの関連性と商品実績(売上・転換率・顧客満足度)を重視する。関連性を高めるために商品ページ内の最適化(タイトル・説明・キーワード配置)が必須であり、実績を伸ばすには価格や在庫、レビューなど総合力の向上が求められる。
- 商品ページ最適化では、タイトルに主要キーワードを盛り込み(ただし詰め込みNG)、説明文や箇条書きで商品の魅力と差別化ポイントをわかりやすく伝え、画像も高品質なものを揃える。バックエンドキーワードも有効活用して漏れなく関連語をカバーする。公式ガイドラインを遵守しつつ、ユーザー目線で質の高いコンテンツ作りを行う。
- ランキング上位表示の鍵3つは「販売実績」「コンバージョン率」「在庫の安定供給」。売れるほど順位が上がり、よく売れる商品はさらに売れていく正の循環に入る。まずは広告等でテコ入れしてでも販売実績を作り、良いレビューを増やし、在庫を切らさず提供し続けることが肝要。
- Amazon広告と外部集客を活用して、初動の販売実績作りや継続的なトラフィック増を図る。広告自体は直接順位を決めないが、売上増加という間接効果でSEOを後押しする。外部からの流入も評価されるため、自社のマーケティング施策全般をAmazon販売と連動させる。
- 競合分析と差別化により、自社商品の強みを明確化し訴求する。Amazonではユーザーが並んだ商品を比較検討するので、何らかの優位性がなければ選ばれにくい。価格・機能・デザイン・サービスいずれかで競合に勝るポイントを作り出し、それをユーザーに伝わる形でページに反映する。
- ガイドラインに反するブラックハット手法は厳禁。一時的に効果があってもいずれ淘汰される。代わりにホワイトハットの工夫(クーポン、ABテスト、ブランド分析など)で地道に改善を重ねる。アルゴリズム変化にも柔軟に対応し、長期的視野で運用する。
最後に強調したいのは、Amazon SEOの究極的な本質は「商品力×最適化」だということです。Amazonは「お客様第一」であり、良い商品が正しく最適化されていれば、必ずや評価されるプラットフォームです。逆に言えば、どんなテクニックを弄しても商品や対応が悪ければ上位表示は続きません。テクニックと同時に商品そのものの改善にも目を向け、「顧客にもAmazonにも喜ばれる三方良し」の精神で取り組みましょう。それこそが2025年現在、そしてこれからのAmazon SEOで恒久的に成果を出す道です。
*本記事の情報は2025年5月時点の各種公表情報・専門家知見に基づいています。アルゴリズムやガイドラインは変化しますので、最新情報のチェックとPDCAを回し続ける姿勢を忘れずに、ぜひ実践に役立ててください。健闘を祈ります!