【日本語で学ぶOpenAI Academy】ビジネス活用編⑫:GitHubと連携!AIでコードレビューを高速化する「ディープリサーチ」

投稿日: カテゴリー ChatGPT

「大規模なコード変更が入った時、レビューに膨大な時間がかかってしまう…」 「コードの品質を落とさずに、開発スピードを維持する方法はないだろうか?」

ソフトウェア開発において、コードレビューは品質保証に不可欠な工程です。しかし、プロジェクトが大規模になるほど、レビューにかかる時間と労力は増大し、開発サイクル全体のボトルネックとなることがあります。

このシリーズ「日本語で学ぶOpenAI Academy」では、OpenAI公式の学習プラットフォーム「OpenAI for Business」コレクション(全13本)の内容を、日本語で徹底解説しています。

第12回のテーマは、「Run faster code reviews with deep research for GitHub(GitHubと連携したディープリサーチによるコードレビューの高速化)」。

ChatGPTの「ディープリサーチ」機能が、GitHubと連携することで、コードレビューの常識を覆し、開発チームの生産性を劇的に向上させる方法をご紹介します。

今回のキーポイント:GitHub内部情報をAIが「ディープリサーチ」

この機能の核心は、以前紹介した「ディープリサーチ」能力が、インターネット全体だけでなく、企業が利用するGitHubリポジトリ内のプライベートなコードやドキュメントに対しても適用される点です。

ChatGPTは、GitHubと連携することで、リポジトリ内の膨大なコードベース、ドキュメント、コミット履歴などを深く掘り下げて分析し、まるで熟練のエンジニアがレビューするような質の高い洞察を迅速に提供します。もちろん、この連携もGitHubのユーザー権限とアクセス許可を厳格に遵守するため、セキュリティも確保されています。

本編:大規模なコードレビューを数分で終わらせる3ステップ

動画では、OpenAIのPythonライブラリに「responses API」という新しい機能を統合する、という大規模なコード変更を例に、AIによるコードレビューのプロセスが紹介されています。

ステップ1:レビューしたいコードと課題をAIに指示

まず、開発者はレビューしたいプルリクエストやコミットの差分(diff)を確認します。動画の例では、かなり大規模な変更が含まれています [00:52]。

次に、ChatGPTに対し、GitHubリポジトリへのアクセスを許可した上で、以下のような具体的な指示を与えます。

「このGitHubリポジトリのコード変更(responses APIの追加)について、潜在的なリスクや問題がないかディープリサーチでレビューし、スムーズな統合を保証するための報告書を作成してください。」

人間がレビューの「焦点」を明確にすることで、AIは的を絞った分析を開始します。

ステップ2:AIによるGitHub内部の「思考の連鎖」と分析 [01:28]

指示を受け取ったChatGPT(ディープリサーチ機能)は、GitHubリポジトリ内部で分析を開始します。この際、画面右側のサイドバーにはAIが今何をしているかを示す「思考の連鎖(Chain of Thought)」が表示されます [01:36]。

  • リソース収集: GitHub内の関連ファイル、ドキュメント、コミット履歴などを収集します。
  • コードの読み込み: 変更されたコードを詳細に読み込み、その意図と影響を理解しようとします。
  • 多段階分析: コードの品質、潜在的なバグ、既存システムとの互換性、セキュリティリスクなど、多岐にわたる観点から多段階の分析を実行します。

この複雑なプロセスは、場合によっては10分から30分、時にはそれ以上かかることもありますが、人間が行う膨大な時間と比較すれば圧倒的に高速です。動画の例では、約16分で完了し、49のソース(GitHub内部のファイル)を検索しました [02:16]。

ステップ3:詳細なレビューレポートと引用元の提示 [02:04]

分析が完了すると、AIは詳細なコードレビューレポートを生成します。

このレポートには、以下のような情報が含まれます。

  • リスク評価: 新機能の追加によって発生しうるリスクや、考慮すべき点。
  • 変更点の詳細な説明: コード変更がストリーミング動作に与える影響など、具体的な技術的洞察。
  • 引用元の明記: レポート内の各記述には、参照したGitHub内の特定のファイルやドキュメントへの引用が示されており、開発者はAIの指摘の根拠を容易に確認できます [02:22]。

これにより、開発チームはAIが生成した高品質なレビューレポートを基に、より迅速かつ的確な意思決定を行い、コードの品質を維持しながら開発スピードを向上させることができます。

まとめ:開発チームの「最強のコードレビュアー」

今回の「GitHub連携ディープリサーチ」機能が示すのは、AIがコードレビューという専門的かつ時間のかかる作業において、人間を強力にサポートする「最強のコードレビュアー」となり得るという事実です。

大規模なコード変更でも、AIが内部情報を深く掘り下げて分析することで、潜在的な問題を早期に発見し、開発チームは貴重な時間を節約できます。これは、開発サイクルを加速させ、ソフトウェアの品質とセキュリティを同時に高めるための画期的なツールとなるでしょう。


投稿者: 齋藤竹紘

齋藤 竹紘(さいとう・たけひろ) 株式会社オルセル 代表取締役 / 「うるチカラ」編集長

   
Experience|実務経験
2007年の株式会社オルセル創業から 17 年間で、EC・Web 領域の課題解決を 4,500 社以上 に提供。立ち上げから日本トップクラスのEC事業の売上向上に携わり、 “売る力” を磨いてきた現場型コンサルタント。
Expertise|専門性
技術評論社刊『今すぐ使えるかんたん Shopify ネットショップ作成入門』(共著、2022 年)ほか、 AI × EC の実践知を解説する書籍・講演多数。gihyo.jp
Authoritativeness|権威性
自社運営メディア 「うるチカラ」で AI 活用や EC 成長戦略を発信し、業界の最前線をリード。 運営会社は EC 総合ソリューション企業株式会社オルセル
Trustworthiness|信頼性
東京都千代田区飯田橋本社。公式サイト alsel.co.jp および uruchikara.jp にて 実績・事例を公開。お問い合わせは info@alsel.co.jp まで。

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