楽天市場が、2026年6月4日20時に始まる楽天スーパーSALEで、AIを使った買い物体験を本格的に強化します。特設ページに対話型の「AIコンシェルジュ」を新設し、アプリ側でも「ディスカバリーレコメンデーション」で一人ひとりに合わせた商品提示を進めるという内容です。買い手の動線が「検索して絞り込む」から「AIに相談して選んでもらう」へ移り始めた、と受け止めるべき発表だと感じました。出店者にとっては、商品ページがAIに正しく理解されるかどうかが、セールの売上を左右する局面に入ってきました。

何が変わるのか:対話と発見の2つのAI機能
楽天グループのプレスリリースによると、今回強化されるのは2つの機能です。1つ目は、スーパーSALE特設ページに新設される「AIコンシェルジュ」で、同社のAI「Rakuten AI」を搭載しています。ユーザーは「夏のキャンプ用品を予算3万円以内で揃えたい」「子ども向けに人気の水遊びグッズを探したい」といった用途や予算を、テキストや音声で伝えるだけで、膨大なセール対象商品の中から条件に合うものを提示してもらえます。さらに、対象期間中に買い物をしたショップ数に応じてポイントが上がる「ショップ買いまわり」の攻略法まで、AIに相談できる設計になっています。
2つ目は、楽天市場アプリの「探す」タブに実装される「ディスカバリーレコメンデーション」です。ユーザーの興味や関心に合わせて商品の画像や動画、商品ページの情報を表示し、本人がまだ気づいていない潜在的な関心を掘り起こして、新しい商品との出会いをつくる機能だと説明されています。楽天はこうした取り組みを、AI化を意味する造語「AI-nization」というテーマのもとで進めているとしています。なお、楽天モバイル利用者向けの先行セールは6月3日20時から、本セールは6月4日20時から6月11日午前1時59分までの開催です。
日本の出店者にとっての論点:AIに「拾われる」設計へ
ここで出店者が押さえておきたいのは、AIコンシェルジュもディスカバリーレコメンデーションも、参照しているのは各店舗が登録した商品データだという点です。買い手が「予算3万円以内のキャンプ用品」と相談したとき、AIが候補に挙げられるのは、用途や価格帯、シーンが商品名や説明文、各種項目に整理されている商品です。逆に、型番と簡単な説明しか入っていない商品ページは、人間の検索ではヒットしても、AIの文脈理解では選ばれにくくなる懸念があります。これは従来の楽天SEO、つまりキーワードを詰め込む発想とは少し異なる、意味で伝わる商品情報づくりが求められる流れだと考えています。
ディスカバリーレコメンデーションが画像と動画を前面に出す点も見逃せません。商品画像が1枚だけ、動画なしという状態では、発見の文脈で表示される機会そのものが減る可能性があります。アパレルや雑貨、食品など、視覚で価値が伝わる商材ほど、画像点数と短尺動画の整備が直接効いてくるはずです。すでに自店の商品ページを「人が読む前提」だけで組んでいる店舗は、「AIが読み取って要約し、買い手に説明する前提」での見直しが必要になります。
今後の展望と初動アクション
楽天はこれまでもアプリへのRakuten AI搭載を進めてきましたが、今回は年間最大級の集客イベントであるスーパーSALEの特設ページにAIコンシェルジュを置いた点に意味があります。最も購買意欲の高い買い手が集まる場所で、AIが商品選びの入口になるからです。今後、関心に合わせた発見の比率が高まれば、店舗側の打ち手も変わっていくでしょう。
出店者が今すぐ取り組めることは大きく3つあります。1つ目は、主力商品の商品名と説明文に、用途・利用シーン・想定予算・対象者を自然な文章で書き込むことです。2つ目は、ディスカバリー枠を意識して、主力商品の画像点数を増やし、可能なら短い商品動画を用意することです。3つ目は、買いまわりを攻略法としてAIが案内する以上、自店の対象商品を買いまわりの動線に乗せやすい価格設定やセット提案を、セール前に組んでおくことです。いずれも楽天市場の中で完結する施策であり、外部サイトへの誘導を挟まずに取り組める点も実務的です。
まとめ
楽天スーパーSALEへのAIコンシェルジュ導入は、買い手の商品との出会い方を「探す」から「相談して見つける」へと押し広げる動きです。日本のEC事業者にとっては、AIに正しく理解される商品ページづくりが、これまで以上に売上に直結します。セール本番までの短い時間でも、主力商品の情報整備と画像・動画の拡充から着手する価値は十分にあると考えます。
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引用元: 楽天グループ
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。