ウォルマートが語るAIの成果とコスト、EC事業者が学ぶ3つの論点

ウォルマート経営陣が語った生成AIの成果とコスト。ChatGPT経由が流入の2割という現実から、日本のEC事業者がAI活用で押さえるべき3つの論点を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

世界最大の小売企業ウォルマートの経営陣が、生成AIの成果と同時に「コストの現実」に踏み込んで語りました。注目すべきは、ChatGPT経由の流入がすでに同社の参照トラフィックの2割を占めるという数字と、社内AIの利用にトークン制限を設け始めたという運用の両面です。日本のEC事業者にとっても、AI活用は「導入するか」ではなく「成果とコストをどう両立させるか」の段階に入っています。本記事ではウォルマートの発言から、楽天市場やAmazon、Shopifyの店舗が学べる3つの論点を整理します。

何が起きたか:ウォルマート経営陣がAIの両面を語った

Modern Retailによると、2026年6月にアーカンソー州ベントンビルで開かれた株主・従業員向けイベントで、ウォルマートの経営陣が生成AIの活用状況を語りました。

CEOのジョン・ファーナーは、AIによってかつて想像できなかった速さでパーソナライズが可能になったと述べています。グローバルCTOのスレシュ・クマーは、AIによる「民主化」の効果として、技術職以外の従業員も技術が必要な業務をこなせるようになったと説明しました。一方で、コスト面の課題にも触れ、社内向けAIエージェントに対して「同じ質問を何度も繰り返す必要はない」と述べ、無駄な利用の抑制に言及しています。

具体的には、同社の社内AIエージェント「Code Puppy」は、技術職以外の従業員が表計算や資料作成、データ探索を行うのを支援していますが、重複した問い合わせが多く発生したため、トークン利用量に上限が設けられました。生成AIは使うほどコストがかさむため、需要の高まりに対してガバナンスをかけた形です。

販売面では、AI事業統括担当のダニエル・ダンカーが会話型ショッピングへの移行を語りました。買い物が「材料を選ぶことから料理ごと探すことへ」「必要なものを正確に言葉にすることから、困りごとを説明すれば解決策が提示されることへ」変わるという見立てです。実際、ウォルマートではChatGPT経由の流入が参照トラフィックの20パーセントに達し、生成AIによる商品ページの更新は手作業に比べて100倍速くなったとされています。

日本のEC事業者にとっての論点

第一に、ChatGPT経由の流入が無視できない規模になっているという事実です。日本でも生成AIで商品を調べてから購入先を決める消費者が増えており、AIに自社商品が正しく拾われるよう商品情報を整えること(AIO)の重要性が高まっています。楽天市場・Amazon・Shopify・Yahoo!ショッピングのいずれを運営していても、AI経由の流入を計測する仕組みを持つことが出発点になります。

第二に、会話型ショッピングへの備えです。買い物客が商品名ではなく「困りごと」で検索する流れに対し、商品ページやFAQで「どんな課題を解決できるか」を平易に書いておくと、AIにも人にも選ばれやすくなります。

第三に、AIのコスト管理という視点です。ウォルマートほどの規模でもトークン利用に上限を設けています。中小のEC事業者ほど、生成AIのAPI費用や月額ツール代に対する費用対効果を見極め、効果の出る業務から優先的に投じる姿勢が欠かせません。

今後の展望・初動アクション

まず、自社サイトやモールの流入元データを確認し、AIアシスタント経由の流入がどれだけあるかを把握することです。次に、生成AIによる商品ページの一括更新に着手することです。ウォルマートのように更新速度は大きく上げられますが、日本では薬機法や景品表示法に触れる断定的・誇大な表現を避け、事実ベースで整える点に注意が必要です。最後に、社内での生成AI利用にも簡単なルールを設け、用途と費用を見える化しておくと、コストが膨らむ前に手を打てます。

まとめ

ウォルマートの事例は、AIが「導入すれば終わり」ではなく、成果とコストを継続的に管理する対象であることを示しています。日本のEC事業者は、AI経由流入の計測、会話型ショッピングへの商品情報整備、そして生成AIの費用対効果管理という3点を、自社の規模に合わせて順に進めることが現実的な一歩になります。

※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/

引用元: Modern Retail


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

お問い合わせ