サットンがOak Lab設立|1兆パラメータ20ワットのAIエージェント構想

チューリング賞受賞のリチャード・サットンがKeen Technologiesから独立しAI新会社Oak Labを設立。1兆パラメータのエージェントを20ワットで動かす構想と、経験から学ぶAIの狙いを解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

サットンが2026年7月13日、AI新会社Oak Labの設立を発表しました。

強化学習の父と呼ばれ、2024年のチューリング賞を受賞したリチャード・サットンが、ジョン・カーマック率いるKeen Technologiesから独立し、カナダ・トロントで研究スタートアップOak Labを立ち上げました。掲げる究極の目標は「1兆パラメータのエージェントを20ワットのエネルギーで動かす」こと。大規模言語モデルの事前学習競争とはまったく異なる道筋を示す動きです。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

何が起きたか|Keen Technologiesからの独立とOak Lab設立

Oak Labとは、リチャード・サットンとクラム・ジャベドが2026年7月に発表したAI研究スタートアップのことです。The Decoderによると、2人はいずれもジョン・カーマックのAI企業Keen Technologiesに在籍しており、そこから独立して新会社を設立しました。拠点はカナダのトロントです。

サットンは7月13日、自身のX投稿で「カーマックとKeen Technologiesについては感謝しかない」と前置きしたうえで、独立して少し異なる道を進むと表明しました。この投稿は公開から1日足らずで20万回以上表示されています(2026年7月14日時点)。現在の深層学習の手法については「弱く非効率であり、小手先の調整ではなく、根本的に新しいアイデアと徹底的な作り直しが必要だ」と厳しい評価を述べています。

Oak Labの公式Xアカウントは2026年4月に開設済みで、投稿ゼロの段階でフォロワーが4,000人を超えています(2026年7月14日時点)。サットンの動向への注目度の高さがうかがえます。なお、資金調達額やチーム規模は現時点で公表されていません(要確認)。

なぜ重要か|「経験から学ぶAI」という対抗軸

Oak Labの核心は、静的なデータセットで一度だけ訓練するのではなく、稼働中の経験からリアルタイムに学び続けるAIエージェントを作ることです。公式サイトのミッションページでは、「究極の目標(Holy Grail)」として「1兆パラメータのエージェントが20ワットのエネルギーでリアルタイムに学習し計画する」ことを掲げています。20ワットは人間の脳の消費エネルギーとほぼ同じ水準であり、データセンター全体を使って訓練する現在の大規模モデルとは桁違いの効率を目指す宣言です。

技術面の柱は3つあります。第1に、経験に根ざした時間的抽象化を自ら発見する「OaKアーキテクチャ」。第2に、データを保存・再生せずに逐次学習する「バッチサイズ1」の学習アルゴリズム。第3に、イベント駆動型ニューラルネットワークとの組み合わせで、既存手法より数桁少ない計算量とエネルギーでの継続学習を狙う設計です。人間が整えたきれいなデータセットではなく、ノイズを含む生のデータストリームから直接学ぶことを重視しています。

サットンは2019年のエッセイ「The Bitter Lesson」で知られ、2024年にはアンドリュー・バルトとともに強化学習の基礎研究でチューリング賞を受賞しました。The Decoderによると、サットンは2026年6月にも「生成AIは模倣が得意だが、自らの出力を評価できないため真の発見はできない」という趣旨の主張をしています。生成AIの弱点として指摘されてきたタスク完遂力の問題とも重なる論点であり、LLMのスケーリング一辺倒の業界に対する明確な対抗軸といえます。

今後の動き|研究公開は始まったが体制は未公表

Oak Labは研究成果の公開をすでに始めています。公式サイトの研究ページには、設立発表と同じ7月13日付で「キュレーションされたデータセットではなく経験から学ぶ」と題した投稿が掲載され、バッチサイズ1の学習アルゴリズムとイベント駆動型ニューラルネットワークに関する詳細記事も「近日公開」と予告されています。過去の関連研究として、OaKアーキテクチャ(2025年)やビッグワールド仮説(2024年)、Alberta Plan(2023年)などの論文もリストされています。

AI研究の現場では、会話ログを溜め込むのではなく構造化メモリでエージェントの学習効率を上げる研究や、GPT-5.6 Sol Ultraによる未解決数学問題の証明など、「AIが自ら考え続ける」方向の進展が相次いでいます。Oak Labのアプローチが実を結ぶかどうかは未知数ですが、チューリング賞受賞者が現行パラダイムの外側に賭けたという事実自体が、次の技術サイクルを占ううえで重要なシグナルです。

まとめ

チューリング賞受賞者のサットンがKeen Technologiesから独立し、経験からリアルタイムに学ぶAIエージェントを目指すOak Labを設立しました。1兆パラメータを20ワットで動かすという目標は現在の大規模モデルの延長線上にはなく、実現すれば計算コストの構造が根本から変わります。ECの現場に引きつければ、導入後に店舗の実データで賢くなり続けるAIへの布石でもあり、中長期の動向として押さえておきたいニュースです。

参考文献

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https://uruchikara.jp/contact/

引用元: The Decoder


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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