OpenAI年換算売上は700億ドルでなく500億ドル、差額の3つの論点

OpenAIの年換算売上は700億ドルではなく約500億ドルと報じられました。200億ドルの差を生んだクラウド経由売上の会計処理の違い、Anthropicとの比較、IPOの焦点を3つの論点で解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

OpenAIは投資家に対し、年換算売上が約500億ドルだと説明し、以前報じられた約700億ドルより200億ドル少ないことが明らかになりました。

本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。年換算売上とは、直近1か月などの売上を12倍して1年分に引き直した数字のことです。今回の食い違いは、OpenAIが悪化したわけではなく、競合のAnthropicと並べて比べるために数字を膨らませた算出方法が原因だったと報じられています。AIサービスを選ぶ立場の事業者にとっても、各社の公表数字をどう読むかを考える材料になります。

何が起きたのか:700億ドルは比較用の「かさ上げ」値でした

TechCrunchによると、2026年9月29日にAxiosが、OpenAIの年換算売上が約700億ドルに近づいていると報じていました。ところがFinancial Timesは、OpenAIが投資家に対して年換算売上は500億ドルに近づいているところだと説明したと伝えています。差額は約200億ドルです。

Axiosは、700億ドルという数字が、Anthropicとの直接比較を試みる中で生まれたものだったと報じています。情報筋の話として、Anthropicの会計方式に合わせて売上を総額表示に引き直した試算だったと説明しています。ロイターは、関係者の話として、OpenAIが投資家に伝えた2026年9月の年換算売上は約500億ドルだったとしています。OpenAIは、TechCrunchとロイターの取材要請に対し、記事の時点で回答していません。

なぜ重要か:違いはクラウド経由の売上を総額で数えるかどうかです

両社の差を生んでいるのは、クラウドパートナー経由の売上の扱いです。Axiosによると、両社とも米国会計基準に従っています。ただしAnthropicは、クラウドパートナー経由の売上を総額で計上し、顧客が100ドルを払えば100ドル全額を売上とし、クラウド事業者の取り分は費用として処理します。OpenAIは一部のパートナー売上について、自社の取り分だけを計上します。会計学者のFrancine McKennaは、この違いは各社が取引での自分の役割をどう見るか、つまり顧客との関係を管理しているか、製品提供の責任を負っているかによって生じると説明しています。

ロイターの分析では、Anthropicはクラウドパートナー経由の売上の約16%をパートナーに支払っており、その経由売上は前年の総売上の半分を占めたとされています。同じ尺度で並べられない以上、どちらが大きいかを単純な数字だけで語るのは危険です。

とはいえ、勢いの差は数字に表れています。ロイターによると、2026年第2四半期の四半期売上は、Anthropicが115億ドル、OpenAIが67億ドルで、Anthropicが初めてOpenAIを上回りました。TechCrunchはCNBCの報道として、Anthropicの年換算売上が2026年7月時点で650億ドルに達したと伝えています。OpenAIは2026年を年換算売上200億ドルで始めており、年内に500億ドルまで伸ばしたことになります。この成長自体は非常に大きなものです。

Axiosは、年換算売上が主に初期段階のスタートアップに向いた指標で、上場市場の投資家は実際の売上を重視する傾向があると指摘しています。ロイターが引くアナリストも、1か月分の売上を12倍して求めるこの指標は誤解を招くことがあるとしています。

今後の動き:焦点はIPOと会計の統一です

TechCrunchは、OpenAIが2026年3月の資金調達ラウンドだけで1,220億ドルを調達したことを伝えています。また、年内とされていたIPOはCNBCの報道によれば2027年初頭まで延期されました。ロイターによると、両社とも株式公開を準備しており、公開されれば投資家は財務状況をより明確に把握できるようになります。

注目点は3つあります。第1に、上場書類で両社のクラウド経由売上の扱いが統一的に示されるかどうかです。第2に、OpenAIが今回の500億ドルについて公式に説明するかどうかです。第3に、AnthropicがFinancial Timesの報じた第2四半期の営業黒字をめぐり、株式報酬を含む数字を開示するかどうかです。Axiosは、利益に関する主張は決算書類が出るまで慎重に扱うべきだとしています。

なお、本件はAI企業の財務開示の話であり、楽天市場やAmazonの店舗運営に直接影響する内容ではありません。ただ、AIツールを業務に組み込む事業者にとっては、提供元の経営の持続性を見る際に、年換算売上のような派手な指標だけに頼らず、算出方法まで確認するという視点が役立ちます。

まとめ

OpenAIの年換算売上は約500億ドルで、700億ドルはAnthropicと比較するための試算値だったと報じられています。クラウド経由の売上を総額で数えるか、自社の取り分だけで数えるかという会計処理の違いが、200億ドルの差の背景にあります。数字を比べるときは、規模だけでなく、何をどう数えているかまで確認することが大切です。

参考文献

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引用元: TechCrunch


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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