Mistral Large 4が重み公開、入力0.7ドルの1兆モデル3つの論点

Mistralが総パラメータ約1兆のMistral Large 4の重みを公開。入力0.70ドル、出力2.10ドルの価格とオープンモデル首位級の性能、ライセンスの注意点を3つの論点で整理します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

Mistral Large 4とは、Mistralが2026年10月に重みを公開した、総パラメータ約1兆のオープンウェイトモデルのことです。

本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

The Decoderによると、フランスのAI企業Mistralは、愛称「Le Chonk」の大規模モデルMistral Large 4の重みをHugging Faceで公開しました。プレビュー公開から約3週間後の出来事です。総パラメータは約1兆、推論時に動く有効パラメータは52Bで、入力APIは100万トークンあたり0.70ドル、出力は2.10ドルに設定されています。

何が起きたか:1兆パラメータの重みが修正版MITで公開

Mistral Large 4は、テキストと画像を入力に取り、テキストとコードを出力するモデルです。総パラメータ約1兆のうち、推論時に使われるのは52Bです。この「必要な部分だけ動かす」設計のため、規模のわりに速度とコストを抑えやすくなっています。出力速度は毎秒161トークンで、プレビュー版の111トークンから上がりました。

実行に必要な環境は軽くありません。The Decoderが引用するSGLangのドキュメントでは、標準版でNvidia B300 GPUが8基、圧縮版でGB300 GPUが4基とされています。自社サーバーで気軽に動かせる規模ではなく、実際の利用はAPI経由が中心になりそうです。

ライセンスは修正版のMITライセンスです。商用クラウドサービスとして提供する企業は、別途Mistralのライセンスが必要になります。自社の業務で使う分には制約が緩い一方、モデルを再販する形の事業には条件がつく点に注意が必要です。詳細はライセンス全文で確認してください。

性能と価格:オープン首位級だが、最上位にはまだ届かない

The Decoderが紹介する数値を整理します。コーディング系のTerminal-Bench 4.0では28%から41%へ伸びました。同じ指標でGLM-5.3は40%、Kimi K3.1 Proは67%です。FrontierCode 2.0では19.7%でオープンモデル首位ですが、Claude Opus 5.5は46%とされています。第三者機関のArtificial Analysisのコーディングエージェント指標は48%で、GLM-5.3とほぼ同等です。ただしトークン使用量は47%少なく、Claude CodeとClaude Opus 5.5の組み合わせは62点でした。

総合指標のIntelligence Index v5は26点で、プレビューの25点から微増にとどまりました。DeepSeek V4.1 FlashとGLM-5.3の32点、MiMo-V2.6-Proの30点には届いていません。一方で同規模のオープンモデルの中央値は23点なので、その水準は上回っています。最上位はGemini 4 Carbonの59点で、Claude Opus 5.5がその1点下です。

価格面の変化は大きいです。プレビュー時の定価は入力1.36ドル、出力4.18ドルでしたが、正式版では0.70ドルと2.10ドルに下がりました。発売から2週間は0.68ドルと2.09ドルの期間限定割引もあります。Intelligence Indexの1タスクあたり平均コストは2.06ドルで、プレビューの5.54ドルから大きく下がりました。GLM-5.3は5.01ドル、Kimi K3.1 Proは3.68ドルです。なお、数値の多くはMistralの自己申告か第三者評価で、記事でも独自チャートと独立評価の食い違いが指摘されています。数字は参考値として扱うのが安全です。

Artificial Analysisのコーディングエージェント指標の散布図

なぜ重要か:安く高性能なオープン選択肢が増えた

今回のポイントは、最高性能ではなく「性能に対する価格」です。トップの商用モデルには差があるものの、入力0.70ドルという水準で、重みも公開されています。API利用料を抑えたい企業や、特定の事業者に依存したくない企業にとって、比較対象が一つ増えたことになります。

サイバー面の指標も注目点です。Artificial AnalysisのCyber Indexは51%で、オープンモデルでは3位です。悪意あるサイバー要求の拒否率は平均96.6%とされています。重みが公開されるモデルでは悪用リスクが議論になりやすく、こうした安全性の数値が示されたことは、導入を検討する側の判断材料になります。

今後の動き:注目したい3つのポイント

第一に、実際の利用者による独立した評価です。自己申告と第三者評価に差があるため、今後の再検証で順位が動く可能性があります。第二に、期間限定割引が終わった後の価格です。0.70ドルと2.10ドルが維持されるかは要確認です。第三に、中国勢のオープンモデルとの競争です。Kimi K3.1 Proが重み未公開のまま上位にいる状況で、Mistralがどこまで差を縮めるかが焦点になります。

まとめ

Mistral Large 4は、総パラメータ約1兆、有効パラメータ52Bのモデルとして重みが公開され、入力0.70ドルという低価格が打ち出されました。最上位の商用モデルには届かないものの、オープンモデルとしては高い水準にあります。使うかどうかは、自社の用途で自分のデータを使って試してから決めるのが確実です。

参考文献

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引用元: The Decoder


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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