CloudflareがAIボットを3分類|ECのAI集客を左右する新設定

CloudflareがAIクローラー制御をSearch・Training・Agentの3分類に刷新。ECのAI集客を左右する初期設定の考え方と、店舗が今すぐ確認すべき初動アクションを解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

自社ECサイトがChatGPTやPerplexityの買い物提案、そしてGoogleのAI Overviewにきちんと拾われるかどうかは、いまやサーバー前段のボット制御設定に左右されます。The Decoderによると、Cloudflareは2026年7月1日、これまで「AIクローラーを一括ブロックするか否か」の二択だった設定を、Search・Training・Agentの3カテゴリに分けて個別制御できる新機能に置き換えました。無料プランを含む全ユーザーが対象です。AIクローラーの扱いは、日本のEC事業者にとっても集客の生命線に直結する論点になってきました。

何が変わったのか:一括ブロックから3分類の個別制御へ

Cloudflareは2024年7月から、ワンクリックで全AIクローラーを遮断する機能を提供してきました。今回はこの一括ブロックを廃止し、ボットの目的別に3つのカテゴリで許可・拒否を切り替えられるようにしています。

3分類の内訳は次の通りです。Searchは検索エンジンのインデックス用クローラー、TrainingはAIモデルの学習用にデータを収集するクローラー、そしてAgentはChatGPTのようにユーザーの代理として動くボットを指します。従来は「AIかどうか」でまとめて弾いていたものを、「検索に載せてほしいが学習には使わせたくない」といった細かい意思表示ができるようになったわけです。

重要なのはデフォルト挙動の変更です。2026年9月15日以降、広告が掲載されているページでは、TrainingとAgentのボットが初期設定でブロックされます。Cloudflareは「広告が出ているページは人間の来訪を想定している証拠だ」という考え方を採っており、一方でSearchクローラーは引き続き許可されます。GooglebotのようにSearchとTrainingを兼ねる多目的クローラーは、より厳しい方のルールが適用される仕組みです。

企業向けには、既知のボットを検索できるデータベースBotBaseもダッシュボードに搭載されました。各ボットがどう分類され、コンテンツをリンクとして紹介するだけなのか、それとも全文を複製するのかまで確認できます。加えて認証済みボットの扱いも見直され、「認証済み」ラベルだけでは自動的に通過できなくなり、カテゴリに応じてアクセス可否が決まる方針に変わりました。

日本のEC事業者にとっての論点:AI集客の入口を自分で閉じていないか

この変更が日本のEC事業者に直結するのは、CloudflareをCDNやセキュリティ対策として使っている自社ECサイトが少なくないためです。BASEやShopifyで独自ドメインを運用し、前段にCloudflareを噛ませている店舗は、今回のデフォルト変更の影響範囲に入ります。

いま起きつつある変化は、消費者の購買行動の入口がAIに移りつつあることです。ChatGPTやPerplexityに「予算1万円でおすすめの日本製スキンケアは」と尋ねると、AIがWeb上の情報を集めて具体的な商品名を提示します。ここで自社サイトのAgentクローラーを一括で弾いていると、AIの回答候補にそもそも載らないという事態が起こり得ます。Googleの検索結果でも、AI Overviewに引用されるかどうかが流入を大きく左右し始めています。

つまり、セキュリティ目的で「AIボットは全部ブロック」に設定していた店舗は、意図せず自らAI経由の集客の入口を閉じている可能性があります。今回の3分類は、この状態を「学習は拒否しつつ、検索とエージェント経由の露出は確保する」といった形で細かく調整できるようにするものです。9月15日以降のデフォルトブロックは広告掲載ページが対象ですが、自社ECサイトの多くは広告を出していないため即座に全ブロックされるわけではありません。とはいえ、この機に自店の設定を一度棚卸ししておく価値は大きいと言えます。

今後の展望と初動アクション

まず確認したいのは、自社サイトがCloudflareを経由しているかどうかと、AIボットのブロック設定の現状です。管理画面のBotsまたはAI Crawl Control系の項目で、現在どのカテゴリを許可・拒否しているかを把握してください。

次に、自店のスタンスを言語化します。AIモデルの学習にコンテンツを使われたくないならTrainingは拒否、しかしChatGPTやPerplexity経由で商品を見つけてもらいたいならAgentとSearchは許可する、という判断が現実的な落としどころになりやすいはずです。商品説明文やブランドストーリーを丁寧に書き込んでいる店舗ほど、AIに正しく引用してもらえる価値は高まります。

さらに、AI経由の流入を狙うなら、商品ページの構造化やFAQの整備といったコンテンツ側の準備も並行して進める意味があります。AIは曖昧な商品ページよりも、価格・素材・用途・比較が明示されたページを引用しやすい傾向があります。CloudflareのCEOであるMatthew Princeは、2026年6月にボットのトラフィックが初めて人間のトラフィックを上回ったと指摘しており、AI経由の来訪を前提にしたサイト設計は、もはや先進的な取り組みではなく標準的な備えになりつつあります。

まとめ

CloudflareのAIボット制御が3分類になったことで、EC事業者は「AIに学習させない」と「AIに見つけてもらう」を分けて設定できるようになりました。セキュリティ目的の一括ブロックが、気づかぬうちにAI集客の芽を摘んでいないか、この機会に自店の設定を点検することをおすすめします。守りと露出のバランスを、自分の意思で選び取る局面に入っています。

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引用元: The Decoder


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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