投稿者 齋藤竹紘投稿日: 2025年8月6日カテゴリー AIニュース

2025年8月、AI検索エンジンPerplexityのCEO、Aravind Srinivasが驚くべき発言をしました。同社の新しいAIブラウザ「Comet」が、採用担当者と事務員という、どんな会社にも欠かせない2つの職種を完全に自動化できるというのです。「採用担当者の1週間分の仕事が、たった1つの指示で完了する」。この言葉は、日本の中小企業の社長さんにとって、決して他人事ではありません。

採用の仕事が根本から変わります

Srinivasが説明したCometの機能は、まるで夢物語のように聞こえるかもしれません。でも、これはもう現実の話なんです。現在、招待制で一部の利用者に提供されているこのAIブラウザは、私たちが普段使っているGmail、LinkedIn、Googleカレンダーといったサービスに直接つながって、今まで人間にしかできないと思われていた複雑な仕事を自動でこなしてしまいます。

たとえば、こんな場面を想像してみてください。あなたが「早慶上智以上の大学を出て、以前DeNAやメルカリで働いていたエンジニアを探して連絡を取りたい」と指示を出したとします。今までなら、人事担当者が何時間もかけてLinkedInで候補者を探し、一人ひとりの経歴を確認し、連絡先を調べ、それぞれに合わせたメールを書いて送る必要がありました。この作業だけで、丸一日はかかってしまいますよね。

ところがCometは、この一連の作業をあっという間に、しかも完璧にやってのけます。LinkedInから条件に合う人材を自動で探し出し、見つかった候補者の情報を表計算ソフトにきれいに整理します。それだけじゃありません。各候補者の経歴や専門分野を分析して、その人に合わせた連絡メールを作成します。送った後は返信を自動で追跡し、「返信あり」「進行中」「未返信」といった具合に整理してくれます。返信があれば、カレンダーと連携して面接の日程調整を行い、面接に必要な資料まで準備してくれるんです。

今まで採用担当者が一週間かけてやっていた仕事が、本当に1つの指示で終わってしまう。これは単なる効率化という話ではありません。仕事そのものの意味が変わってしまうということなんです。

事務の仕事も激変します

Cometができることは採用業務だけじゃありません。Srinivasによれば、このAIブラウザは事務員さんがやっている多くの仕事も引き受けることができるそうです。メールの管理、スケジュール調整、会議の準備といった、会社を回すために欠かせない仕事すべてが自動化の対象になります。

たとえば、重要な会議があるとしましょう。Cometは関連するメールのやり取りを読み込んで、議題を整理し、必要な資料を準備します。参加者全員の予定を確認して、都合の良い時間を提案し、会議室の予約まで済ませてくれます。会議が終わったら、お礼のメールを送り、決まったことを文書にまとめ、次にやるべきことを管理してくれます。これらすべてが、人間が手を出さなくても勝手に進んでいくんです。

さらに興味深いのは、SrinivasがCometを単なるブラウザではなく、AIによる新しい基本ソフトのようなものとして考えていることです。彼の構想では、Cometは常に裏で動いていて、日本語で普通に話しかけるだけで指示を理解し、いくつもの仕事を同時に進めてくれます。利用者は「Cometの仕事」をいくつも立ち上げて、それぞれが勝手に仕事を進めている間、自分はもっと大切なことに集中できるというわけです。

1つの指示に30万円払う価値があるか

Srinivasの発言で最も話題になったのは、料金についての部分でしょう。彼は「もしそれで何億円もの商売につながるなら、1つの指示に2,000ドル（約30万円）を払うのは理にかなっている」と言いました。

一見すると、1つの指示に30万円なんて、とんでもない金額に思えますよね。でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。優秀な採用担当者を1週間雇ったら、給料はいくらになるでしょうか。さらに、その担当者が見逃してしまうかもしれない優秀な人材を採用できなかったら、会社にとってどれだけの損失になるでしょうか。いい人材を適切な時期に採用できるかどうかは、会社の成長を大きく左右します。そう考えると、30万円という金額も、そんなに非現実的ではないのかもしれません。

この料金設定は、私たちに大切な問いかけをしています。AIが人間の仕事を代わりにやるようになったとき、その価値をどう測ればいいのか。そして、人間の働く価値はどう変わっていくのか。ネットショップを運営する社長さんにとっても、これは避けて通れない問題です。

経営者たちの意見は真っ二つ

Srinivasの発言は、世界中の経営者たちの間で大きな議論を呼んでいます。面白いのは、AIの影響について、トップ経営者たちの見方が大きく分かれていることです。

悲観的な見方をする経営者たちは、AIによって多くの仕事がなくなると予想しています。AnthropicのCEO、Dario Amodeiは、5年以内に新入社員レベルの仕事の半分がAIに取って代わられると言っています。これは若い人たちにとって、とても厳しい現実を意味します。自動車大手FordのCEO、Jim Farleyはさらに踏み込んで、「AIは事務系の仕事の半分を奪う」と警告しています。

一方で、もっと前向きな見方をする経営者もいます。SalesforceのCEO、Marc Benioffは、AIを人間の能力を広げる道具として見ています。彼の考えでは、AIは人間の代わりになるのではなく、人間がもっと価値の高い仕事に集中できるように手助けしてくれる存在です。NVIDIAのCEO、Jensen Huangも同じような立場で、AIを「人間を強くする技術」と位置づけています。

でも、どちらの見方が正しいにしても、Srinivasが言った警告は無視できません。「AIを使える人は、使えない人よりもずっと仕事を見つけやすくなる」という言葉は、すべての働く人に向けられた明確なメッセージです。AIを使えるかどうかは、もう選択の問題ではなく、生き残るために必要な能力になりつつあるんです。

日本の中小企業が今すぐやるべきこと

このようなAI革命の波は、日本の中小企業にも確実に押し寄せています。採用や事務作業の自動化は、決して大企業だけの話ではありません。むしろ、人手不足に悩む中小企業こそ、この変化を上手く活用すべきなんです。

まず考えるべきは、自社の仕事の流れを見直すことです。商品データの入力と更新、お客様からの問い合わせへの最初の対応、在庫管理と発注、販促メールの作成と配信など、今は人がやっている作業の多くが、近い将来AIでできるようになります。これは脅威であると同時に、大きなチャンスでもあります。単純作業から解放されることで、お客様との関係づくりや新商品の企画など、もっと大切な仕事に時間を使えるようになるからです。

次に大切なのは、人間にしかできない価値を追求することです。AIがどんなに進歩しても、自社のブランドの物語を作ること、お客様との心のつながりを作ること、新しい商品のアイデアを生み出すこと、複雑で答えのない問題を解決することなど、人間の感性や創造力が必要な領域は残ります。中小企業は、こういった領域で差をつける必要があります。

そして何より急いでやるべきなのは、AIの使い方を覚えることです。ChatGPTやClaudeといった基本的なAIツールの使い方から始めて、効果的な指示の出し方を学び、AIツールの得意なことと苦手なことを理解することが大切です。これは一朝一夕にはできませんが、今すぐ始めなければ、競合他社に大きく遅れを取ることになるでしょう。

導入するときは、少しずつ進めるのが賢明です。いきなりすべてを自動化しようとするのではなく、まず1つの仕事で試してみて、効果を確認し、改善点を見つけてから次の仕事へと広げていくべきです。失敗を恐れず、でも慎重に、着実に前に進むことが成功の鍵となります。

うるチカラが提供する解決策

こうしたAI時代の変化に対応するため、うるチカラでは業界初となる「ネットショップのAI活用オンライン塾」を開催しています。日本の中小企業の実情に合わせた、実践的なAI活用方法を学べる場を提供しています。

大企業向けの難しい理論ではなく、明日から使える具体的な方法をお伝えします。商品説明文の作り方、お客様対応の自動化、在庫管理の効率化など、ネットショップ運営に直結する内容を、分かりやすく解説します。同じ悩みを持つ仲間と一緒に学ぶことで、孤独になりがちな経営者の皆さんを支援します。

変化の速さと私たちの選択

Perplexity CEOの発言が示しているのは、変化の速さが私たちの想像をはるかに超えているという事実です。「1週間分の仕事が1つの指示で完了する」という現実は、もはや空想の話ではありません。それは今、この瞬間に起きている変化なのです。

日本の中小企業にとって、この変化は避けることのできない大波のようなものです。その波に飲み込まれるか、それとも波に乗って前に進むか、選択は私たち自身にあります。大切なのは、変化を恐れるのではなく、変化をチャンスとして捉えることです。

AIツールを敵だと思って抵抗することは意味がありません。むしろ、AIを頼もしい味方として受け入れ、その力を最大限に活用することで、今まで無理だと思っていた商売の展開が可能になります。人件費の削減、24時間365日の対応、ミスの減少、事業の拡大など、AIがもたらす恩恵は計り知れません。

でも同時に、人間としての価値を見失ってはいけません。AIが得意なことはAIに任せ、人間は人間にしかできないことに集中する。この役割分担こそが、AI時代を生き抜く鍵となるでしょう。

まとめ：今日から始める未来への準備

Aravind Srinivasの発言は、私たちに大切な選択を迫っています。変化に対応してAIと共に成長するか、それとも変化を拒否して時代に取り残されるか。この選択に正解はありませんが、一つ確実に言えることは、何もしないことが最大のリスクだということです。

「AIを使える人が、使えない人よりもずっと仕事を見つけやすくなる」というSrinivasの言葉は、脅しではなく、現実的な予測です。ネットショップを成功させ続けたいのであれば、今すぐAIについて学び始める必要があります。

まずは小さな一歩から始めてください。無料のAIツールを試してみる、AIに関する記事を読む、うるチカラのオンライン塾に参加する、どんな小さな行動でも構いません。大切なのは、今日、この瞬間から始めることです。

Cometのような高度なAIツールが当たり前になる未来は、もうすぐそこまで来ています。その未来において、あなたのネットショップが繁栄するか衰退するかは、今日のあなたの選択にかかっています。変化を恐れず、でも慎重に、AIという新しい波に乗る準備を始めましょう。それが、不確実な未来を生き抜くための、最も確実な方法なのです。

日本の中小企業の底力を、AIの力で何倍にも増幅させる。それが私たちの目指す未来です。一緒に、この大きな変化の波を乗り越えていきましょう。