「ChatGPTとの会話がどんどん増えて、過去のプロジェクトのやり取りを探すのが大変…」 「プロジェクトごとに、AIに同じ背景情報を何度も説明するのが面倒…」
そんな経験はありませんか? AIとの連携が深まるほど、情報の管理は重要な課題になります。
このシリーズ「日本語で学ぶOpenAI Academy」では、OpenAI公式の学習プラットフォーム「OpenAI for Business」コレクション(全13本)の内容を、日本語で徹底解説しています。
第4回のテーマは、「Creating a contextual workspace in ChatGPT(ChatGPTに文脈に沿ったワークスペースを作成する方法)」。
ChatGPTを単なる「一問一答のチャットボット」から、プロジェクトの全情報を記憶し、最適なアシスタントとして機能してくれる「頼れる同僚」へと進化させる方法をご紹介します。
今回のキーポイント:プロジェクト単位でAIに「記憶」させる
今回紹介する機能の核心は、ChatGPT内にプロジェクト専用の「ワークスペース」を作成することです。
これにより、そのプロジェクトに関連する会話やドキュメントが一元管理され、AIはそのワークスペース内でのやり取りの文脈を常に記憶し続けます。つまり、プロジェクトチームの一員が持つべき「共通認識」を、AIにも持たせることができるのです。
本編:優秀なプロジェクトアシスタントを育てる3ステップ
動画では、新製品「分析製品」のローンチ(市場投入)プロジェクトを例に、ワークスペースの作成方法が紹介されています。
ステップ1:プロジェクトの立ち上げと「知識」のインプット
まず、ChatGPTのサイドバーから新しいプロジェクトを作成し、「分析製品ローンチ」のように名前を付けます。
次に、このプロジェクトの「脳」となる情報をインプットします。具体的には、関連するドキュメント類(製品要求仕様書、顧客からの要望リスト、市場分析レポートなど)をすべてアップロードします。
これにより、このワークスペース内のChatGPTは、これらの資料の内容をすべて理解した上で、ユーザーとの対話を開始します。
ステップ2:AIの「役割」と「人格」を設定する
さらに、カスタム指示(Custom Instructions)機能を使って、このワークスペース内でのAIの振る舞いを定義します。
例えば、「あなたはこのプロジェクトの製品運用アドバイザーです」とか「常に製品担当副社長の視点から、厳しい指摘をしてください」といった役割を設定できます。これにより、AIは単なる情報提供者ではなく、設定されたペルソナに基づいた、より専門的で価値のある応答を返すようになります。
ステップ3:蓄積された文脈を基に、高度なタスクを実行
準備が整うと、このワークスペースは強力なプロジェクト推進ツールとなります。
動画では、これまでアップロードした複数のドキュメントの内容をすべて踏まえた上で、「マーケティングチームとエンジニアリングチームのタスクを含む、詳細なローンチ計画を作成して」と指示します。
するとAIは、蓄積された文脈を基に思考し、数分で詳細な計画のドラフトを作成します。生成された計画には、どのドキュメントのどの部分を参考にしたかという参照元も示されており、非常に信頼性の高いものとなっています。
さらに、このワークスペース内で新しいチャットを始め、「北米とヨーロッパで開催される、関連イベントを探して」と指示すれば、ウェブ検索機能を使って最新情報を見つけ出し、その結果もプロジェクト内に記録として蓄積されていきます。
まとめ:AIを「フロー情報」から「ストック情報」のパートナーへ
今回の「文脈ワークスペース」機能がもたらす最大の価値は、AIとのやり取りを、その場限りで消えていく「フロー情報」から、プロジェクトの資産として蓄積されていく「ストック情報」へと変える点にあります。
プロジェクトごとにワークスペースを作成し、知識をインプットし、役割を与える。このプロセスを通じて、ChatGPTはあなたの指示を待つだけのツールから、プロジェクトの全体像を理解し、自律的に価値を生み出す真のパートナーへと成長していくのです。
