「外出先で急いで情報収集したいけど、スマホで文字を打つのは面倒…」 「複雑なグラフや図を、誰かに口頭で分かりやすく説明してほしい…」
キーボードでのテキスト入力。それが、これまでのAIとの主なコミュニケーション方法でした。しかし、その常識はもはや過去のものです。
このシリーズ「日本語で学ぶOpenAI Academy」では、OpenAI公式の学習プラットフォーム「OpenAI for Business」コレクション(全13本)の内容を、日本語で徹底解説しています。
第5回のテーマは、「Vision and voice in ChatGPT(ChatGPTにおける視覚と音声)」。
まるでSF映画のように、AIが私たちの目となり、耳となり、口となって、リアルタイムに世界を認識し、対話する方法をご紹介します。
今回のキーポイント:マルチモーダルAIとの対話
今回の核心は、ChatGPTがテキストだけでなく、画像(Vision)や音声(Voice)も理解し、生成できる「マルチモーダルAI」であるという点です。
スマートフォンのカメラやマイクを通じて、あなたが今見ているもの、聞いていることをAIがリアルタイムに共有し、人間と話すのと同じくらい自然な対話を実現します。
本編:ビジネスシーンを革新する2つの活用例
動画では、プライベートとビジネス、2つのシーンでこの機能の驚くべき実力が紹介されています。
活用例1:リアル世界のものを「見る」 – 書籍の内容を瞬時に把握
最初の例では、ユーザーが書店で手に取った本をスマートフォンのカメラで写しながら、ChatGPTに話しかけます。
- カメラで本を写す: ユーザーは音声モードでChatGPTを起動し、カメラアイコンをタップしてビジョン機能を有効にします。
- 音声で質問する: 「この本、面白そう?クロワッサンのレシピは載ってる?」と話しかけます。
- AIが回答: ChatGPTは本の表紙や目次(を写していると仮定)を「見て」、内容を理解し、「はい、素晴らしいクロワッサンのレシピが載っていますよ。オンラインではここで購入できます」と音声で回答します。
これは、出先で見つけた商品や資料について、タイピングすることなく、瞬時に詳細な情報を得られることを意味します。
活用例2:PCの画面を「見る」 – 複雑なグラフを数秒で要約
次の例は、よりビジネスシーンに特化しています。クライアントとの会議前、メールで送られてきた複雑な「コホート分析」のグラフを前に、ユーザーは洞察を得ようとします。
- PC画面を共有: ユーザーはPCの画面にグラフを表示した状態で、スマートフォンアプリのビジョン機能を使ってその画面を写します。
- 音声で依頼する: 「このチャートから重要なポイントを教えて。クライアントに説明しなきゃいけないんだ」と話しかけます。
- AIが分析・要約: ChatGPTはグラフのデータを「見て」瞬時に分析。「このグラフは顧客定着率を示しています。特に3月に獲得した顧客グループのパフォーマンスが最も高いですね。一方で1月のグループは収益が低下傾向にあります」といった形で、重要なインサイトを音声で分かりやすく要約します。
これまで人間が時間をかけて読み解いていた複雑なデータも、AIに「見せて、説明して」と頼むだけで、要点を瞬時に掴むことができるのです。
まとめ:AIとの対話が、人間同士のそれに近づく
今回の「Vision and voice」機能が示すのは、AIとのコミュニケーションが、キーボードという制約から解放され、より人間の五感に近い形へと進化している事実です。
目で見て、声で話す。この直感的なインターフェースは、移動中やデスクワーク中など、あらゆるビジネスシーンで私たちの能力を拡張し、より迅速で的確な判断をサポートしてくれる強力なツールとなるでしょう。
