「AIは企画や調査には使えるけど、実際の開発作業、つまりコーディングは専門のエンジニアの領域だよね?」
そうお考えのビジネスパーソン、そして日々コーディングに励む開発者の双方に、ぜひ知っていただきたいのが今回のテーマです。
このシリーズ「日本語で学ぶOpenAI Academy」では、OpenAI公式の学習プラットフォーム「OpenAI for Business」コレクション(全13本)の内容を、日本語で徹底解説しています。
第3回のテーマは、「Shipping code to your IDE with ChatGPT(ChatGPTを使ってIDEにコードを出力する方法)」。
AIを単なる相談相手ではなく、コーディング作業を直接手伝ってくれる「ペアプログラマー」に変える、画期的な連携方法をご紹介します。
今回のキーポイント:ChatGPTとIDE(統合開発環境)の直接連携
これまで、多くの開発者はコードのエラーを修正するために、エラーメッセージをコピーしてChatGPTに貼り付け、提案された修正コードをまた手動でコピーして貼り付け直す、という作業を行っていました。
今回紹介するのは、その手間を一切なくす方法です。ChatGPTと、VS Codeのような多くの開発者が利用するIDE(統合開発環境)を直接連携させ、シームレスな開発体験を実現します。
本編:コーディングとデバッグを加速する3ステップ
動画では、開発者が決済システムのAPIを統合する際に発生したエラーを、ChatGPTと連携して解決する場面が紹介されています。
ステップ1:IDEの中からChatGPTを呼び出す
まず、開発者は普段作業しているIDEの画面から、ショートカットキー(動画では Option + Spacebar
)を使ってChatGPTを直接呼び出します。
そして、「このコードのエラーを修正してほしい」といった自然な言葉で、解決したい課題を伝えます。
ステップ2:ファイル全体をAIと安全に共有
次に、「Work with apps」のようなボタンをクリックするだけで、現在開いているコードファイル全体が、安全な形でChatGPTと共有されます。
ここでのポイントは、画面に表示されている一部分だけでなく、ファイル全体の文脈(コンテキスト)をAIが理解できる点です。これにより、より正確で質の高い修正案が期待できます。
動画では、コーディングのユースケースに特化したモデル(動画内では 03 minihigh
という開発段階の名称)に切り替えることで、さらに精度を上げています。これは現在のGPT-5 Proなど、目的に応じて最適なモデルを選択する考え方に応用できます。
ステップ3:AIの提案をワンクリックでコードに反映
ChatGPTは、問題解決のための「思考の連鎖」を示しながら、具体的な修正案を生成します。
そして最も革新的なのが、その提案された修正内容を、IDE内のファイルに自動的に適用する機能です。開発者は、提案が正しいことを確認し、ボタンをクリックするだけで、修正が完了します。
動画の例では、決済APIの要件に合わせて、変数名の命名規則(キャメルケースからスネークケースへ)をAIが自動で修正し、IDE上のコードが書き換わりました。
まとめ:AIが開発の技術顧問になる未来
今回の「Shipping code to your IDE with ChatGPT」で示されたのは、AIが開発プロセスに深く統合される未来の姿です。
エラーメッセージやコードをコピー&ペーストする時代は終わり、AIはIDEと一体化し、開発者の隣で常にサポートしてくれる「技術顧問」のような存在になります。
これにより、開発者はエラーの特定や修正といった時間のかかる作業から解放され、より創造的で本質的な開発業務に集中できるようになります。
