Googleは2026年7月16日、AIモードに外部アプリ連携機能を追加しました。
検索結果の画面から一歩も出ずに、買い物リストの作成からカート投入までが完結する。そんな購買体験が、いよいよGoogle検索の標準機能になり始めました。TechCrunchによると、Googleは2026年7月16日、対話型検索「AIモード」で外部アプリとアカウント連携し、検索画面内から直接操作できる機能の提供を米国で開始しました。初期対応はInstacart、Canva、YouTubeの3サービスです。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、日本のEC事業者への影響を3つの論点で解説します。

何が起きたか:検索が「調べる場所」から「実行する場所」へ
結論から言うと、Google検索のAIモードが、外部アプリのタスクを検索画面内で完結させる段階に入りました。Googleの公式発表によると、ユーザーは自分のアカウントをAIモードに安全にリンクし、対応アプリを検索の会話の中から直接操作できます。提供開始は米国で、今週から順次ロールアウトされています。
具体例としてGoogleが挙げているのは、バーベキューの計画です。AIモードで食材の買い物リストを作り、Instacartアカウントを連携すれば、材料をそのままInstacartのカートに追加し、アプリまたはWebですぐに決済まで進めます。ほかにも、Canvaに依頼してチラシのテンプレート候補を表示させる、パーティー用のプレイリストを作ってYouTube Musicに保存する、といった使い方が示されています。
この動きは突然のものではありません。Googleは2026年に入ってから、AIモードに近隣店舗の在庫確認機能(4月)、Webとの並列表示機能(4月)、GmailやGoogleフォトと連携する「Personal Intelligence」(1月)を立て続けに追加してきました。今回のアプリ連携は、2026年のGoogle I/Oで発表されたGeminiアプリの外部アプリ連携(Canva、OpenTable、Instacartなど対応)を、検索本体に持ち込んだものと位置づけられます。
背景には競争があります。OpenAIのChatGPTはすでにDoorDashやSpotify、Uberなどのアプリ連携に対応し、AnthropicのClaudeもコネクタ機能で外部サービス接続をサポートしています。検索・対話AIの主戦場が「回答の正確さ」から「タスクの完遂」へ移る中で、Googleが検索という最大の入口で同じ土俵に立った格好です。
日本のEC事業者にとっての論点:購買の入口が検索画面の中に移る
結論として、この機能が日本に展開された場合、EC事業者にとっては「自社サイトに来る前に購買が始まる」構造変化を意味します。初期対応3サービスのうちInstacartが含まれている点が重要で、Googleが最初のユースケースとして食品・日用品の買い物を選んだことは、AIモードを購買導線として本格運用する意思の表れと読めます。
第一の論点は、商品情報の露出面の変化です。ユーザーがAIモードの会話の中で買い物リストを作り、そのままカートに入れるなら、従来の検索結果ページ(商品ページへの自然検索流入)を経由しない購買が増えます。日本でも、楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングの商品ページがAIモードの回答に引用される形が既に始まっており、その先の「回答内から購買アクションまで」がつながる未来が現実味を帯びてきました。
第二の論点は、連携パートナーの選定です。米国ではInstacartという「小売の代理購買プラットフォーム」が最初の枠を取りました。日本展開時に同じ枠を取るのは、出前館や楽天全体、あるいはAmazonのような大手プラットフォームである可能性が高く、中小EC事業者は自社が出店するモールがGoogleと連携するかどうかで影響が変わります。
第三の論点は、商品データの構造化です。AIが商品を扱いやすいように、商品名・価格・在庫・属性情報を構造化データで正確に配信しているサイトが、AIモード経由の露出で有利になります。これは4月の近隣在庫確認機能でも同じ構図で、Merchant Centerのフィード品質が実質的な参加条件になっています。
今後の展望と初動アクション
結論として、日本のEC事業者が今すぐやるべきことは大きく3つです。
まず、Google Merchant Centerのフィード整備です。商品名の正規化、GTIN(JANコード)の登録、在庫・価格の即時反映を徹底し、AIモードが商品情報を正確に読める状態を作ります。これは日本でアプリ連携が始まる前から効果がある施策です。
次に、AIモード・AI Overview経由の流入計測の準備です。Search Consoleでの流入変化を月次で記録し、従来の自然検索とAI経由の比率変化を把握しておくと、連携機能が日本に来たときの判断材料になります。
最後に、自社サイト側の構造化データ(Product、Offer、FAQPage)の実装確認です。モール依存の事業者も、自社ECを持つ事業者も、AIが「タスクを完遂できる相手」として自社の商品データを扱えるかどうかが、次の集客競争の分かれ目になります。
Googleは今後さらに多くのパートナーとの連携を予定していると発表しており、対応アプリは順次拡大される見込みです。日本展開の時期は現時点で未発表です(要確認)。
まとめ
GoogleのAIモードがアプリ連携に対応し、検索画面内で買い物リスト作成からカート投入までが完結する時代が米国で始まりました。日本のEC事業者は、Merchant Centerのフィード品質と構造化データの整備という「AIに選ばれる準備」を先行して進めておくべき局面です。検索流入の構造変化は待ってくれません。
参考文献
- TechCrunch: Google’s AI Mode now lets you link and interact with select apps
- Google公式ブログ: Connect more of your apps to Search
- TechCrunch: Google’s AI Mode can now help you find products in stock nearby
- TechCrunch: Google’s AI Mode can now tap into your Gmail and Photos
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
引用元: TechCrunch
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。