Gemini 4は超大型モデルへ|ピチャイが認めた弱点とEC活用3つの論点

GoogleがGemini 4の超大型ベースモデルの事前学習を開始。ピチャイCEOはコーディングの弱点を認め、Gemini 3.5 Proは遅延中です。EC事業者が投資すべきモデルとFlash活用の3つの論点を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

Googleが次世代AIモデルGemini 4の事前学習を開始しました。

2026年7月22日のAlphabet第2四半期決算の電話会議で、CEOのサンダー・ピチャイが「次の飛躍にはもっと大きなベースモデルが必要だ」と述べ、Gemini 4の事前学習をすでに始めたと明らかにしました。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援を2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。目を引くのは、フラッグシップの遅れを認めつつ、日常業務向けの「Flash」系にこそ需要が集中しているとGoogle自身が語った点です。この構図は、日本のEC事業者がどのAIモデルに業務を預けるべきかを考えるうえで、示唆に富みます。

Alphabet第2四半期のAI指標。Geminiアプリの月間利用者は9億5,000万人に達した

何が起きたか|Gemini 4は「超大型ベースモデル」、3.5 Proは遅延

Gemini 4とは、Googleが次世代のフロンティアモデルとして事前学習を始めた、従来より大幅に大きなベースモデルのことです。The Decoderによると、ピチャイは決算会議で「次世代のフロンティアモデルには、はるかに大きなベースモデルが必要だ」と述べ、そのためのGemini 4の事前学習を、これまでで最も野心的な規模で開始したと説明しました。公開日は未定です。

あわせてピチャイは、自社の弱点も率直に認めました。「改善が必要だと認識している領域がある。コーディングとエージェント型コーディングがその一例で、チームは非常に強く集中している」と語っています。実際、フラッグシップに位置づけられるGemini 3.5 Proはまだ公開されておらず、Search Engine Journalは、コーディング性能が遅延の一因になったとするBloombergの報道を伝えています。6月下旬に投入した学習データの更新も、期待した水準に届かなかったとされます。

一方で、堅実な「Flash」系は着実に前進しています。7月21日に公開されたGemini 3.6 Flashは、3.5 Flash比で出力トークンが17%少なく、コーディング用ベンチマークDeepSWEでは49%(3.5 Flashの37%から上昇)を記録しました。ピチャイは「性能とコストのスイートスポットを突く主力のFlashシリーズには、非常に大きな需要がある」と述べています。Geminiアプリの月間利用者は9億5,000万人(2月の7億5,000万人から増加)に達し、Alphabetは2026年の設備投資見通しを最大2,050億ドルへ引き上げました。

日本のEC事業者にとっての論点|「フラッグシップ待ち」より用途別モデル

結論から言えば、Google自身が「Flash系は性能とコストのスイートスポット」と認めたことは、EC事業者にとって「最上位モデルを待たずに、日常業務は軽量モデルで回す」という判断を後押しします。

理由は、コスト構造にあります。3.6 Flashは3.5 Flash比で出力トークンが17%少なく、コスト効率が改善しました。商品説明文の量産、レビュー返信の下書き、問い合わせの一次対応、商品カテゴリの自動分類といった高ボリュームの反復業務では、この差が積み重なって月々の費用に響きます。低コストで高速なモデルの使い分けは、別記事でも整理しています。

具体的には、楽天RMSやAmazonセラーセントラル、Shopify、Yahoo!ショッピングの運用で、定型文の下書きや一次対応はFlash系で十分に回せます。フラッグシップのGemini 3.5 Proは公開日未定のため、これを前提に業務フローを組むと、いつまでも動き出せません。反対に、在庫連携や外部システムをまたぐ自動化は、Google自身がコーディングの弱点を認めた領域なので、ChatGPTやClaudeとも比較して選ぶ姿勢が要ります。3.6 Flashのコスト面は、こちらの記事でも詳しく扱っています。

今後の展望と初動アクション

見るべきは「他社との優劣」よりも「予定を守れるか」です。3.5 Proが実際に出荷されるか、ピチャイが語った月次リリースを続けられるかが、EC事業者がGeminiにどこまで業務を預けられるかを左右します。なお6月には、Gemini共同リードのノーム・シャジアーとAlphaFoldのジョン・ジャンパーという主要研究者2名が、それぞれOpenAIとAnthropicへ移ったと報じられており、開発体制の面でも注目が続きます。

初動として、次の点を整えておくと安全です。第一に、業務を「高ボリュームの定型作業」と「複雑な判断・自動化」に仕分け、前者はFlash系、後者は複数モデルで比較します。第二に、プロンプトを特定モデルの癖に依存させず、手順書に「どのモデルで何をさせるか」を分けて書き、モデルの差し替えを前提にします。第三に、未公開のフラッグシップを当てにして業務を止めず、いま動くFlash系や他社モデルで回す設計にします。第四に、単一ベンダーへの依存を点検し、Geminiが遅れてもChatGPTやClaudeで代替できる用途マップを持っておきます。

まとめ

Gemini 4の事前学習開始は、Googleが「次の飛躍には超大型モデルが要る」と認めた宣言でもあります。フラッグシップの遅れと、Flash系への需要集中という事実は、日本のEC事業者に「最上位を待つより、いま動くモデルで業務を回す」という現実的な構えを促します。用途ごとにモデルを仕分け、単一ベンダーに依存しない設計を今から整えることが、AIコストの抑制と安定運用の両面で意味を持ってきます。

参考文献

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https://uruchikara.jp/contact/

引用元: The Decoder


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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