Googleは2026年7月、クラウドの82%増収で巨額AI投資を正当化しました。
親会社アルファベットが発表した最新の四半期決算で、Google Cloudの売上高は前年同期比82%増の248億ドルに達し、市場予想を大きく上回りました。AIインフラへの巨額投資は本当に回収できるのか、という投資家の懸念に数字で答えた格好です。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援を2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、日本のEC事業者の視点で解説します。
Googleクラウドが82%増収、AI投資を裏づけた決算の中身
結論から言えば、今回の決算はGoogleのAI投資が売上として実を結び始めたことを示しています。TechCrunchによると、Google Cloudの売上高は前年同期比82%増の248億ドルとなり、ウォール街が見込んでいた224.6億ドルを上回りました。前四半期の伸びが63%増の200億ドルだったことを踏まえると、成長がさらに加速した四半期だといえます。
この伸びを牽引したのは、企業によるAIソリューションとAIインフラの導入だとGoogleは説明しています。まだ売上に転換していない受注残(バックログ)は5,140億ドルに膨らみました。純利益は1,121億ドルと、前年同期の281億ドルから大きく跳ね上がっています。アルファベット全体の売上高は前年同期比24%増の1,198億ドル、検索や広告を含むGoogle Services部門も15%増の945億ドルでした。
「私たちのAI投資は、事業のあらゆる領域で可能性を再定義しています」とサンダー・ピチャイは決算説明会で述べています。消費者向けでも普及は進み、AIチャットのGeminiは月間アクティブユーザーが9億5,000万人に達しました。2025年第4四半期時点では7億5,000万人だったため、半年ほどで2億人上積みした計算です。今回で12四半期連続の二桁成長となり、好調が一時的なものではないことも読み取れます。
なぜ日本のEC事業者にも関係するのか
この決算がEC事業者にとって重要なのは、日々の業務で使う生成AIツールの土台が持続可能だと裏づけられたからです。AIへの巨額投資が「バブルではないか」と疑われてきた中で、Googleは実際のクラウド売上でその懸念に応えました。AI基盤への投資が収益を生む構造に入ったことは、EC事業者がAIツールへ投資する判断の後押しになります。
具体的な接点は3つあります。1つ目は、Geminiの利用者が9億5,000万人規模まで広がったことです。消費者がAIアシスタント経由で商品を調べる行動が主流になりつつあり、商品説明文や広告コピー、接客文の生成にGeminiやVertex AIを活用する動きは今後さらに加速します。2つ目は、クラウドの成長を「企業のAI導入」が牽引している点です。EC事業者が導入する在庫予測やレコメンド、問い合わせ対応のAIツールの多くは、こうしたクラウドAI基盤の上で動いています。3つ目は、Googleが検索のAI投資を続ける以上、検索結果のAI要約(AI Overview)が自然検索の集客に与える影響も拡大し続けるという点です。生成AI検索に引用されるための対策、いわゆるGEO(生成AI検索最適化)の重要性が一段と増します。
なお、AI関連の巨額投資という文脈では、AMDがAnthropicに最大50億ドルを出資する動きも同時期に報じられており、AIインフラ競争が加速していることがうかがえます。
今後の展望とEC事業者の初動アクション
投資回収の本番は2027年になる、というのがGoogle自身の見立てです。ピチャイは決算説明会で「コンピューティング能力への投資は2027年に効いてくる」「長期契約を含む強い需要指標が見えている」と語り、投資を続ける自信を示しました。一方で設備投資は年間1,800億〜1,900億ドルと見込まれ、アナリストからは回収時期を追及する声も上がっています。数字の大きさゆえに、成長が続く限りは正当化される一方、鈍化すれば批判に転じやすい構図です。
EC事業者が今のうちに取るべき初動は次の通りです。まず、GeminiやVertex AIを商品説明・広告文・FAQ生成といった限定領域で試す小さな検証から始め、いきなり全社導入しないことです。次に、Google AI Overviewを見据えて、記事や商品ページを結論先出し・構造化した形に整え、生成AI検索から引用されやすくしておくことです。最後に、クラウドAIツールのコスト構造を把握し、投資対効果を測る指標を導入前に決めておくことです。土台となるインフラが伸び続ける局面だからこそ、費用対効果を先に設計しておく姿勢が欠かせません。
まとめ
Googleはクラウド82%増収と純利益1,121億ドルという決算で、巨額AI投資の正当性を数字で示しました。Geminiは9億5,000万人に普及し、企業のAI導入がクラウド成長を牽引しています。日本のEC事業者にとっては、業務で使うAIツールの土台が固まりつつあるサインです。小さな検証とGEO対策から着実に足場を築くことをおすすめします。
参考文献
- TechCrunch: Google justifies its massive AI spending with a booming cloud business
- Bloomberg: Alphabet Posts Cloud Sales Beat, Slight Miss on Search Revenue
- TechCrunch: Google’s Gemini app has surpassed 750M monthly active users
- TechCrunch: Alphabet plans to raise $80 billion to pay for AI buildout
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: TechCrunch
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。