Claude Design とは、Anthropic Labs が2026年に公開した、文章の指示から資料やUIを作るAIツールのことです。
Claude Designは、2026年4月17日にAnthropic Labsのリサーチプレビューとして公開された、文章の指示だけでスライド・ワンページ資料・プロトタイプ・UIモックアップを生成するツールです。専属デザイナーがいないEC事業者でも、セールバナーの構成案や商品ページのビジュアル骨子、社内向けの提案スライドを、数分の対話で形にできます。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、Claude DesignをEC業務でどう使い倒すかを、具体的な作り方とプロンプト4本で解説します。
Claude Designが2026年のEC制作をどう変えたか
Claude Designの登場で変わったのは、「作る前の設計」にかかる時間です。Claudeを提供するAnthropicが実験的機能を出すAnthropic Labsから、2026年4月17日にリサーチプレビューとして公開されました。公開当初はClaude Opus 4.7をベースにしていたとされ(要確認)、文章での指示をもとにプロトタイプ、ピッチデッキ、スライド、ワンページ資料などを生成します。Claude.aiの画面左のナビゲーションにあるパレット型のアイコンから起動し、既存のチャットやコーディング枠とは別の週次利用上限が設けられています。利用できるのはPro、Max、Team、Enterpriseの有料プランです。
公開直後の反響は大きく、デザインツール大手の株価が下落し、Claudeへの検索関心が過去最高水準に達したと報じられました。数字の真偽はさておき、注目すべきはEC事業者にとっての意味です。これまで外注やデザイナーの手が必要だった「たたき台づくり」を、店長やマーケ担当が自分の言葉で回せるようになりました。バナーの訴求軸、LPの構成、セール告知の骨子といった、制作の前段にある意思決定を速く回せるのが本質的な価値です。
現場で繰り返し見るのは、制作物の品質より「最初の1案が出てこない」ことで施策が止まる状況です。Claude Designは、この初速の壁を下げます。モデルの選び方や役割分担はClaude Opus 4.8とSonnet 5の使い分け解説にも整理していますが、制作の初動づくりにはClaude Designのような生成系ツールが噛み合います。
ECの制作物をClaude Designで作る手順とプロンプト
Claude DesignをEC業務で使うときは、作りたい成果物を1つに絞り、目的・対象・訴求を言葉で渡すのが基本です。いきなり「かっこいいバナーを作って」と頼むと抽象的な結果になります。誰に、何を、どの場面で見せるのかを具体的に指定するほど、最初の1案の精度が上がります。ここでは、EC事業者が使う頻度の高い4つの成果物について、そのまま使えるプロンプトを示します。宣言どおり4本すべてを実装します。
まずはセールバナーの構成案です。画像そのものの最終仕上げは各モールの入稿規定に合わせる必要がありますが、訴求とレイアウトのたたき台づくりに向いています。
(用途タイトル:セールバナーの構成案)
あなたはECのセールバナーを設計するデザイナーです。
以下の条件で、バナーの構成案を3パターン提案してください。
各パターンで示す要素:
1. キャッチコピー(15文字以内)
2. サブコピー(25文字以内)
3. 配置イメージ(主役の商品・価格・クーポン訴求の並び)
4. 配色の方向性(季節感・ブランド感を言葉で)
条件:
- 「最安」「日本一」などの最大級表現は使わない
- 対象:{ジャンル}のセール
- 訴求の主役:{値引き率 / ポイント倍率 / 送料無料 など}
出力:3パターンを見出し付きで
次に、商品LPの構成骨子です。Claude Designはワンページ資料の生成が得意なため、LPの流れを設計する用途に噛み合います。
(用途タイトル:商品LPの構成骨子)
あなたはEC商品LPの構成設計者です。
以下の商品について、上から下へのLP構成を設計してください。
含めるセクション:
1. ファーストビュー(誰の悩みをどう解決するかを1文で)
2. 悩みへの共感と課題提起
3. 商品の特徴を3点(属性→ベネフィットの型で)
4. 使用シーン・使い方
5. お客様の声で使う要素(何を載せるべきか)
6. 安心要素(保証・素材・産地)
7. 購入導線(迷いを消すひとこととCTA)
商品情報:{ジャンル, 特徴, 想定顧客, 価格帯}
出力:セクションごとに要点と入れるべき文言の方向性を記述
三つめは、社内やモール担当者へ見せる提案スライドです。施策の承認を得る場面で効きます。
(用途タイトル:施策提案スライドの骨子)
あなたは社内提案の資料設計者です。
以下の施策について、5〜7枚構成の提案スライドの骨子を作ってください。
各スライドで示す内容:
- スライドタイトル
- 伝える要点を2〜3行
- 必要な数字やグラフの種類
施策:{例:お買い物マラソンでのRPP広告の増額}
背景データ:{直近の売上・広告費・CVRなど手元の数字}
出力:スライド番号順に、タイトルと要点
四つめは、商品ページのファーストビュー案です。画像の最終制作前に、要素の優先順位を決めるために使います。
(用途タイトル:商品ページのファーストビュー案)
あなたはEC商品ページのビジュアル設計者です。
以下の商品について、ファーストビューに載せる要素の優先順位を提案してください。
出力項目:
1. 一番大きく見せる要素(主役)
2. 2番目・3番目に見せる要素
3. 入れるべき短い訴求コピー(各10文字以内で3本)
4. 避けるべき表現(薬機法・景表法の観点で)
商品情報:{ジャンル, 主要ベネフィット, 差別化ポイント}
出力:優先順位付きのリストと理由
4本のプロンプトに共通するのは、成果物の「設計」までをAIに任せ、最終仕上げは人と各モールの規定に委ねる分担です。Claude Designが出すのはあくまで初案であり、そこから店舗の世界観や入稿規定に合わせて整えるのが前提になります。
失敗例と回避策
Claude DesignをEC制作に使うときのつまずきは、主に3つあります。第一は、出力をそのまま本番の入稿物として使ってしまうケースです。生成された構成やコピーには、薬機法・景表法に触れる表現や、モールの禁止表現が紛れることがあります。回避策は、生成物を必ず人がチェックし、最大級表現や効果効能の断定を削る工程を挟むことです。
第二は、指示が抽象的で毎回ぶれるケースです。「良い感じのバナー」という依頼では、対象も訴求も定まらず、案の質が安定しません。誰に・何を・どの場面でを言葉で固定し、訴求の主役を1つに絞ると再現性が上がります。第三は、有料プランの利用上限を見落とすケースです。Claude Designはチャットやコーディングとは別枠の週次上限があるため、繁忙期に集中して使うと途中で頭打ちになることがあります。使う時期を計画し、テンプレ化した指示で無駄打ちを減らすのが有効です。
KPI設計と費用・工数目安
Claude Design導入の効果は、制作の初動にかかる時間で測るのが分かりやすいです。従来、バナーやLPのたたき台づくりを外注やデザイナーに依頼すると、初稿が上がるまで数日かかることも珍しくありませんでした。Claude Designなら、初案の生成自体は数分で、確認と修正指示を含めても大幅に短縮できます。KPIは「初案が出るまでの時間」「本番化までの往復回数」「外注に出す前に社内で固められた案の割合」の3点に置くと、効果が見えます。
費用面では、Claude Designは有料プランの機能として提供されます。Claude Proはおおむね月20米ドル前後で、より多くの利用枠が必要な場合はMaxやTeamプランを検討します。EC事業者にとっては、外注のたたき台づくりを内製へ寄せられる分の費用対効果で判断するのが現実的です。制作の全工程を置き換えるのではなく、前段の設計を内製化する道具として位置づけると投資判断がぶれません。制作以外のAI活用の広げ方はClaudeを使った業務の可視化と振り返りの記事も参考になります。
今後の展望と独自考察
Claude Designはリサーチプレビューであり、今後の機能追加やモデル更新で生成の質は変わっていく見込みです。EC事業者にとって重要なのは、ツールの最新機能を追うことより、「制作の設計をAIに任せ、仕上げと規定順守は人が持つ」という分担を業務に固定することです。この考え方は、ツールがClaude Designであれ他の生成ツールであれ共通して使えます。
もう一つの視点は、制作物の内製化がスピードそのものを競争力に変える点です。セールやトレンドに合わせてバナーやLPを素早く差し替えられる体制は、外注前提の運用より明らかに機動力が高くなります。スマホからの業務も広がっており、外出先での確認や指示出しはClaude Cowork のモバイル活用記事の考え方とも噛み合います。
よくある質問
Claude Designは無料で使えますか
いいえ、有料プラン向けの機能です。Pro、Max、Team、Enterpriseのいずれかの契約が必要で、無料プランでは利用できません。まずはProプラン(月20米ドル前後)で試し、利用枠が足りなければ上位プランを検討するのが現実的です。
Claude Designで作った画像はそのまま入稿できますか
いいえ、そのままの入稿は避けるべきです。生成物は初案であり、各モールの入稿規定や薬機法・景表法のチェックを人が通す必要があります。構成やコピーのたたき台として使い、最終仕上げは店舗側で整える前提で使ってください。
デザイナーがいない小規模店舗でも使えますか
はい、むしろ専属デザイナーがいない店舗ほど効果が出ます。文章で指示するだけで初案が出るため、これまで外注していたたたき台づくりを店長やマーケ担当が自分で回せるようになります。
Canvaなど既存のデザインツールと何が違いますか
Claude Designは「文章の指示から設計案を生成する」点に強みがあります。テンプレートを選んで手で作り込む従来型ツールと違い、目的と対象を言葉で渡すと構成案そのものが返ってくるため、作る前の設計を速く回せます。仕上げは従来型ツールと併用する使い方も有効です。
提案スライドの作成にも使えますか
はい、スライドやワンページ資料の生成は得意な用途です。施策の背景データと伝えたい要点を渡すと、スライドの骨子を構成順に出力できます。社内やモール担当者への提案を素早く形にしたい場面で役立ちます。
著者:齋藤竹紘(株式会社オルセル 編集長/5,000社以上のEC支援実績/書籍3冊)
参考文献
- Anthropic「Claude Design」製品ページ
- Digital Applied「Claude Design by Anthropic Labs: AI-Native Design Tool」
- SlideSpeak「How to Create Presentations with Claude Design (2026 Guide)」
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。