薬機法チェックをAIで一次スクリーニング|化粧品・健食の危険表現を3段階で仕分ける

化粧品・健康食品の商品ページを薬機法・景表法・健康増進法・ステマ規制の4観点で一次チェックするAIスキルを解説。危険度3段階の仕分けと媒体別の出し分け、導入時の限界まで整理します。

投稿日: カテゴリー EC×AI活用

このスキルを使うと、商品ページの薬機法・景表法チェックが数分で一次完了します。

化粧品やサプリを扱う店舗で、商品ページの文言チェックが特定の担当者に集中していないでしょうか。新商品のLPを作るたびに、薬事に詳しい1人へ確認待ちの列ができる。この滞留を解くのが、ALSEL Agent Skillsの「yakki-keihyo-expression-check」です。EC支援19年・5,000社超の実績を持つ株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、実務で使える範囲と限界を整理します。

4つの法令をまとめて一次チェックする

このスキルは、薬機法(医薬品医療機器等法)、景品表示法、健康増進法、ステマ規制(2023年10月1日施行)の4観点で文章を検査します。対象は商品ページ、広告コピー、LP、SNS投稿、メルマガ本文です。

最大の設計思想は「カテゴリ前提が判定を決める」という点にあります。同じ「肌の調子を整える」という表現でも、化粧品なら効能56項目の範囲内で許容され、いわゆる健康食品ならアウト、医薬部外品なら承認範囲次第で判定が変わります。スキルはまずカテゴリを確定させ、確定できない場合は仮カテゴリを明示したうえで暫定判定を出し、冒頭に「最終判断にはカテゴリ確認が必要」と表示します。判定が止まらない設計になっているため、日々の運用に組み込みやすい構造です。

対応カテゴリは、化粧品、医薬部外品、機能性表示食品、トクホ、栄養機能食品、一般食品(いわゆる健康食品)、雑貨(健康器具・美容器具)の7分類。雑貨については、身体への効能効果を標榜すると医療機器扱いになるため、「リラックス」「使い心地」といった物性表現の範囲に収まっているかを見ます。

抽出するリスク表現と、危険度3段階の仕分け

スキルは文章から機械的にNGトリガー語を拾います。効能効果の断定(治る、改善する、効く、消える、予防する、治療)、医薬品的な部位と作用の組み合わせ、最大級・絶対表現(最高、最強、世界一、業界No.1、完全、絶対、必ず、永久)、体験談やビフォーアフター、医師・専門家の推薦表記、価格表示(通常価格、定価、メーカー希望小売)、そしてPR表記のないインフルエンサー投稿などのステマ要素です。

拾った表現は3段階に仕分けられます。危険度「高」は、行政指導・課徴金・モール削除のリスクが高く客観的に違反しているもので、即時修正が必要です。「中」は、根拠資料があれば許容されるが現状の表記では危険なもの。No.1表記や二重価格がここに入ることが多く、対応は根拠確認か表現修正になります。「低」は解釈次第のグレー領域で、安全寄りに直す候補として提示されます。

景表法まわりでは、判断基準が具体的に組み込まれています。No.1表記の4要件(比較対象が適切、調査対象者が適切、公平な方法、表示と結果が対応)と、明示すべき5要素(調査主体・期間・対象・方法・出典)。二重価格の8週間ルール(セール直前8週間のうち4週間以上で実販売されていた価格であること、かつ販売終了から2週間以内)。打消し表示の7原則。課徴金は売上の3%で最大3年遡及、繰り返し違反は4.5%になります(2024年改正)。数字の根拠は消費者庁の景品表示法ページで確認できます。

実際の使い方

起動は自然文で構いません。「この商品ページを薬機法チェックして」「化粧品のLPコピー、景表法リスク見て」「No.1表記の根拠って何が必要?」といった呼び方で立ち上がります。入力は商品ページのテキスト、LPの原稿、SNS投稿の下書きなど、そのまま貼り付ければ処理されます。

出力は、前提(カテゴリ・チャネル・適用法令)の確認から始まり、リスク表現の一覧が危険度順に並びます。各行には原文表現、危険度、該当法令、根拠、代替表現案が入ります。代替表現は、化粧品効能56項目のリストと健康食品のNG/OK置換表をベースに、文脈を保ったまま2〜3案が生成されます。

実務で効くのが、媒体別の出し分け指示です。楽天市場やAmazonのモール内商品ページは、法令より各モールの審査ガイドラインのほうが厳しい場合があります。リスティングやSNS広告は媒体側の審査基準が別にあり、薬機系は特に厳格です。画像内のテキストは検索エンジンにはテキスト化されませんが、薬機法・景表法の対象にはなります。この4媒体それぞれについて、その表現を出してよいかが示されます。

最後に、社内で判定できない箇所が明示されます。機能性表示食品の届出番号が未確認、届出文言の原文確認が必要、医薬部外品の承認効能の確認が必要といったケースで、確認先と確認方法まで出ます。ここを曖昧にしないことが、一次チェックツールとしての信頼性を支えています。

導入インパクトと、正直な限界

商品100点規模の化粧品店舗で、新規登録とリニューアルを合わせて月20点の文言チェックが発生するとします。1点あたり薬事担当者が15分かけていれば月5時間。一次スクリーニングをスキルに任せ、担当者は「高」判定と「中」判定の根拠確認だけに絞ると、確認対象は3分の1程度に縮みます。現場感覚では、担当者の稼働は月1.5〜2時間まで下がる見込みです(店舗の商材構成によって変動するため目安)。

より大きい効果は、時間短縮そのものより、チェックの前倒しにあります。担当者確認待ちを恐れて原稿の段階でチェックを飛ばし、公開後に指摘されて差し戻す。この流れを何度も見てきました。ライターが原稿を書いた直後に自分でスキルを回せれば、危険表現が担当者に届く前に消えます。

限界も正直に書いておきます。このスキルは法律上の最終判断を代替しません。社内一次スクリーニング用であり、最終判断は薬事コンサル、弁護士、各モールの審査窓口に確認する前提で運用します。特に「中」判定は根拠資料の有無で結論が変わるため、スキルの出力だけで公開可否を決めるべきではありません。また、判定精度はカテゴリ確定の正確さに依存します。自社商品の分類(一般食品なのか機能性表示食品なのか)が社内で整理されていない状態で回すと、暫定判定の域を出ません。

なお、特定商取引法のページ表記チェックは「tokutei-shotorihiki-page-checker」、返品ポリシーの整合性は「return-policy-consistency-check」、レビュー返信の文面調整は「review-reply-tone-controller」と、別スキルに分かれています。

まとめ

このスキルが向くのは、化粧品・健康食品・美容雑貨を扱い、薬事チェックが特定の1人に集中している店舗です。一歩目として、直近で公開した商品ページを3点だけ流してみることをおすすめします。「高」判定がゼロなら現状の運用は機能していますし、複数出るなら、原稿工程にチェックを前倒しする価値があります。スキルはALSEL Agent Skillsから入手でき、Claude Codeなどのスキル対応環境で動きます。

参考文献

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https://uruchikara.jp/contact/


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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