米国で、AIをほぼ毎日使う成人が半年で8%から19%へ倍増しました。
Epoch AIが2026年9月14日に公開した調査で、直近1週間に週6〜7日AIを使ったと答えた米国成人の割合が、2026年3月の8%から同年8月には19%へ増えたことが分かりました。同じ期間に「週1日だけ」と答えた層は17%から10%へ減っています。AIが「ときどき試すもの」から「毎日ひらく道具」へ移り変わる過程が、数字として見える形になりました。日本のEC事業者にとっては、買い物客がAIに商品を尋ねる回数が増えることを意味します。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

週6〜7日のAI利用が8%から19%へ、週1日層は17%から10%に減少
今回の変化の中身は「AIを使う人が増えた」ことではなく、「すでに使っていた人が毎日使うようになった」ことです。週2〜5日の層は24%から27%へ3ポイントの微増にとどまった一方、週6〜7日の層は8%から19%へ11ポイント伸び、週1日の層は17%から10%へ7ポイント減りました。利用者の総数が急増したというより、利用の濃度が上がった構図です。
調査はIpsosのKnowledgePanelという確率抽出型パネルを使い、2026年3月3〜5日に2,017人、2026年8月28〜30日に1,016人の米国成人を対象に実施されました。回答者は無作為に選ばれ、集計値は米国成人全体を代表するよう重み付けされています。調査結果はクリエイティブ・コモンズ表示ライセンスで公開されており、元データのCSVも配布されています。
ただしEpoch AI自身が限界を明記しています。3月の調査は「AI全体を週に何日使ったか」を3択で聞いたのに対し、8月の調査はサービスごとに1〜7日の日数を聞き、その最大値を後から3区分に丸めています。設問形式が変わっているため、2時点の頻度の比較はあくまで近似だという注意書きが付いています。また、2回の調査は同じ人を追跡したものではなく、別々の対象者への調査である点も押さえておくべきところです。倍増という見出しの数字だけを鵜呑みにせず、「頻度が上がる方向に動いている」という傾向として読むのが適切です。
日本は利用経験58.8%でも組織的な取組なしが27.0%、頻度で差がつく
日本のEC事業者にとっての論点は、利用経験ではなく利用頻度で差がつく局面に入ったことです。総務省が2026年7月24日に公表した令和8年版情報通信白書によると、日本の個人の生成AI利用経験率は58.8%まで上がりました。2024年度調査の26.7%から2倍以上の伸びです。企業側も、1つ以上の業務で生成AIを使う割合が86.4%と、2024年度の55.2%から大きく増えています。
一方で、業務変革について「組織的な取組はない」と答えた割合は日本が27.0%で、米国の1.4%、ドイツの4.9%、中国の2.6%と比べて突出して高い水準です。つまり日本では「触ったことはある」人と企業が一気に増えたものの、毎日の業務に組み込むところまでは進んでいません。米国の消費者側で毎日利用が倍増している事実と並べると、買い手のAI利用頻度が売り手の社内AI利用頻度を追い越しかねない状況だと言えます。
EC運営の現場に引き直すと、変化は3つの場所に現れます。1つ目は流入です。AIに毎日質問する人が増えるほど、商品比較や店舗選びの一次スクリーニングがAIの回答内で終わる割合が上がります。うるチカラでもAI検索経由の集客を伸ばすDTC4社の実践で取り上げたとおり、AIに引用されるかどうかが新しい入口になりつつあります。2つ目は購入導線です。ChatGPT経由の購入体験の整備はChatGPTで売れるShopify設定で解説した手順が出発点になります。3つ目は自社の業務速度で、顧客が毎日AIを使う一方で店舗側が週1回しか使わなければ、問い合わせ対応や商品ページ更新の速さで見劣りします。
初動は自社商品のAI回答確認、商品情報の構造化、社内の毎日利用化
今週から着手できることは3つあります。第1に、自社の主力商品について、ChatGPTとGemini、Claudeの3つで「◯◯(カテゴリ名)のおすすめを教えて」と尋ね、自店が挙がるか、挙がった場合に価格や在庫の情報が正しいかを記録します。月1回の定点観測にすれば、AI側の回答が変わったタイミングを掴めます。AI検索でのシェア動向はChatGPT55.5%回復のSimilarwebデータでも触れたとおり流動的なので、単一のAIだけを見ないことが大切です。
第2に、商品ページの情報をAIが読み取りやすい形に整えます。サイズ、素材、原産国、賞味期限、送料条件といった仕様は、画像内の文字ではなくテキストで書き出します。楽天市場やYahoo!ショッピングでも商品説明文とスペック欄を埋めることが基本で、Shopifyや自社ECならJSON-LDの商品構造化データまで整えると読み取り精度が上がります。AIが画像内の文字を正確に読み取れないケースは今も残るため、テキスト化の有無が回答への採用率を左右します。
第3に、社内のAI利用を週1回から毎日に引き上げます。商品説明文の下書き、レビュー返信の草案、問い合わせメールの分類といった、失敗しても取り返しがつく作業から日次のルーチンに組み込むのが現実的です。総務省の白書が示す「組織的な取組はない27.0%」という数字は、裏を返せば、日次利用を先に定着させた店舗が差をつけられる余地が大きいことを示しています。
まとめ
米国でAIをほぼ毎日使う成人は半年で8%から19%へ倍増し、週1日だけの層は17%から10%へ減りました。設問形式の変更という留意点はあるものの、利用が濃くなる方向は明確です。日本では個人の利用経験が58.8%に達した一方、企業の27.0%が組織的な取組なしと答えています。買い手の利用頻度が上がる局面では、AI回答の定点観測、商品情報のテキスト化、社内の日次利用という3点を先に固めた店舗が有利になります。
参考文献
- Epoch AI「Near-daily AI use among US adults has more than doubled in six months」(2026年9月14日)
- Epoch AI「Polling on AI Usage」データエクスプローラー
- Ipsos「Epoch AI/Ipsos poll」調査概要
- 総務省「令和8年版情報通信白書(概要)」(2026年7月)
- The Decoder「Daily AI usage in the U.S. has more than doubled in just six months」
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
引用元: Epoch AI
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。