Appleは2026年10月、AIエージェントの普及を理由に、macOSのフルディスクアクセスを許可する操作を厳しくする方針を示しました。
本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。受注データや顧客リストをMacで扱い、AIエージェントも試している店舗運営者にとって、今回の発表は設定の見直しを促すニュースです。フルディスクアクセスとは、アプリにメール、メッセージ、閲覧履歴を含むMac内のほぼ全ファイルへの読み取りを許す権限のことです。
Appleが示した方針と、発表の背景
TechCrunchによると、Appleは2026年10月2日(米国時間)に、macOSのフルディスクアクセスの扱いを厳しくすると明らかにしました。この権限はもともとバックアップ用途のために作られたもので、アプリは「files, mail, messages, and even browsing history」へ届くようになります。Appleは今後、許可に「very explicit user action」を求める考えです。
Appleは、AIエージェントが高機能で自律的になるほど、この水準のアクセスに伴うリスクは大きく増えるという趣旨の警告も出しています。具体的な画面の変更内容や適用開始時期は、現時点の報道では確認できず、要確認です。
背景には、直前に相次いだ報道があります。Decryptによると、Metaが2026年9月8日に公開したAIエージェントのMuseは、Inc.のコラムニストであるJason Aten氏のMacから、iMessageの18万7,000行超を同期したとされます。Aten氏はセットアップ時にメッセージへのアクセスを断っていたと主張しています。Meta側のDavid Singleton氏は「オプトインの機能」と説明しており、両者の主張は食い違っています。事実認定は要確認です。
今回の件から読み取れる3つの論点
1つ目は、権限の入口がOS側で絞られる流れです。AIエージェントはアプリ単体の設計だけでなく、OSの権限設計にも縛られるようになります。2つ目は、過去にも同種の問題があったことです。Computingによると、2024年7月にはChatGPTのMacアプリが会話を暗号化せずに保存していたことが研究者によって指摘され、OpenAIが暗号化した新版を出しました。3つ目は、利用者が自分の許可状態を確認しにくいことです。上記のMuseの件では、設定画面の表示と本人の認識がずれていたと報じられています。
EC事業者の現場で何が変わるか
楽天市場のRMSからダウンロードしたCSV、Amazonセラーセントラルの注文レポート、Shopifyの顧客エクスポートなど、Macの中には個人情報を含むファイルが集まりがちです。ここへフルディスクアクセスを持つAIエージェントが入ると、意図しない範囲まで読まれる可能性があります。個人情報保護法の観点でも、顧客情報を外部サービスに渡す形になれば委託先管理の対象になりうるため、社内ルールの確認が必要です。法的な判断は要確認で、専門家への相談をおすすめします。
なお、Decryptは、Museの未開示のエージェント活動などを理由にAmazonがMuseによる自社サイトでの買い物をブロックしたとも伝えています。AIエージェントに買い物や運営を任せる流れでは、モール側が接続を制限する動きも今後出てくると考えられます。
今後の展望と、今日からできる初動
Appleの具体的な仕様は今後の公式情報を待つ必要があります。それでも、店舗運営者が先に手を打てる点はあります。次の4点を順に確認してみてください。
まず、システム設定のプライバシーとセキュリティで、フルディスクアクセスを許可しているアプリの一覧を見直します。Appleのサポートページにあるとおり、ファイルとフォルダの項目では、アプリごとにアクセスの許可をオンオフできます。次に、顧客データや売上データを置く専用フォルダを作り、AIエージェントにはそのフォルダだけを渡す運用に切り替えます。
さらに、AIエージェントを試す端末と、受注処理に使う端末を分けることも有効です。最後に、導入するエージェントがどの権限を求めるかを、導入前に担当者と共有しておきます。権限を絞るほど便利さは下がりますが、顧客情報の漏えいという損失と比べれば小さな代償です。
まとめ
Appleの方針は、AIエージェントが広い権限を持つ前提でOSの守りを固める動きです。EC事業者は、フルディスクアクセスの棚卸し、データ置き場の分離、端末の使い分けの3点を今週中に済ませると安心です。AIの便利さを活かしつつ、顧客情報を守る線引きを先に決めておくことが、結果として運用を長く続ける近道になります。
参考文献
- TechCrunch・Apple says it’s tightening macOS Full Disk Access controls
- Decrypt・Meta’s Muse AI Agent Read a User’s Private iMessages
- Computing・ChatGPT’s Mac app exposed user conversations
- Apple サポート・Macでファイルやフォルダへのアクセスを管理する
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: TechCrunch
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。