東南アジアのEC流通総額は2,260億ドル、AI活用で転換率10%増の3つの論点

Googleなど3社の2026年e-Conomy SEAレポートを解説。東南アジアのEC流通総額は2,260億ドル、パーソナライズで転換率10%増。日本のEC事業者が見るべき3つの論点を整理します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

東南アジアのデジタル経済は2026年に3,680億ドルへ拡大し、EC分野だけで2,260億ドルに達する見通しです。

本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

Googleは2026年10月21日、Temasek、Bain & Companyと共同でまとめた第11版のe-Conomy SEAレポートの内容を、Googleの公式ブログで公開しました。東南アジアのデジタル経済は、AIの普及を追い風に大きく伸びています。越境ECで東南アジア市場を視野に入れている事業者にとっては、需要の大きさとAIによる購買体験の変化を同時に読み取れる材料です。

東南アジアのデジタル経済GMVの推移を示すグラフ

東南アジアのEC流通総額は2,260億ドル、デジタル経済は2035年に1兆ドル超

結論から言うと、東南アジアのデジタル経済は2026年に流通総額3,680億ドル(前年比17%増)となり、2035年には1兆ドルを超える見込みです。Googleの公式ブログによると、グラフ上の推計値は2025年が3,150億ドル、2030年が6,200億ドル、2035年が1兆1,390億ドルとされています。

分野別に見ると、Eコマースは流通総額2,260億ドルで前年比18%増です。オンライン旅行は590億ドル(10%増)、オンラインメディアは収益440億ドル(22%増)、モビリティとフードデリバリーは400億ドル(15%増)と続きます。デジタル金融サービスは取引総額が1兆6,500億ドル(16%増)です。ここで言う東南アジアは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの6か国を主な対象とした区分で、東ティモールはデータ不足のため除外されています。

もう一つの注目点は、生成AIの日常利用者が2億4,300万人、労働人口の58%に達したことです。レポートはこの普及速度を、モバイルインターネットの普及より4倍速いと位置づけています。地域全体のAI利用量は今後5年で60倍に増えると見込まれています。

論点1と2:パーソナライズで転換率10%増、そしてAIに買い物を任せる消費者

日本のEC事業者にとっての最初の論点は、パーソナライズの効果が数字で示されたことです。レポートによれば、東南アジアのECではパーソナライズによって転換率が10%向上し、注文量は最大75%増えたとされています。楽天市場でも、Amazonでも、Shopifyで運営する自社ECでも、商品レコメンドやクーポン配信を顧客ごとに変える施策は、すでに日本の店舗が取り組んでいる領域です。海外モールの成果と比較する際の目安として使えます。ただし、この数字は地域全体の集計であり、日本の店舗にそのまま当てはまるかどうかは要確認です。

二つ目の論点は、エージェント型コマース、つまりAIが消費者に代わって比較や購入まで進める購買の広がりです。Googleの公式ブログには、価格追跡機能を使っているユーザーが72%、AIエージェントに価格比較と取引の自動実行を任せてもよいと答えた人が75%、1年前よりAIを信頼するようになった人が62%という調査結果が載っています。信頼する理由は、実績が56%、馴染みが55%です。一方で、消費者が求める保護策は、プライバシー保護が44%、AIの能力と限界の透明性が36%、エージェント取引の取り消し機能が30%でした。

この結果は、AIが商品を選ぶ時代には、人間の目に留まるバナーよりも、AIが読み取れる商品情報の質が売上を左右することを示唆しています。商品名、スペック、サイズ、素材、配送条件、返品条件といった属性情報を、モールの商品登録欄に漏れなく入れておくことが、日本国内の販売でも越境ECでも基本の備えになります。

論点3:日本の事業者は越境ECでどう動くか

三つ目の論点は、この市場に日本の事業者がどう関わるかです。今回のレポートが示すのは東南アジア全体の市場規模であり、日本からの越境ECの売上や、特定モールでの日本商品の販売動向は含まれていません。そのため、日本商品の需要がどれだけ伸びるかは、このレポートだけでは断定できず、要確認です。

それでも、取り組みの順番は明確です。まず、国内の商品登録で属性情報を整えます。次に、販売候補国の決済手段、配送日数、返品の受け付け方を確認します。Googleの公式ブログによれば、ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)は2026年11月の発効が予定されており、地域全体を対象とする世界初のデジタル貿易協定とされています。発効後の具体的な影響は、各国の運用が出そろってから確認する必要があります。

今後の課題としては、データセンター容量を今後5年で約3倍に拡大する必要がある点が挙げられています。AIの利用が増えるほど電力と設備の制約が事業環境に響くため、シンガポールのPUE規制やマレーシアの再生可能エネルギー供給制度など、各国の政策動向にも目配りが必要です。なお、レポートの本文とインフォグラフィックの間で一部の数値表記に不一致が見られるため、細かい割合を引用する際は原典の確認をおすすめします。

まとめ

東南アジアのデジタル経済は2026年に3,680億ドル、ECは2,260億ドルに達する見通しで、生成AIの利用者はすでに2億4,300万人です。日本のEC事業者は、地域の数字を鵜呑みにせず、まず自店の商品情報を整えること、次に越境ECの販売候補国を絞って条件を調べることから始めるのが現実的です。

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https://uruchikara.jp/contact/

参考文献

引用元: Google公式ブログ


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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