Ramp調査でAI支出が伸び悩み 7月42%増から1.5%増へ 3つの論点

Ramp調査でAI支出の伸びは7月の前月比42%増から8〜9月は1.5%増へ急減速。値下げ競争と使い分けが進む中、EC事業者が見直すべきモデル選びと予算管理の3つの論点を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

AIの支出は、2026年7月に前月比42%増だったトークン支出が、8〜9月は前月比1.5%増まで鈍化しました。

本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。TechCrunchは2026年11月6日、法人カード大手Rampのデータをもとに、企業のAI支出の伸びが急減速したと報じました。一方でトークンの利用量そのものは増え続けており、企業が「使う量は増やしつつ、1回あたりのコストを抑える」方向へ動き始めたことがうかがえます。ChatGPTやClaudeを店舗運営に取り入れているEC事業者にとっても、他人事ではない動きです。

何が起きたか:AI支出の伸びが42%増から1.5%増へ急減速

トークンとは、生成AIが文章を処理するときの最小単位で、API利用料はこのトークンの量で決まります。Rampが公表しているRamp AI Indexは、同社のサービスを使う米国企業8万5,000社以上の支払いデータから、AIの採用状況と支出を追う指標です。TechCrunchの報道によれば、トークン支出は7月に前月比42%増と急伸した後、8〜9月は前月比1.5%増にとどまりました。ただしトークンの利用量は増え続けており、10月は9月23日〜10月23日の期間で前期比8.9%増と持ち直しています。

つまり、AIの利用が止まったわけではなく、単価の下落と使い方の見直しが同時に進んでいる状態です。背景には、AIモデルの値下げ競争があります。TechCrunchによると、OpenAIは9月にGPT-6 SolとGPT-6 LunaのAPI価格を半額にし、Anthropicも上位モデルの価格を大幅に引き下げました。Anthropicは提出書類で、この値下げにより収益成長が約6億ドル減ったとされています。数字の細部は一次資料での確認が必要なため、引用する際は「要確認」としてください。

なぜ重要か:支出の中身は一部の企業に偏っている

Ramp AI Indexの最新ページによると、2026年9月の企業全体のAI採用率は55.9%で、前月から0.6ポイントの上昇でした。採用の広がりは緩やかになっています。支出面では、AI支払い企業の従業員1人あたり月額が、中央値で約15.70ドル、上位10%で約813ドル、上位1%では約9,568ドルです。上位1%の企業は、中央値の企業の600倍以上を使っている計算になります。

Rampの主任エコノミストであるAra Kharazianは、AI支出のほぼすべてがベンチャー投資を受けた高成長のテック企業によるものだと指摘しています。同氏は企業の姿勢を「You can use more AI, but use it for less.」と表現しました。実際に企業側では、予算の上限設定、高額モデルを既定で使えなくする制限、簡単な質問を軽量モデルへ振り分けるルーターの導入が進んでいるとされています。

Ramp AI Indexのグラフ

EC事業者にとっての論点:AIは「全部最上位モデル」をやめる時期に

楽天市場やAmazon、Shopifyで商品ページの作成、レビュー返信、問い合わせ対応にAIを使う場合、すべての作業を最上位モデルで処理する必要はありません。Kharazianも、多くのAI用途に必要なのは単純なYes/Noの判定だと述べています。たとえば商品名のカテゴリ判定やレビューの感情分類、定型の問い合わせの振り分けは軽量モデルで足ります。商品説明の下書きや広告の訴求案づくりのように判断の質が成果に直結する作業にだけ、上位モデルを使う設計が現実的です。

日本国内のAI利用料の統計は今回の報道に含まれていないため、日本のEC事業者の平均的な支出額については要確認です。ただ、為替の影響でドル建てのAPI料金は円換算で負担が変わります。月額の上限を決め、どの作業にどのモデルを使うかを一覧にしておくだけでも、使い過ぎの予防になります。

今後の動き:値下げ競争と評価額の動きに注目

この記事が出た背景には、Anthropicの株式上場(IPO)をめぐる市場の動きもあります。The Decoderは、2026年11月6日の報道で、投資家が評価額に難色を示していると伝えています。AI企業の収益が値下げで圧迫されれば、将来の料金体系やモデルの提供条件が変わる可能性もあります。EC事業者としては、特定のモデルだけに依存せず、複数のモデルを切り替えられる運用にしておくのが安全です。

初動としては、次の3点をおすすめします。第一に、直近3か月のAI利用料を作業別に集計すること。第二に、判断の浅い作業を軽量モデルへ移すこと。第三に、月額の上限と通知のしくみを先に決めることです。

まとめ

Rampのデータは、AIの導入ブームが止まったことではなく、使い方がコスト意識の高い段階に入ったことを示しています。トークン利用量は伸びているのに支出の伸びが鈍っているのは、値下げと使い分けが進んでいるためと読み取れます。EC事業者は、最上位モデルに頼り切らず、作業ごとにモデルを選び、月額の上限を決めて運用することが、これからのAI活用の基本になります。

参考文献

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https://uruchikara.jp/contact/

引用元: TechCrunch


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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