Googleフォトは2026年9月、写真から手持ち服を一覧化する仮想クローゼットをiOSにも広げました。
Googleの写真管理アプリ「Googleフォト」に搭載されたAI機能「Wardrobe(ワードローブ)」が、米国・ブラジル・インドの3カ国でAndroidとiOSの両方に行き渡りました。TechCrunchによると、6月にAndroidで先行提供が始まり、9月24日(米国時間)に対象国のiOSユーザーにも広がったといいます。Googleフォトのワードローブとは、ユーザーが過去に撮った写真に写っている服やアクセサリーをAIが自動で抜き出し、デジタルの「手持ち服カタログ」として整理する機能のことです。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。アパレルや雑貨を楽天市場・Amazon・自社ECで販売している事業者にとって、「お客様のクローゼットをAIが把握する時代」が何を意味するのかを、3つの論点に分けて整理します。
Googleフォトの仮想クローゼットで何が起きたか
結論として、Googleフォトの仮想クローゼットは「写真から手持ち服を自動で棚卸しし、組み合わせまで提案する」機能として、3カ国の全ユーザーに開放されました。Googleは2026年4月にこの機能を発表し、夏からの段階的な提供を予告していました。
使い方はシンプルです。AIがアルバム内の写真を解析して、トップス、ボトムス、ジュエリーなどのカテゴリごとに服を並べます。ユーザーはカテゴリで絞り込んだり、アイテムを組み合わせてコーディネートを作ったりできます。Googleの公式ブログでは、作ったコーディネートを用途別のムードボードに保存したり友人と共有したりできるほか、選んだアイテムを自分が着た姿をプレビューする「Try it on」にも触れています。映画『クルーレス』で主人公が使っていたデジタルクローゼットを思わせる機能として、海外メディアでも話題になりました。

今回のアップデートと同時に、Gemini Sparkで写真の選択・補正・共有を1つのプロンプトで済ませる機能や、ナンバープレートなどをぼかせるマークアップツールの強化も発表されました。なお、Gemini Sparkの機能は米国ではGoogle AI ProまたはUltraの契約が必要とされています。日本での仮想クローゼットの提供時期は、9月25日時点で発表されていません(要確認)。
日本のファッションEC事業者にとっての3つの論点
結論から言うと、この機能は日本ではまだ使えないものの、「買う前に手持ち服と照らし合わせる」購買行動が一般化していく先行シグナルとして読むべきです。日本のEC事業者が押さえたい論点は3つあります。
論点1は、商品画像の「組み合わせやすさ」が売上に直結しやすくなることです。仮想クローゼットは、写真から服を切り出してほかのアイテムと並べる仕組みです。今後、消費者が「この新作は手持ちのデニムに合うか」をAIで確かめる習慣が広がれば、白背景の単品画像と着用画像の両方をそろえ、色・素材・丈を商品名や説明文に正確に書いている商品ほど比較の土俵に乗りやすくなると考えられます。楽天市場やAmazonの商品ページで、カラー名を「ネイビー」「オフホワイト」など具体的に書き分けておくことは、今からでもできる準備です。
論点2は、顧客データの持ち主が「小売」から「プラットフォーム」へ移ることです。TechCrunchによると、Googleは服装に関するデータを小売事業者などの第三者と共有しないと説明しています。つまり、お客様が何を持っていて何が足りないかという、アパレル事業者にとって最も価値のある情報は、Googleの中にとどまります。日本でも、ZOZOのコーディネート共有アプリ「WEAR」のように、手持ち服やコーデの情報を集める場はすでにあります。自社ECで購入履歴をもとに「前回買ったアイテムに合う新作」を提案する仕組みを持っておくことが、プラットフォームに頼らない差別化になります。
論点3は、「買い足し」ではなく「買い控え」も起こりうることです。Googleは公式ブログで、クローゼットの奥に眠っていた服を再発見できる点を打ち出しています。手持ち服の把握が進めば、似たアイテムの重複購入は減る可能性があります。一方で、手持ち服に欠けているアイテムがはっきりすれば、目的買いの精度は上がります。新作を量で売る設計から、既存の手持ち服を補完する提案へと、売り方の軸足を少しずつ移していく準備が必要です。9月19日に公開したGoogle FlowがNYファッションウィークでAI試着を披露したニュースの解説とあわせて読むと、Googleがファッション領域でAIを広げている流れがつかみやすくなります。
今後の展望と初動アクション
今後の注目点は、Googleがこの仮想クローゼットを、ショッピング検索やAIによる試着機能とどこまで結びつけるかです。現時点ではデータを小売と共有しない方針ですが、ユーザー自身が手持ち服と売り場の商品を並べて比べる導線が生まれれば、ファッションECの比較検討のあり方は大きく変わります。
日本のEC事業者が今から取れる初動は次の3つです。まず、主力商品の画像を見直し、白背景の単品画像と着用画像がそろっているかを確認します。次に、商品名と説明文のカラー名・素材・サイズ表記を統一し、AIが読み取りやすい状態にします。最後に、自社ECやメルマガで「過去の購入商品に合う新作」を提案する施策を1本試し、反応を測っておきます。日本で機能が提供される前に準備を終えておけば、提供開始後の変化に慌てずに対応できます。
まとめ
Googleフォトの仮想クローゼットは、2026年9月に米国・ブラジル・インドのiOS・Android全ユーザーへ広がりました。日本では未提供ですが、手持ち服をAIが把握し、組み合わせや試着まで提案する流れは確実に進んでいます。ファッション系のEC事業者は、商品画像と商品情報の整備、そして購入履歴を生かした補完提案の2点から、小さく準備を始めるのが得策です。
参考文献
- TechCrunch「Google Photos ‘Clueless’-inspired virtual closet is now available on Android and iOS」
- Google公式ブログ「A new way to create a digital wardrobe from your Google Photos」
- Googleフォト ヘルプ「Create your digital closet with Google Photos wardrobe」
- MacRumors「Google Photos Wardrobe Feature Comes to iOS」
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: TechCrunch
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。