Googleは2026年8月20日、優先ソース登録ボタンをサイトに設置できるようにしました。
AI検索によるクリック流出に悩むメディアと自社ECのオウンドメディアにとって、無視できない一手です。読者がボタンを押すだけで、そのサイトを検索・Discover・ニュースで優先表示させられるようになります。Googleは過去の調査で、優先ソースに登録されたサイトはクリックされる確率が2倍になったとしています。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、日本のEC事業者の集客という観点から解説します。
優先ソースボタンとは何か、8月20日に何が起きたか
優先ソースボタンとは、読者が「このサイトをよく見たい」とGoogleに伝えるための、サイト側に埋め込める登録ボタンのことです。TechCrunchによれば、Googleは2026年8月20日、この「Preferred Sources」ボタンをパブリッシャーが自社サイトに設置できる形で提供開始しました。
仕組み自体は新しいものではありません。優先ソース機能は従来、検索結果のトップニュース枠で使えるものでしたが、Googleは2026年5月の発表でAIモードとAI Overviewsにも適用範囲を広げています。その5月時点で、すでにウェブ全体で34万5,000を超えるユニークなサイトが読者によって優先ソースに選ばれていたとされています。
読者側はGoogleのソース設定ページからサイト名やURLで検索して登録できましたが、この導線は「読者がわざわざGoogleの設定画面に行く」必要がありました。今回のボタン提供は、その一手間を記事ページ上で完結させるものです。

あわせてGoogleは、Discoverフィードを自然言語で調整できる機能も近く提供すると説明しています。フィード内の三点メニューから「この話題をもっと見たい」と言葉で伝えると、Googleがリアルタイムでフィードを調整する仕組みです。Androidでは、Googleニュースアプリの音声デイリーブリーフィングもカスタマイズできるようになるとしています。
日本のEC事業者にとっての3つの論点
論点は3つあります。適用範囲、導線設計、そして測定です。
第1に、適用範囲です。この施策の恩恵を受けられるのは、自社ドメインでコンテンツを持っている事業者に限られると見られます。楽天市場やAmazonの商品ページは、外部スクリプトやボタンの設置に制限があるためです(各モールの最新仕様は要確認)。つまり、モール一本足で運営している店舗にとっては直接の打ち手がなく、自社ECやオウンドメディアを持っている事業者との差がまた一段開くことになります。
第2に、導線設計です。ボタンを置いただけでは押されません。すでに関係のある顧客に「押してほしい」と伝える経路が必要になります。ここで注意したいのが楽天市場の規約です。楽天R-Mailの本文に自社サイトのURLを載せて誘導する行為は規約違反にあたりますので、優先ソース登録を促すのは自社メルマガ、LINE公式アカウント、SNS、同梱物といった楽天外の接点に限定してください。
第3に、測定です。優先ソース登録は「指名で選ばれた読者数」という、これまで可視化されていなかった資産を数値化します。Google Search ConsoleのDiscoverレポートと検索パフォーマンスの推移、そして指名検索クエリの件数を合わせて追えば、ボタン設置前後の変化をある程度は把握できます。ただしGoogleは登録者数そのものを事業者側に開示するとは説明していないため、直接の登録数を追う指標は現時点では期待しないほうが安全です。
今後の展望と、来週から着手できる初動
まず着手すべきは、自社ECのブログやオウンドメディアの現状把握です。Google Search Consoleで直近12か月のDiscover経由セッションと検索クリック数を出し、AI Overviewsが広がった期間にどれだけ落ちているかを確かめてください。落ち幅が大きいほど、この施策の優先度は上がります。
次に、ボタンの設置箇所を決めます。記事本文の末尾、読み終えて満足度が最も高い位置が第一候補です。サイドバーやフッターは目に入りにくく、押される確率は下がります。設置にあたっては、Googleがパブリッシャー向けに案内する実装手順に従ってください。
そのうえで、登録を促す文面を用意します。「Googleで当店の情報を見つけやすくする設定があります」といった、読者にとっての利益で説明するのが基本です。「うちを優先して」という事業者都合の書き方では押してもらえません。
最後に、Discoverの自然言語カスタマイズが本格展開されることを前提に、コンテンツのテーマを絞り込んでおくことをおすすめします。読者が言葉で「この話題を見たい」と指定する時代には、何でも書く雑食メディアより、テーマが明確なメディアのほうが指定されやすくなるためです。
まとめ
Googleの優先ソースボタンは、AI検索でクリックを失ったサイトに「指名される権利」を取り戻す導線です。自社ドメインを持つ日本のEC事業者にとっては、モールに依存しない集客資産を積む数少ない機会になります。まずはSearch Consoleで流入の落ち幅を確認し、記事末尾へのボタン設置と、自社メルマガやSNSでの登録依頼から着手してください。
参考文献
- TechCrunch・Google gives publishers a new way to fight AI-driven traffic losses
- Google 公式ブログ・オリジナルで高品質なコンテンツを検索で見つけやすくする取り組み
- Google・ソース設定ページ
- TechCrunch・Google’s AI Overviews are killing traffic for publishers
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
引用元: TechCrunch
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。