アリババQwen 3.8発表、2.4兆パラメータでFable 5に次ぐ性能主張

アリババが2.4兆パラメータのオープンウェイトモデルQwen 3.8を発表。Fable 5に次ぐ性能を主張し、Kimi K3との中国発オープンモデル競争が激化。プレビューは標準価格の10%で提供中です。

投稿日: カテゴリー AIニュース

アリババが2.4兆パラメータの新AIモデルQwen 3.8を発表しました。

Qwen開発チームは、Qwen 3.8がフロンティアモデルに匹敵し、AnthropicのClaude Fable 5に次ぐ性能だと主張しています。オープンウェイト(重み公開)での提供を予告しており、公開されれば過去最大級の規模のオープンモデルとなります。中国発のオープンウェイトモデルをめぐっては、Moonshot AIのKimi K3が2026年7月に大きな注目を集めたばかりで、中国2強による競争が一段と激しくなってきました。本記事は、EC支援19年・5,000社超の支援実績を持ち、2023年からAI導入支援を提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

Qwen 3.8のティーザー画像

何が起きたか:2.4兆パラメータの旗艦モデルをプレビュー公開

The Decoderの2026年7月19日付の報道によると、アリババのQwenチームは総パラメータ数2.4兆の新モデルQwen 3.8を発表しました。Qwenチームの発表では、性能は「Fable 5に次ぐ(second only to Fable 5)」とされています。ただし現時点でベンチマーク結果は公開されておらず、この主張は第三者による検証を待つ段階です。

プレビュー版はすでに利用可能です。Qoderのドキュメントによると、アリババのToken Plan、QoderおよびQoderWork経由で、標準価格の10%という割引価格で試せます。重みの公開時期は「近日中(soon)」とだけ案内されており、具体的な日付は明かされていません。

中身の特徴も見えてきています。アリババはQwen 3.8について、前世代のQwen 3.7-Maxを上回り、特にコーディングと、フルスタック開発・データ分析・オフィスワークフローといった複雑な生産性タスクで性能が伸びるとしています。開発者のShuai Baiの投稿によれば、Qwenチームとして初めて1兆パラメータを超えるマルチモーダルモデルであり、画像・動画・文書の処理に対応します。

なぜ重要か:Kimi K3の勢いを崩す一手

結論から言うと、この発表はKimi K3が握りかけた「中国発オープンモデルの主役」の座を奪い返す動きです。Moonshot AIのKimi K3は、GPT-5.6 SolやFable 5といった米国の最上位モデルに迫る性能で7月の話題を独占してきました。ただしKimi K3の重みはまだ公開されておらず、現状のアクセスはチャットアプリとAPIに限られます。関心を自社の顧客獲得につなげるMoonshotの戦略に対し、アリババが先に大規模モデルの重みを公開すれば、開発者コミュニティの流れは一気に変わり得ます。

Moonshot側の勢いも数字に表れています。Bloombergによると、Moonshotは2026年6月に年間経常収益(ARR)3億ドルに到達し、早ければ6か月以内の株式公開(IPO)を計画しています。つまりQwen 3.8の発表は、IPOへ向かう競合の評価を左右しかねないタイミングで打たれた一手でもあります。

もう1つの論点は「オープンウェイトの価格破壊」です。プレビューを標準価格の10%で提供する姿勢からは、性能だけでなく価格でもKimi K3やDeepSeekの利用者を取りにいく意図が読み取れます。米国勢がClaude Fable 5やGPT-5.6のようなクローズドな旗艦モデルで先行する一方、中国勢は重み公開と低価格を武器にシェアを取りにいく構図が、2026年後半に入っていっそう鮮明になっています。

今後の動き:重み公開の時期と検証結果に注目

今後の注目点は3つあります。第一に、Qwen 3.8の重みが実際にいつ・どのライセンスで公開されるかです。2.4兆パラメータ級の重みが公開されれば、クラウド各社や推論基盤スタートアップのホスティング競争が始まり、API価格の下落圧力がさらに強まります。第二に、未公開のベンチマーク結果です。「Fable 5に次ぐ」という主張が第三者評価でどこまで裏付けられるかで、評価は大きく変わります。第三に、Moonshot AIの対抗策です。約束しているKimi K3の重み公開を前倒しするのか、IPOを優先してクローズド寄りの戦略を続けるのかが焦点になります。

日本のEC事業者にとっても、この競争は無関係ではありません。オープンウェイトモデルの選択肢が増えれば、商品説明文の生成やレビュー分析といった大量処理をAPIコストを抑えて回す選択肢が広がります。ただしQwen 3.8はまだプレビュー段階で検証情報が少ないため、現時点では動向のウォッチにとどめ、本番業務への採用はベンチマークと重み公開後の評判を確認してからで十分です。

まとめ

アリババは2.4兆パラメータのQwen 3.8を発表し、Fable 5に次ぐ性能を主張しました。プレビューは標準価格の10%で提供中、重み公開は近日中とされています。Kimi K3との中国2強によるオープンモデル競争は、性能・価格・公開戦略の3つの軸で加速しており、ベンチマークの検証結果と重み公開のタイミングが次の焦点です。

参考文献

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引用元: The Decoder


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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