Gemini内でFlipkart商品を購入テスト|AI購買のEC論点3つ

GoogleがインドでGeminiとAI ModeからFlipkart商品を直接購入できるBuyボタンをテスト。10月後半に拡大予定。UCPとの関係やAmazonにボタンが付かなかった点を踏まえ、日本のEC事業者が今から備える3つの論点を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

GoogleはインドでGeminiとAI Mode内からFlipkart商品を直接買える「Buy」ボタンの試験を始めました。

TechCrunchが2026年9月26日(米国時間)に報じたところによると、Googleはインドの一部ユーザーを対象に、生成AIの画面から離れずにFlipkartの商品を購入できる仕組みをテストしています。AIが「商品を探して比べる場所」から「そのまま買う場所」へ一歩進んだ動きで、10月後半には対象を広げる計画とされています。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、日本のEC事業者にとっての意味を解説します。

GeminiのFlipkart購入テストで何が起きたか

結論から言うと、AI Modeの商品一覧に「Buy」ボタンが付き、押すとFlipkartブランドの決済画面がAIの画面内で開く形式です。テスト対象は一部のユーザーと、スマートフォン・家電・モバイルアクセサリーなど限られた商品に絞られています。対象外のユーザーには、これまでどおりFlipkartの商品一覧だけが表示されます。

報道では、インドの祭事シーズン(年間最大級のセールが集中する時期)を前に、10月後半により広く展開する予定だと関係者が話しています。Googleの広報は「人々が企業を見つけてつながりやすくするため、常に新機能を試している」という趣旨の回答にとどめ、詳細は明かしていません。Flipkart側は記事公開時点でコメントしていません。

注目すべきは仕組みの違いです。Googleは2026年1月に、AIエージェントが小売事業者と買い物の全工程をやり取りするための共通規格としてUniversal Commerce Protocol(UCP)を発表し、NRF 2026の講演ではGoogleがホストする決済画面でGeminiやAI Modeから購入できるようにすると説明していました。しかし今回のテストはFlipkartブランドの決済画面が表示されるもので、どの技術で動いているかは明らかにされていません(要確認)。

また、GoogleはFlipkartに2024年に約3億5,000万ドルを出資しており、技術提携に加えて資本関係もあります。TechCrunchが確認した画面では、Amazonの商品も並んで表示されていたものの、Buyボタンは付いていなかったとされています。

日本のEC事業者にとっての論点

一番の論点は、AIの回答画面で「買えるショップ」と「見せるだけのショップ」が分かれ始めたことです。同じ検索結果に並んでいても、ワンタップで買える店と、別サイトへ移動しないと買えない店では、購入までの手間に大きな差が出ます。インドで最大手のAmazonにボタンが付かなかったという事実は、AI上の購買導線が必ずしも市場シェアの順には配られないことを示しています。

2つ目は、モールと自社ECで立ち位置が変わる点です。楽天市場やAmazon.co.jp、Yahoo!ショッピングのようなモールは、自社の会員基盤と決済を持っているため、外部のAIにどこまで購入導線を開くかをモール側が判断します。実際に、Amazonが他社のAIエージェントによる自社サイトの操作を制限した動きは、AmazonがMetaのAIエージェントを遮断した件でも取り上げました。一方、Shopifyなどの自社ECは、商品データと決済をAI側の規格に接続できれば、モールを通さずにAI経由の購入を取り込める可能性があります。

3つ目は、GoogleのAI Modeが検索から予約・購入までを一体化させる流れが加速していることです。うるチカラでは以前、Google AI Modeでのホテル予約の動きも解説しました。旅行、そして物販へと、AIの画面内で取引を完結させる範囲が広がっています。日本でのUCP決済やBuyボタンの展開時期は、現時点で発表されていません(要確認)。

今後の展望と初動アクション

まず取り組むべきは、商品データの整備です。AIが商品を正しく比較・推薦するには、商品名、価格、在庫、送料、JANコードなどの構造化データが正確であることが前提になります。Google Merchant Centerに商品フィードを出している場合は、価格や在庫のずれ、属性の欠けがないかを月1回は点検しておくと、AI経由の露出に備えられます。

次に、自社ECを持っている事業者は、UCPの公式ドキュメントとShopifyなどカートシステム側の対応状況を確認しておくと良いでしょう。インドで10月後半に広く展開されれば、その結果を見て他国への展開判断が進むと考えられるため、仕様を把握しておくだけでも初動が早くなります。

モール中心の店舗は、楽天市場やAmazonがAIエージェントとどう付き合うかの発表を追いかけることが大切です。モールの規約に反して外部のAI経由に誘導するような運用は避け、モール内の商品ページ品質とレビュー対応を着実に高めることが、AI経由でも評価される土台になります。

最後に、AI経由の売上を計測する準備です。AIの画面内で決済が完結すると、従来のアクセス解析では流入元が見えにくくなります。注文データに流入経路を残せるか、カートや決済代行の設定を確認しておきましょう。

まとめ

GoogleはインドでGeminiとAI ModeからFlipkart商品を直接買えるテストを始め、10月後半の拡大を予定しています。AIの画面上で「買える店」と「見せるだけの店」の差が生まれ始めた今、日本のEC事業者は商品データの正確さと、AI経由の購入を受け止められる仕組みづくりを先に進めておくことが重要です。

参考文献

※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/

引用元: TechCrunch


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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