米国で、原材料だけでなく製法まで第三者が審査する「非超加工食品」の新しい認証制度が本格的に動き出しました。冷凍・レトルト食品大手のAmy’s Kitchenが37品目で認証を取得し、加工度の低さを客観的なバッジで示す動きが広がっています。日本のEC食品ブランドにとっても、成分の透明性とクリーンラベルは信頼と転換率を左右するテーマです。本記事では、非超加工食品認証の中身と、日本のEC事業者が今から備えるべき3つの論点を整理します。

製法まで審査する新認証「Non-UPF Verified」とは
Modern Retailによると、この認証はNon-UPF Verifiedと呼ばれ、非遺伝子組み換え認証で知られるNon-GMO Projectが「Food Integrity Collective」の傘下で立ち上げたものです。Non-GMO Projectは2007年設立の非営利団体で、そのButterfly(蝶)マークは北米で6万3,000品目以上に付与されてきた第三者認証です。今回はその実績をもとに、超加工食品(UPF)を避けたい消費者向けの新しい信頼マークをつくった形になります。
非超加工食品認証の特徴は、成分表だけでなく製造方法まで独立した第三者審査で評価する点にあります。認証製品は、最小限から中程度の加工にとどまる原材料を主体とし、UPFに関連づけられる工業的な添加物や製造上の近道を使わないことが求められます。栄養面の基準もあり、添加糖については食品カテゴリーごとに上限が設けられています。デザート類は重量比で20%、飲料やパンは乾燥重量比で5%を超えないことが条件で、ナトリウムにも制限があります。カラギーナン、キサンタンガム、マルトデキストリン、藻類由来の粉といった一部のガム・増粘剤が使われている製品は認証されません。
制度としては2026年1月21日にエンロールメント(申請受付)が始まり、パイロットに参加した16ブランドの最初の認証製品が2026年前半に店頭へ並びました。Amy’s Kitchenはこのパイロット段階から参加し、ピザ、スープ、チリ、豆料理、ベジバーガーの5カテゴリーにまたがる37品目で認証を取得したと発表しています。審査業務にはNSFやSCS Global Servicesといった認証機関が名乗りを上げており、米カリフォルニア州では非超加工食品のラベル表示に関する法案も審議が進んでいます。制度としての広がりは、まだ始まったばかりの段階と見ておくのが妥当です。
日本のEC食品事業者にとっての論点
超加工食品への関心の高まりは、米国だけの話ではありません。日本の食品ECでも「無添加」「国産原料」「保存料不使用」といった訴求は以前から支持を集めてきました。今回のように、製法まで含めて第三者が保証する枠組みが海外で標準化していくと、日本の食品ブランドも「何を、どこまで、誰が保証しているのか」をより厳密に問われるようになります。
日本には有機JAS、機能性表示食品、特定保健用食品(トクホ)といった公的なラベル制度があり、これらは商品ページの信頼シグナルとして機能します。一方で、無添加や不使用の表示については、消費者庁が2022年に食品添加物の不使用表示に関するガイドラインを示しており、あいまいな「無添加」表示は景品表示法・食品表示法の観点からリスクになり得ます。海外の非超加工食品認証をそのまま日本語に置き換えて使うのではなく、日本の表示ルールに沿った形で透明性を打ち出す設計が欠かせません。
楽天市場やAmazon、自社ECの食品ページでは、原材料と製法の見える化が転換率に直結します。原材料をすべて開示し、添加物の有無や製造工程を写真や図で説明している店舗は、価格が多少高くても選ばれやすい傾向があります。クリーンラベルは価格プレミアムと相性がよく、認証や自社基準を根拠として示せるかどうかが、レビュー評価やリピート率にも影響していきます。
今後の展望と初動アクション
日本のEC食品事業者がまず取り組めることは、大きく分けて三つあります。第一に、商品ページの原材料・製法の透明化です。全原材料の開示、添加物の使用有無の明記、加工工程の説明を、テキストと画像の両方で用意しておくと、成分を気にする層の不安を先回りで解消できます。
第二に、認証・自社基準の可視化です。有機JASや機能性表示食品などの公的認証はバッジとして目立たせ、公的認証がない場合でも「自社で定めた品質基準」を具体的な数値や工程で示すことが有効です。ただし表示は景品表示法・食品表示法を必ず順守し、根拠のない「無添加」「最高」といった断定表現は避ける必要があります。
第三に、レビューやQ&Aでの成分コミュニケーションです。購入者から寄せられる「この添加物は入っているか」「アレルゲンは何か」といった質問に、商品ページ側であらかじめ回答を用意しておくと、問い合わせ対応の負荷を下げつつ信頼を積み上げられます。越境ECに取り組む事業者であれば、海外の非超加工食品認証やクリーンラベルの潮流を先読みし、輸出向け商品の設計に反映しておく価値もあります。
まとめ
非超加工食品認証は、成分から製法へと透明性の焦点が移りつつあることを象徴する動きです。日本のEC食品事業者にとって重要なのは、海外の認証を追いかけることそのものではなく、自社商品の原材料と製法を、日本の表示ルールに沿って正直に、分かりやすく見せる姿勢です。透明性への投資は、価格競争から一歩抜け出す差別化につながります。
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引用元: Modern Retail
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。