このスキルを使うと、問い合わせ返信の初稿が3案そろって数分で出ます。
楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社EC、LINE公式と、問い合わせが届く窓口が増えるほど、返信文づくりは重くなります。チャネルごとに名乗り方や禁止事項が違い、クレームなら「どこまで担当者が答えてよいか」も迷います。1件の返信に10分以上かけている店舗も珍しくありません。今回紹介する「customer-inquiry-reply-ec」は、問い合わせ内容を分類し、エスカレーションのレベルを判定したうえで、チャネルに合った返信文を3案作るスキルです。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。
EC問い合わせ返信スキルでできること
EC問い合わせ返信スキルとは、ECショップに届く問い合わせメールやモール内メッセージへの返信文を、5つのチャネル別のトーンと規約に合わせて作るAIスキルのことです。ALSEL Agent Skillsで配布されており、Claude Codeなどの環境で使えます。
対応する問い合わせは、受注前の質問(在庫・サイズ・素材・アレルゲン)、受注後の問い合わせ(配送状況・変更依頼)、返品交換、初期不良、クレームの初動、規約を根拠にしたお断りまで幅広くカバーしています。チャネルは楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社EC(Shopify・futureshop・BASE・STORESなど)、LINE公式の5系統です。
出力は「標準版」「短文版(チャット・モール内メッセージ用)」「やや強め版(規約を根拠に断る場合)」の3案に、分類とエスカレーション判定、社内メモ、配信前チェックリストが付きます。入力が不完全でも止まらず、「仮定」と「追加で確認したいこと」を分けて示したうえで初稿を出す設計です。
実際の使い方と3段階のエスカレーション判定
使い方は、届いた問い合わせ文とチャネルを貼り付けて「この問い合わせへの返信を作って」と頼むだけです。「サイズ質問への回答を作って」「初期不良の返答を書いて」「クレームの初動返信を作って」といった頼み方でも起動します。
処理は5つのステップで進みます。まず問い合わせを受注前質問、受注後問い合わせ、返品交換、クレーム、規約外要望の5分類に振り分けます。次にエスカレーションレベルを判定します。レベル1は軽微な質問や規約内の返品交換など担当者で完結する案件、レベル2は規約を超える補償の可能性や繰り返しのクレームなど責任者の確認が必要な案件、レベル3は健康被害の訴えや訴訟の示唆、SNS拡散の脅しなど経営・法務の判断が必要な案件です。レベル3では「責任者確認のうえ改めて連絡」と入れ、その場で補償や責任を約束も否定もしない文面になります。
そのうえでチャネルごとの制約を確認します。楽天市場ではレビュー特典として現金等価物を約束しないことや店外への誘導をしないこと、Amazonでは本文に外部URL・電話番号・メールアドレスを書かないこと、LINE公式では数行で結論と次のアクションを示すことなどを踏まえます。最後に、結論、対応の具体、期限、代替案の順に整理して3案を出します。
このスキルの最重要原則は「結論先出し・短く・代替案を必ず添える」です。「対応できません」だけで終わる文面は作らず、断る場合も次にできることを示します。
導入による業務インパクトと注意点
効果の目安として、1件10分かかっていた返信の初稿づくりが確認込みで3分程度になれば、月300件の問い合わせを受ける店舗では月35時間ほどの削減になる計算です(作業時間は店舗ごとに異なるため試算です)。チャネルごとの禁止表現を毎回思い出す必要がなくなり、担当者による文面のばらつきも抑えられます。
一方で限界もあります。規約や運用ルールは変わるため、最新の内容は各モールの公式ヘルプで確認が必要です。また、レベル3の案件ではAIの文面をそのまま送らず、責任者の承認を経てから対応するのが前提です。顧客の個人情報を返信ログや社内メモに必要以上に残さない運用も欠かせません。配送遅延や欠品の謝罪文に特化したいなら配送遅延のお詫びメール作成スキル、問い合わせ履歴からFAQを作りたいなら問い合わせからFAQを作るスキルと使い分けると効率的です。
まとめ
EC問い合わせ返信スキルは、複数のモールと自社ECを運営し、問い合わせ対応に毎日時間を取られている店舗に向いています。まずは直近1週間で多かった問い合わせを3件選び、スキルに返信を作らせて、自店の文面と比べてみるところから始めるのがおすすめです。
参考文献
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。