iHerbとYouGovの調査で、米国のオンラインサプリ購入者の54%が市場に流れ込む偽造品を懸念していることが分かりました。
本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。ECで健康食品やサプリメントを扱う事業者にとって、偽造品への不安は「売れるかどうか」に直結する問題です。2026年11月2日にModern Retailが報じた内容をもとに、米国で起きている動きと、日本の楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングで運営する店長が今すぐ見直せる点を整理します。
米国で何が起きているのか:購入者の半数超が偽造品を警戒
オンラインサプリ購入者の偽造品への不安とは、マーケットプレイスで買ったサプリが本物かどうか、表示どおりの成分が入っているかを疑う消費者心理のことです。Modern Retailによると、オンラインサプリ専門小売のiHerbがYouGovと実施した調査(2026年9月17日から21日、米国の成人2,796人)で、オンラインでサプリを買う人の54%が、市場への偽造品の流入を懸念していました。
同記事は、米国のミシガン州立大学の研究センターA-CAPPの調査として、約74%の消費者が故意か否かを問わず偽造品を購入した経験があると報告したことにも触れています。ミシガン州立大学が2023年に公表した消費者調査でも、オンラインで偽造品をだまされて買った消費者が7割規模にのぼるとされており、方向感は一致しています。なお74%という数字は報道ベースのため、正確な設問条件は要確認です。
iHerbは1996年創業で、2025年はビタミン・ミネラル・サプリメントが純売上高の67%を占めました。つまり、偽造品の問題は同社にとって売上の中核を揺らすリスクです。同社は2026年初めに、サプライヤーへブランドからの直接購入を示す契約書や請求書の提出を義務づけました。正規代理店であることを証明できなかった2社とは取引を停止しています。CROのHyeyoung Moon氏は、記事の中で「Instead of just trusting that these are authorized distributors, we now ask for actual proof,」と述べています。
数字が示す深刻さ:売れ筋44製品の検査結果
もうひとつ目を引くのが、サプリブランドのSuppCoが2025年に実施した検査です。Amazonの売れ筋44製品に対して70件以上のISO認証ラボ検査を行ったところ、検査対象の半数が、表示された有効成分の3%未満しか含んでいませんでした。さらに75%超の製品で、Alibabaの類似品(デュープ)の出品が見つかっています。SuppCoのJordan Glenn氏は「They’re essentially capsules full of rice flour,」と表現しました。
検査結果の公表後、消費者のレビューやコメントが殺到し、Amazonは9製品を削除したとされています。一方でAmazonは、偽造品を厳禁しており、2025年には事前対策により、ブランドが報告する前に疑わしい侵害出品の99.9%超を阻止したと説明しています。高リスクのカテゴリーでは第三者機関の検査結果の提出も求めています。Amazonの取り組みの全体像は、Amazonの公式ブランド保護レポートのページで確認できます。ただし、99.9%という数字はAmazon側の自己申告である点に注意が必要です。
ブランド側の対抗策も具体的です。Now社は競合品も含めて製品を購入し、独自に検査して自社品が正規品であることを示しています。Ritual社は、透明なカプセルの中で乾燥成分とオイルが分離している設計を、消費者が真贋を確かめる手段として活用しています。偽造対策を「取り締まり」だけでなく、「見て分かる信頼の設計」として商品側に組み込む発想です。
日本のEC事業者にとっての論点:同じ構図は楽天・Amazon・Yahoo!にもある
日本でも、健康食品はマーケットプレイスで競合が多く、価格競争が激しいカテゴリーです。米国の事例をそのまま当てはめることはできませんが、並行輸入品や非正規流通品、類似パッケージの出品に購入者が不安を感じる構図は共通しています。日本固有の論点として、機能性表示食品は消費者庁への届出制度のもとで運用されており、表示と実際の成分が食い違えば景品表示法などの問題にも発展しうる点があります。個別の適用可否は、商品ごとに専門家へ確認してください(要確認)。
楽天市場やAmazon Japan、Yahoo!ショッピングでは、モールごとに出店規約や出品ルールで偽造品や無許可の転売が禁じられています。ただし、モールが取り締まるのを待つだけでは、購入者の不安は解消されません。売り手側が「正規品であることの証拠」を先に見せる運営が、転換率とレビュー評価の両面で差になります。
実務で変わる画面や指標は主に三つです。商品ページの上部に仕入れ元と正規流通の説明を置いたときの滞在時間と転換率、レビュー内の「本物ですか」という質問の件数、そしてモール内検索での類似出品の増減です。この三つを月次で並べて見るだけでも、偽造リスクの兆候を早く拾えます。
今後の展望と、今日から始める3つの初動アクション
SuppCoのGlenn氏は、消費者が自分で調べたり、マーケットプレイスが取り締まりを強めたりしても、オンラインで買うサプリが本物かという疑念は続くと見ています。つまり、これは一時的な話題ではなく、長く付き合う前提の経営課題です。日本の中小事業者が取れる初動を三つに絞ります。
一つ目は、仕入れ経路の証跡を整えることです。メーカーや正規代理店との契約書、請求書、納品書を、いつでも提示できる形で保管しておきます。iHerbが「信頼」ではなく「証拠」を求める運用に切り替えた点は、そのまま参考になります。
二つ目は、商品ページで真贋の見分け方を説明することです。パッケージの特徴、ロット番号の確認方法、問い合わせ窓口を、画像つきで載せます。Ritualのように、商品設計そのものを確認手段にできる場合は、その点を写真で伝えるのが効果的です。
三つ目は、類似出品の定期監視です。自社の主力商品名や成分名で、週に一度は各モールを検索し、極端に安い出品や、商品写真の流用を記録します。見つけた場合は、各モールの権利侵害の報告窓口へ根拠資料とともに連絡します。AIによる画像照合や価格監視ツールの導入は選択肢ですが、まずは人の目と記録の習慣から始めれば十分です。
まとめ
オンラインサプリ購入者の54%が偽造品を懸念しているという調査は、健康食品を扱うEC事業者に「正規品であることを売り手が証明する時代」が来ていることを示しています。日本でも、仕入れ経路の証跡、商品ページでの真贋説明、類似出品の監視の三点を整えることが、価格競争に巻き込まれずに信頼で選ばれるための土台になります。
参考文献
- Modern Retail:オンラインサプリ購入者の偽造品への懸念(2026年11月2日)
- MSU Today:オンラインで偽造品をだまされて購入した消費者は7割(2023年)
- Amazon:ブランド保護レポート2024
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: Modern Retail
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。