Gartnerの調査で、AI投資から大きな事業価値を得ている企業は13%にとどまることが分かりました。
本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。The Decoderによると、Gartnerは2026年10月に米国オーランドで開かれたGartner IT Symposium/Xpoで、CIOなどテクノロジーリーダー2,002人への調査結果を発表しました。生成AIの導入が当たり前になった今、ツールを入れたこと自体より、どれだけ成果に結びつけたかが問われる段階に入っています。ECの現場でも、AIツールの契約が増える一方で費用対効果を説明できない、という悩みは他人事ではありません。
調査で分かった数字:成果が出ている企業は13%
AI投資とは、AIツールの契約や開発、運用体制づくりにかける費用のことです。The Decoderが伝えるGartnerの調査では、AI投資から大きな、あるいは変革的なリターンを得ていると答えた企業は13%でした。
同じ調査では、CIOの58%がAIによるコスト削減を求められており、51%はAIによって技術スタック全体の運用コストがむしろ増えると予想しています。CEOについては、44%がAIの財務的なリターンを株主などに示すのに苦労しており、一方で75%が技術予算を増やす計画だと報じられています。つまり、投資は増やしたいが、成果の説明は難しいという板挟みが数字に表れています。
Gartnerのアナリストは、ベンダーが競う「イノベーションレース」と、企業が勝つべき「アウトカムレース」の間にギャップがあると指摘しています。成果を出している企業の特徴として、早い段階でプロジェクトを取捨選択し、本番稼働中のものであっても中止を決めること、そしてAIエージェントによって職務がどう変わるかを事前に計画することが挙げられています。なお、Bloombergのヴラド・クリアチコ氏は、AIの経済効果を測るのはまだ早く、今が投資すべき時期だという見方を示したとも伝えられています。元の調査はWSJのCIO Journalでも取り上げられています。調査の詳細な設計や対象地域は、今回確認できた範囲では要確認です。
EC事業者にとっての論点:成果の測り方を先に決める
この調査は大企業のCIOが対象であり、日本の中小EC事業者にそのまま当てはまるとは限りません。ただ、成果が見えないままAIに費用をかけ続けるという構図は、楽天市場やAmazon、Shopifyで店舗を運営する現場でも起こりえます。商品ページの文章作成、問い合わせ対応、レビュー返信、広告運用など、AIを使う場面が増えるほど、どの業務で何が改善したのかが見えにくくなるためです。
1つ目の論点は、導入前に測る指標を決めることです。たとえば商品ページの作成なら、1ページあたりの作業時間と公開までの日数、問い合わせ対応なら一次回答までの時間、といった具合に、AIを入れる前の数字を控えておきます。売上への効果は他の要因と混ざりやすいので、まずは作業時間やコストのような測りやすい指標から始めるのが現実的です。
2つ目の論点は、効果が出ないものをやめる基準を持つことです。Gartnerの調査で成果を出している企業は、本番稼働中のプロジェクトでも中止を判断していると報じられています。EC運営でも、3か月使って工数が減らなかったツールは解約する、といった社内ルールを先に決めておくと、月額費用が積み上がるのを防げます。
3つ目の論点は、AIエージェントで業務の分担がどう変わるかを先に描くことです。たとえばレビュー対応や在庫確認をAIが担うなら、人は例外対応や商品企画に時間を回せます。担当者の役割を決めないままツールだけ入れると、確認作業が二重になり、かえって工数が増えることがあります。
今後の展望と初動アクション
CEOの75%が技術予算を増やす計画だという数字が示すように、AIへの投資意欲は当面続くと見られます。その分、投資の中身を説明できる企業とできない企業の差が広がりやすくなります。中小のEC事業者こそ、小さく始めて測り、効果がなければやめるという運用を徹底することで、大企業より機敏に成果を積み上げられる可能性があります。
今日からできる初動は、現在契約しているAIツールを洗い出し、それぞれの月額費用と、削減できた作業時間を並べて見ることです。数字が書けないツールは、成果を測れていない候補として見直し対象にしてください。
まとめ
Gartnerの調査では、AI投資で大きな成果を得ている企業は13%でした。EC事業者は、導入前の指標設定、やめる基準、役割分担の見直しという3点を先に整えることで、AI投資を成果につなげやすくなります。
参考文献
- The Decoder: Only 13 percent of companies see real returns from AI, Gartner survey finds
- WSJ CIO Journal: AI’s transformational value remains elusive for most companies
- Gartner: Gartner IT Symposium/Xpo, October 19-22, in Orlando
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: The Decoder
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。