米ブランドの年末商戦で、自社ECを使う予定の割合が69%から46%に下がりました。
年末商戦のチャネル分散とは、自社ECや自社店舗に集中していた販売を、Amazonなどのモールや TikTok Shop に広げる動きのことです。 Modern Retailが2026年11月5日に公開した調査によると、米国のブランド・小売の担当者90人のうち、2026年の年末商戦で自社ECを販売チャネルとして使う予定と答えた割合は46%で、2025年の69%から23ポイント下がりました。自社の実店舗も84%から60%に下がっています。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、日本のEC事業者が年末商戦のチャネル配分を考えるうえでの論点を解説します。
何が起きたか:自社チャネルは首位のまま、利用予定は大きく後退
結論から言うと、自社ECと自社店舗は今も年末商戦で最も使われるチャネルですが、そこに頼り切る企業が減りました。調査はModern Retailの調査部門Modern Retail+が実施したもので、90人へのアンケートとマーケティング責任者への個別取材で構成されています。自社店舗と自社ECは2024年から利用率の1位と2位を守っていますが、2026年の利用予定はそれぞれ60%と46%に落ちました。
一方で、自社チャネルの重要度そのものが下がったわけではありません。年末商戦で重要度が増すチャネルを聞くと、自社店舗を挙げた人が67%、自社ECを挙げた人が49%いました。「使う予定の割合」は下がったのに「年末に大事になる」という評価は高いままで、使い方を絞り込む企業が増えたと読むのが自然です。
外部チャネルでは、Amazonで販売する予定の企業が33%、年末商戦でAmazonの重要度が増すと答えた企業が38%でした。Amazon以外のモールは利用予定29%、重要度が増すと答えたのは26%です。今回初めて単独の選択肢として集計されたTikTok Shopは21%が利用予定と答え、ほかのソーシャルコマースは6%にとどまりました。Mastercardの担当役員は、購買の道筋が「ますます細切れで、一直線ではなくなっている」と述べています。
日本のEC事業者にとっての論点:年末は「どこで売るか」の配分を決める時期
日本のEC事業者にとっての論点は、自社ECかモールかの二択ではなく、年末商戦のどの山場をどのチャネルで取りにいくかを先に決めることです。日本では11月下旬から12月にかけて、Amazonのブラックフライデー、12月の楽天スーパーSALE、Yahoo!ショッピングの大型キャンペーンが続きます。米国の調査と同じように、売上の山がモールの施策日に寄る構造はすでに日本でも起きています。
1つ目の論点は、在庫と広告費の振り分けです。同じ商品を複数チャネルで売る場合、どのセール日にどれだけの在庫を残すかを事前に決めておかないと、先に来たセールで在庫が尽き、本命の日に欠品します。うるチカラでも、複数モールで年末在庫を回すときの考え方を紹介しています。
2つ目の論点は、ソーシャルコマースの扱いです。TikTok Shopは2025年6月30日に日本で提供が始まりました。米国で21%が年末の販売チャネルに組み込んでいる点は、日本でも来年以降の年末商戦で無視できなくなる可能性を示しています。ただし、今回の調査でもA-Frame Brandsの創業者が、ブランド単独でTikTok上の販売を立ち上げるのは難しいと話しており、クリエイターとの協業やライブ配信とテレビ通販をつなぐ設計のように、運用体制とセットで考える必要があります。
3つ目の論点は、自社ECの役割の再定義です。調査に登場したサプリメント企業Ritualの責任者は、チャネルの使い分けは購入頻度でほぼ決まると話しています。日本に置き換えると、定期購入やリピートが多い消耗品は自社ECの会員施策で、ギフトや単発購入の多い商品はモールの集客力で、というように商品ごとに役割を分ける考え方になります。なお、楽天市場の店舗ページやR-Mailから自社ECへ誘導することは規約で認められていないため、チャネル間の送客ではなく、それぞれのチャネル内で完結する施策で組み立ててください。
初動アクション:年末商戦までに決めておく4つのこと
1つ目は、過去2年分の11月と12月の売上をチャネル別、日別に並べることです。どのセール日に売上が集中しているかを見るだけで、在庫と広告費を寄せるべき日が分かります。集計表の読み解きは、ChatGPTやClaude、Geminiに「チャネル別の山場と、前年比で伸びたチャネル」を要約させると短時間で終わります。
2つ目は、商品ごとに主戦場を決めることです。ギフト需要の大きい商品はモールのセール日に、消耗品や定期購入向けの商品は自社ECの会員施策に、というように役割を1行で書き出しておくと、施策の重複を防げます。
3つ目は、チャネル別の在庫上限を決めることです。特にAmazonのFBAと自社倉庫を併用している場合は、FBA納品の締め切りから逆算して配分を確定させてください。
4つ目は、TikTokなどのソーシャルコマースを試すなら、年末の本番ではなく年明け以降の小さな検証から始めることです。今回の調査は90人規模の米国調査であり、日本の同じ割合を示すものではありません。自社の数字で効果を確かめてから広げるのが安全です。
まとめ
米国の調査では、年末商戦で自社ECを使う予定の割合が69%から46%に下がり、AmazonやTikTok Shopへの分散が進んでいます。ただし自社チャネルは依然として首位で、重要度の評価も高いままです。日本のEC事業者は、自社ECかモールかを選ぶのではなく、商品ごと、セール日ごとにチャネルの役割を決め、在庫と広告費を配分する準備を今から進めるべきです。
参考文献
- Modern Retail「Modern Retail+ Research: Brands’ focus on owned channels wavers for the 2026 holiday season」
- Modern Retail「The 2026 guide to holiday marketing strategies, including A-Frame Brands, Mastercard and Ritual」
- Modern Retail「Marketers express revenue optimism for the 2026 holiday season despite economic pressures」
- TikTok ニュースルーム「TikTok Shop、日本で提供開始」
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: Modern Retail
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。