AIでパソコン操作を自動化する方法──Claude・ChatGPT・Geminiを「PC内部」と「ブラウザ」の2軸で徹底比較

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「AIにパソコンの作業を丸ごと任せたい」──そう思ったことはありませんか?

2026年に入り、AIによるパソコン操作の自動化は一気に現実のものとなりました。Anthropicの「Claude Cowork」、OpenAIの「Codexアプリ」、そしてGoogleの「Gemini Computer Use」。主要3社がそれぞれ独自のアプローチでAIにパソコンを操作させる機能を提供し始めています。

しかし、ここで多くの方が混乱するポイントがあります。「AIがパソコンを操作する」と一口に言っても、その中身は大きく2つに分かれるのです。1つはパソコン内部のファイルやアプリを操作すること。もう1つはブラウザ上のWebサイトや管理画面を操作すること。この2つは仕組みも対応状況もまったく異なります。

本記事では、この「PC内部」と「ブラウザ」という2つの軸で、Claude・ChatGPT(GPT-5.4)・Geminiの3社を比較し、どのツールがどんな用途に適しているのかを整理します。

「PC内部の操作」と「ブラウザの操作」は何が違うのか

まず、この2つの違いを明確にしておきます。

PC内部の操作とは、自分のパソコンに保存されているファイルの整理、Excelでのデータ集計、PowerPointの作成、フォルダの整理といった作業です。インターネットに接続しなくても完結するローカルな作業が中心になります。

ブラウザの操作とは、Webサイトでの情報収集、ECモールの管理画面での商品登録、SaaSツールへのデータ入力、フォームの自動入力といった作業です。ブラウザを開いて、人間の代わりにクリックや入力をAIが行います。

従来のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)では、この2つを自動化するためにシナリオの設計やプログラミングが必要でした。しかし2026年のAIエージェントは、日本語で「この作業をやって」と指示するだけで、AIが自律的に計画を立てて実行してくれます。これがRPAとの決定的な違いです。

PC内部の操作──各社の対応状況

Claude Cowork(Anthropic)

2026年1月にリリースされたCoworkは、現時点で非エンジニアがPC内部の作業をAIに任せるための最も完成度の高いツールです。

Claude Desktopアプリをインストールし、作業を任せたいフォルダへのアクセスを許可するだけで使い始められます。プログラミングは一切不要です。「このフォルダのCSVを月別に集計してExcelにまとめて」「散らばったファイルを種類別に整理して」といった指示を日本語で出すだけで、Claudeがタスクを分解し、サブエージェントを使って並列処理しながら作業を進めます。

特筆すべきは、Excel出力時に数式付きのスプレッドシートを生成できる点です。SUM関数やIF関数を含む実用的な集計表をそのまま成果物として受け取れます。PowerPointの作成にも対応しており、「レポートを作って」という指示だけでフォーマット済みのドキュメントが生成されます。

2026年2月にはWindows版も公開され、macOS版と同等の機能が利用可能になりました。さらにタスクスケジューリング機能が追加され、繰り返し作業の定期実行も設定できるようになっています。

利用するにはClaude Pro(月額20ドル)以上のプランが必要です。

Codexアプリ(OpenAI)

OpenAIのCodexアプリは、もともとソフトウェア開発者向けのコーディングツールとして登場しました。しかし現在は、ドキュメント作成の「スキル」が搭載されており、PDF・スプレッドシート・docxファイルの読み取り・作成・編集が可能です。

2026年3月4日にはWindows版も公開されました。ChatGPT Plus(月額20ドル)以上のプランで利用でき、期間限定でFree/Goプランにも含まれています。

Codexの特徴は「すべてをコードで制御する」という設計思想です。ファイル操作もドキュメント作成も、裏側ではCodexがコードを書いて実行しています。そのため、複雑なデータ処理やカスタマイズ性ではCoworkを上回る場面もあります。一方で、UIはコーディング作業を前提とした設計になっているため、プログラミングに馴染みのない方にとってはCoworkの方がとっつきやすいかもしれません。

ただし、Codexは急速に「コーディング以外の業務」にも対象を広げています。マルチエージェントでの並列処理、Skillsによるワークフロー自動化など、今後の進化次第ではCoworkと同等かそれ以上の汎用性を持つ可能性があります。

Gemini(Google)

2026年3月時点で、GeminiにはPC内部のファイルを直接操作する機能は提供されていません。Geminiのチャット画面(gemini.google.com)ではファイルのアップロードと分析は可能ですが、ローカルフォルダに直接アクセスしてファイルを作成・編集するCoworkやCodexのような機能はありません。

Googleは「Personal Intelligence」としてGmail・Google Photos・YouTube・検索との連携を進めていますが、ローカルPCのファイル操作は現時点では対象外です。

ブラウザの操作──各社の対応状況

Claude in Chrome(Anthropic)

AnthropicはClaude in Chromeというブラウジングエージェントをベータ版で提供しています。Chrome拡張機能として動作し、Coworkと連携させることでブラウザ操作を伴うタスクにも対応できます。

Anthropicは2024年10月に「Computer Use」機能をClaude 3.5 Sonnetで初めて公開し、AIによるパソコン操作の分野では最も早く動いた企業です。スクリーンショットを撮影→画面を認識→マウスやキーボードを操作、というループを自律的に繰り返す仕組みは、現在のGPT-5.4やGeminiのComputer Use機能にも大きな影響を与えています。

GPT-5.4 Computer Use(OpenAI)

2026年3月5日にリリースされたGPT-5.4は、OpenAIの汎用モデルとして初めてネイティブのコンピュータ操作機能を搭載しました。CodexアプリやAPI経由で利用でき、ブラウザだけでなくデスクトップアプリの操作にも対応しています。

技術的には、Playwrightなどのブラウザ自動化ライブラリでコードを書いて操作する方法と、スクリーンショットに応じてマウスやキーボードのコマンドを直接発行する方法の2つに対応しています。デスクトップ操作のベンチマーク(OSWorld-Verified)では75.0%の成功率を達成し、人間のパフォーマンス(72.4%)をわずかに上回りました。

ただし、API経由での利用が中心で、プログラミングなしでブラウザ操作を自動化するには現時点ではCodexアプリを経由する形になります。

Gemini Computer Use(Google)

GoogleはGemini 2.5 Computer Useモデルを公開しており、ブラウザ操作に特化したComputer Use機能を提供しています。ベンチマークではWebおよびモバイル制御において高いスコアを出しており、レイテンシ(応答速度)の低さが特徴です。

ただし、利用するにはGemini APIを使ってPythonでプログラムを書く必要があります。Google AI StudioやVertex AI経由でアクセスでき、Playwrightと組み合わせてブラウザを制御するエージェントを構築する形です。一般ユーザー向けのGUIツールは提供されていないため、現時点では開発者向けの機能にとどまっています。

比較まとめ──どのツールを選ぶべきか

ここまでの内容を、2つの軸で整理します。

PC内部の操作(ファイル整理・Excel作成・レポート生成など)

Claude Coworkは、非エンジニアが最もすぐに使い始められるツールです。日本語で指示するだけでファイル操作からドキュメント生成まで対応し、プログラミングは不要です。Codexアプリもドキュメント作成スキルを搭載しており同様の作業が可能ですが、UIはコーディング作業を前提とした設計です。ただしCodexは急速に汎用化が進んでおり、今後の展開次第ではCoworkに並ぶ選択肢になる可能性があります。Geminiにはこの領域の機能がまだありません。

ブラウザの操作(Web検索・管理画面操作・フォーム入力など)

3社すべてがブラウザ操作機能を提供していますが、ハードルに大きな差があります。Claudeは「Claude in Chrome」として比較的手軽に使え、Coworkとの連携も可能です。GPT-5.4はCodexアプリ経由で利用でき、性能面では最も高いベンチマークスコアを記録しています。Geminiはブラウザ操作に特化した専用モデルを持ちますが、APIでPythonを書く必要があり、一般ユーザーにはハードルが高い状況です。

プログラミングが不要で、PC内部・ブラウザの両方に対応しているのは、現時点ではClaudeだけです。GPT-5.4(Codex)もPC内部・ブラウザの両方に対応していますが、ブラウザ操作についてはCodexの使い方に慣れる必要があります。Geminiはブラウザ操作のみで、かつ開発者向けです。

RPAとの違い──なぜAIエージェントが注目されるのか

「パソコン操作の自動化」と聞いて、RPAを思い浮かべる方も多いかもしれません。UiPathやPower Automate for Desktopなどのツールは、2010年代から多くの企業で導入されてきました。

RPAとAIエージェントの最大の違いは「柔軟性」です。RPAは事前に定義されたシナリオに従って動作するため、画面のレイアウトが変わったり、想定外のポップアップが出たりすると止まってしまいます。一方、AIエージェントはスクリーンショットを見て状況を判断し、自律的に次の行動を決めます。シナリオの設計が不要で、画面の変化にも柔軟に対応できるのが強みです。

ただし、AIエージェントの成功率はまだ100%ではありません。GPT-5.4のOSWorld-Verifiedでの成功率は75%、人間が72.4%。つまり約4回に1回は失敗する計算です。重要な作業では人間が横で確認しながら使うのが、2026年時点での現実的な運用方法です。

今日から始められること

AIによるパソコン操作の自動化は、もはや未来の話ではありません。以下のステップで、今日から試すことができます。

ステップ1:Claude Coworkを試す Claude Desktopアプリをダウンロードし、Pro以上のプランに加入します。まずはダウンロードフォルダの整理や、CSVファイルの集計など、失敗しても問題ない作業から始めてみてください。

ステップ2:Codexアプリを試す ChatGPT Plus以上のプランに加入し、Codexアプリをインストールします。ドキュメント作成スキルを使って、レポートやスプレッドシートの自動生成を体験してみてください。

ステップ3:自社の業務を棚卸しする 日常業務の中で「毎回同じ手順でやっている作業」をリストアップします。その中から「AIに任せても安全な作業」と「人間が判断すべき作業」を分けてみてください。この整理自体が、AIエージェント時代に備える最も重要な一歩になります。

AIにパソコン操作を任せる時代は、すでに始まっています。完璧ではないからこそ、今のうちに触れて慣れておくことが、半年後・1年後の大きなアドバンテージになるはずです。

引用:https://openai.com/index/introducing-gpt-5-4/

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投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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