OpenAIのChatGPT広告が、年換算10億ドル規模に到達しました。
広告配信の開始からわずか200日未満での到達です。Adweekによると、OpenAIは2026年2月にChatGPT内での広告テストを始め、3月に広告マネージャーを公開し、8月には計測基盤のAppsFlyerとの連携を追加しています。会話型AIの回答画面が、Googleの検索結果やMetaのフィードに続く「第三の広告面」として立ち上がりつつあるという事実を、数字が裏づけた形です。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。日本のEC事業者にとって、ChatGPT広告は「まだ先の話」から「今期の予算配分で検討する対象」に変わりつつあります。

ChatGPT広告が200日未満で年換算10億ドルに到達した事実関係
結論から書くと、OpenAIが発表したのは「実際に10億ドルを稼いだ」ではなく「現在のペースが12か月続けば10億ドルに達する」という年換算のランレート(年間換算収益)です。1ドル150円換算でおよそ1,500億円規模ですが、為替と今後の成長率で振れる数字である点は押さえておく必要があります。
OpenAIは声明で「公開から200日未満でChatGPT Adsは年換算10億ドルの収益ランレートに到達し、数万社の広告主が利用している」と述べています(Tech Startups経由、原典はOpenAI公式発表)。配信国は40か国以上に広がり、今回あわせてインド、欧州、中東、北アフリカで広告マネージャーからの直接出稿(セルフサービス)が解禁されました。日本での広告マネージャー開放時期は本稿執筆時点で明示されておらず、要確認です。
広告面の規模も公表されています。ChatGPTの週間アクティブユーザーは10億人を超え、そのうち約20%が購買意図(コマーシャルインテント)を示すと、5月に最高マーケティング責任者へ就任したColin Flemingの発言としてAdweekが伝えています。広告は無料プランとGoプランの利用者に表示され、有料上位プランには出ません。なお同社は2026年の広告売上目標を23億ドルとしており、現在のランレートはその半分弱の水準です。
日本のEC事業者にとっての論点は「入口の分散」と「計測の分断」
日本のEC事業者が今つかむべき論点は3つあります。1つ目は、商品探索の入口が検索窓から会話へ分散していることです。うるチカラでもChatGPT検索がsite:検索を46倍多用している点を取り上げましたが、AIが自社サイトを直接参照して回答を組み立てる流れは強まっています。広告はその回答の隣に置かれるため、自社サイトの情報整備と広告出稿は同じ土俵の話になります。
2つ目は、商品データの整備です。ChatGPT広告には商品カルーセル形式が導入されており、商品フィードの粒度と鮮度がそのまま露出の質に直結します。楽天市場やAmazonの商品情報は各モールの仕様に最適化されていますが、モール外の広告面に出す前提のフィード(正確な在庫、価格、画像、属性)を自社側で持っている事業者はまだ多くありません。
3つ目は計測です。OpenAIはAdobe、Criteo、LiveRampなど計測・アトリビューション事業者との連携を進めていますが、日本の中小EC事業者の現場では、GA4のリファラでchatgpt.com経由の流入を確認する程度が現実的な出発点になります。Google広告とアナリティクスのAI要約のように、既存の広告管理画面側もAI前提に作り替わっているため、チャネルをまたいだ数字の突き合わせは今後さらに手間が増えます。
今後の展望と、日本のEC事業者がいま取るべき初動
展望としては、日本での広告マネージャー開放が次の焦点になります。インドでの解禁は週間利用者数の多い市場から順に開くという方針を示しており、日本も同じ順序で候補に入ると見るのが自然ですが、時期は要確認です。開放された瞬間に出稿できる事業者と、フィードの整備から始める事業者では、初速に数か月の差が出ます。
初動としては、まず自社の商品データを広告面に出せる形(商品名、価格、在庫、主要属性、正方形と横長の画像)で1か所にまとめておくことをおすすめします。次に、GA4でchatgpt.comやperplexity.aiからの参照流入を計測できるようセグメントを用意し、現時点の実数を把握しておきます。あわせて、自社サイトの商品ページと解説記事をAIが引用しやすい文章構造(結論を先に1文で言い切る、仕様を文章で明記する)に直しておくと、広告と自然流入の両方に効きます。予算は、既存の楽天RPPやAmazonスポンサープロダクトを削って充てるのではなく、テスト枠として月数万円規模から切り出す設計が現実的です。
一方で、過度な期待も禁物です。競合のAnthropicは自社サービスに広告を入れない方針を掲げており、AI回答への広告混入に対する利用者の抵抗感は依然として論点として残っています。Adweekが引用したeMarketerのアナリスト、Nate Elliotも、GoogleやMetaと同等の広告技術パートナー網を築くには時間がかかると指摘しています。
まとめ
ChatGPT広告は200日未満で年換算10億ドルのランレートに達し、広告主は数万社、配信国は40か国以上に広がりました。日本での広告マネージャー開放時期は未確定ですが、商品フィードの整備、AI経由流入の計測、自社サイトの文章構造という3点は、開放を待たずに今日から着手できます。会話型AIの回答面が新しい売り場になる前提で、少額のテスト枠と計測の器を先に用意しておく姿勢が有効です。
参考文献
- Adweek: ChatGPT Surpasses $1 Billion in Annualized Ads Revenue
- Tech Startups: OpenAI’s ChatGPT Ads Hit $1 Billion Revenue Run Rate in Under 200 Days
- OpenAI: A milestone in expanding access to AI
- CNBC: OpenAI’s ad business shows blistering growth, hits $1 billion annualized revenue run rate
- Adweek: OpenAI is taking its ad business to 31 new European markets
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
引用元: Adweek
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。