GoogleのAI検索に疲れた?日本のEC事業者が知るべきDuckDuckGoとAI検索エンジンの最新動向

投稿日: カテゴリー Gemini

2025年8月、Googleの検索結果にGemini AIによる要約が表示されることに疲れを感じているユーザーが増えています。BGRの最新レポートによると、Googleの世界検索市場シェアが低下し、代替検索エンジンへの移行が加速しています。日本のEC事業者にとって、この変化は商品の検索露出戦略を見直す重要なタイミングとなります。

GoogleのAI検索の問題点とEC事業者への影響

GoogleがGeminiを統合した検索結果では、複数のソースから情報を要約してページ上部に表示しますが、その情報が必ずしも正確でも関連性が高いわけでもないという問題が発生しています。BGRの記事では、「AIによる回答は最初は便利に見えるが、的外れだったり、誤解を招いたり、場合によっては完全に間違っていることがある」と指摘されています。

日本のEC事業者にとって、これは深刻な問題です。商品検索で誤った情報が表示されれば、購買意欲の低下や誤った商品選択につながる可能性があります。例えば、楽天市場やYahoo!ショッピングの商品がGoogle検索で表示される際、AI要約が商品の特徴を誤って解釈すれば、売上に直接的な影響を与えかねません。

さらに、GoogleのAI Modeでは検索履歴に基づいた広告ターゲティングが行われており、プライバシーの観点からも懸念が高まっています。EC事業者が広告を出稿する際も、これらの変化を理解した上で戦略を立てる必要があります。

DuckDuckGoが注目される理由と特徴

2008年に設立されたDuckDuckGoは、プライバシー重視の検索エンジンとして急速に支持を集めています。主な特徴は以下の通りです。

プライバシー保護の徹底

DuckDuckGoは検索履歴を保存せず、個人情報を収集しません。過去の検索に基づいたプロファイリングも行わないため、すべてのユーザーが同じクエリに対して同じ結果を見ることができます。これにより、Googleで問題となっている「フィルターバブル」を回避できます。

AI機能のユーザーコントロール

DuckDuckGoもAI機能を搭載していますが、Googleとは異なりユーザーが完全にコントロールできます。AIを使うか使わないか、どのように使うかを自分で決められるため、必要に応じて従来の検索結果のみを表示することも可能です。

独自の検索機能「Bangs」

「!」を使った独自機能により、他のサイトを直接検索できます。例えば「!rakuten スニーカー」と入力すれば、楽天市場のスニーカー検索結果に直接アクセスできます。EC事業者にとって、この機能は自社サイトへの直接誘導の可能性を広げます。

2025年のAI検索エンジン市場動向

主要AI検索エンジンの比較

検索エンジン月額料金主な特徴EC事業者への影響Google(Gemini統合)無料〜$249.99(Ultra)AI要約が自動表示、広告ターゲティング連動SEO戦略の見直しが必要DuckDuckGo無料プライバシー重視、AI機能のオンオフ可能新たな流入チャネルとして期待Perplexity無料〜$20リアルタイム情報、ソース明記商品比較検索での活用増加Brave Search無料独立したインデックス、Goggles機能カスタマイズ可能な検索結果Microsoft Copilot$30〜Microsoft製品との統合B2B ECでの活用可能性

ChatGPTの検索市場参入

ChatGPTは2025年に検索市場の1%を獲得すると予測されています。これはGoogleと比較すれば小さなシェアですが、ユーザー行動の変化を示す重要な指標です。週間アクティブユーザー8億人を抱えるChatGPTが本格的に検索市場に参入すれば、EC事業者は新たなマーケティングチャネルを検討する必要があります。

日本のEC事業者が取るべき対策

1. 複数の検索エンジンへの最適化

Google一極集中のSEO戦略から、DuckDuckGo、Perplexity、ChatGPTなど複数の検索エンジンを意識した戦略への転換が必要です。特に商品説明は、AI要約でも正確に解釈されるよう、明確で構造化された内容にすることが重要です。

2. プライバシー重視の顧客層へのアプローチ

DuckDuckGoユーザーはプライバシーを重視する傾向があります。このような顧客層に対しては、個人情報保護方針を明確にし、過度なトラッキングを避けたマーケティング手法が効果的です。

3. 直接検索の活用

DuckDuckGoのBangs機能のように、検索エンジンを経由せずに自社サイトに直接アクセスしてもらう仕組みづくりが重要です。楽天市場やYahoo!ショッピングだけでなく、自社ECサイトのブランディングを強化し、顧客に直接検索してもらえる存在になることが求められます。

4. AI検索への対応準備

商品データを構造化し、JSONLDなどのマークアップを適切に実装することで、AI検索エンジンが商品情報を正確に理解できるようにします。価格、在庫、レビュー評価などの重要情報は、明確にマークアップすることが必須です。

まとめ

GoogleのAI統合検索への不満から代替検索エンジンへの移行が進む中、日本のEC事業者は検索戦略の多様化を迫られています。DuckDuckGoのようなプライバシー重視の検索エンジンや、ChatGPT、Perplexityなどの新興AI検索サービスの台頭により、従来のGoogle中心のSEO戦略だけでは不十分になりつつあります。

重要なのは、これらの変化を脅威ではなく機会として捉えることです。複数の検索エンジンに対応することで、より幅広い顧客層にリーチでき、特定のプラットフォームへの依存リスクも軽減できます。まずは自社の商品データの構造化から始め、段階的に複数の検索エンジンへの最適化を進めることをお勧めします。

引用:bgr


投稿者: 齋藤竹紘

齋藤 竹紘(さいとう・たけひろ) 株式会社オルセル 代表取締役 / 「うるチカラ」編集長

   
Experience|実務経験
2007年の株式会社オルセル創業から 17 年間で、EC・Web 領域の課題解決を 4,500 社以上 に提供。立ち上げから日本トップクラスのEC事業の売上向上に携わり、 “売る力” を磨いてきた現場型コンサルタント。
Expertise|専門性
技術評論社刊『今すぐ使えるかんたん Shopify ネットショップ作成入門』(共著、2022 年)ほか、 AI × EC の実践知を解説する書籍・講演多数。gihyo.jp
Authoritativeness|権威性
自社運営メディア 「うるチカラ」で AI 活用や EC 成長戦略を発信し、業界の最前線をリード。 運営会社は EC 総合ソリューション企業株式会社オルセル
Trustworthiness|信頼性
東京都千代田区飯田橋本社。公式サイト alsel.co.jp および uruchikara.jp にて 実績・事例を公開。お問い合わせは info@alsel.co.jp まで。

お問い合わせ