日本のEC事業者がAIで出遅れている今、実はチャンスかもしれない理由

投稿日: カテゴリー うるチカラのコラム

最近、ChatGPTやClaudeを使って仕事をしている人、増えましたよね。でも、日本のEC業界全体で見ると、実はまだまだAI活用が進んでいないんです。これって、見方を変えれば今から始める人にとっては大きなチャンスかもしれません。今回は、日本のEC業界のAI活用の現状と、なぜ今がチャンスなのかについて、データを交えながらお話しします。

数字で見る、日本のEC業界のリアル

まず現実を見てみましょう。経済産業省の「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2024年9月発表)によると、2023年の日本のEC化率は9.38%です。調査によると、お隣の中国や韓国、アメリカなどと比較すると、日本はかなり低い水準にあるとされています。

AI活用についても同様です。総務省の「令和6年版情報通信白書」(2024年7月発表)によると、日本企業で生成AIを業務で使っている割合は46.8%。アメリカや中国は84%を超えているので、約半分の利用率ということになります。しかも、日本企業の多くは「メールや議事録の作成補助」といった社内業務での利用が中心で、顧客向けサービスでの活用はまだまだ少ないのが現状です。

投資額で見ても、スタンフォード大学の「AI Index Report 2024」によれば、2023年のAIへの民間投資額は、アメリカが約672億ドル、中国が約78億ドルに対し、日本は約7億ドルと、かなりの差があります。

でも、だからこそチャンスがある

ここまで聞くと「日本、ヤバくない?」と思うかもしれません。確かに全体的には遅れています。でも、EC事業者の立場から見ると、これは逆にチャンスなんです。

なぜなら、まだ多くの競合がAIを本格的に使っていないから。今からAIを活用し始めれば、一気に差をつけられる可能性があるんです。実際、情報通信総合研究所の調査(2024年)では、すでにAIを導入している企業の多くが「活用ノウハウや知識不足」を課題に挙げています。つまり、みんなまだ手探り状態なんです。

特にEC業界は、AIとの相性が抜群に良い分野です。商品説明文の作成、画像の加工、顧客対応、需要予測、価格設定など、AIが得意とする作業がたくさんあります。しかも、ECは完全にデジタルで完結するビジネスなので、AIを導入しやすい環境が整っています。

実際に使えるAI活用の具体例

では、EC事業者は具体的にどんな場面でAIを使えるのでしょうか。すでに実践している事業者の例を見てみましょう。

商品説明文の作成は、最も簡単に始められる活用法です。商品の基本情報を入力するだけで、SEOを意識した魅力的な説明文を作ってくれます。1商品あたり10分かかっていた作業が1分で終わるようになったという事例もあります。

カスタマーサポートでは、よくある質問への自動回答が可能です。「この商品のサイズ感は?」「返品方法を教えて」といった定型的な質問は、AIが24時間対応してくれます。スタッフは、より複雑な問い合わせや、クレーム対応など、人間にしかできない業務に集中できるようになります。

在庫管理と需要予測も、AIの得意分野です。過去の販売データ、季節要因、トレンドなどを分析して、適切な発注タイミングと数量を提案してくれます。在庫切れによる機会損失も、過剰在庫による廃棄ロスも減らせます。

日本企業の強みを活かしたAI活用

PwCの調査(2024年)によると、アメリカ企業は生成AIを使って新しいビジネスモデルを作ることに注力している一方、日本企業は既存業務の効率化から始める傾向があります。これは一見すると消極的に見えますが、実は堅実なアプローチとも言えます。

日本のEC事業者の強みは、きめ細やかな顧客対応と高品質なサービスです。AIを使って業務を効率化することで、浮いた時間をさらなる品質向上に充てることができます。例えば、商品説明文の下書きはAIに任せて、最終的な調整や、お客様への気配りを感じさせる一文は人間が加える。こうした「AI+人間」の協働こそ、日本らしいアプローチではないでしょうか。

BCGの調査(2025年)によると、日本企業の多くが2025年にAIへの大規模な投資を予定しており、その投資意欲は調査対象国の中でもトップクラスだったそうです。つまり、投資意欲はあるんです。あとは、その投資を実際の成果につなげるノウハウが必要なだけです。

小さく始めて、大きく育てる

「でも、AIって難しそう」と思う方も多いでしょう。確かに、いきなり大規模なシステムを導入するのはハードルが高いです。でも、今は無料や低価格で使えるAIツールがたくさんあります。

まずはChatGPTやClaudeの無料版で商品説明文を作ってみる。Canvaで商品画像を加工してみる。こうした小さな一歩から始めればいいんです。使っているうちに、「こんなこともできるんだ」「この作業も自動化できそう」というアイデアが生まれてきます。

重要なのは、完璧を求めすぎないこと。AIが作った文章をそのまま使う必要はありません。70%の出来でも、それを人間が手直しすれば、トータルの作業時間は大幅に短縮できます。この「ちょうどいい使い方」を見つけることが、成功の鍵です。

今がチャンスの理由

日本のEC業界がAI活用で遅れているということは、裏を返せば、今から始める人にとっては絶好のタイミングということです。多くの競合がまだ様子見をしている今、一歩先に進むことで大きなアドバンテージを得られます。

しかも、AI技術は日進月歩で進化しています。1年前にはできなかったことが、今では簡単にできるようになっています。早く始めれば始めるほど、その恩恵を長く受けられるのです。

「うるチカラ」では、EC事業者の皆様が無理なくAIを活用できるよう、実践的なノウハウをお伝えしています。難しい技術の話ではなく、「明日から使える具体的な方法」を中心に、成功事例や失敗から学んだ教訓などもシェアしています。

AI活用は、もはや「やるかやらないか」ではなく「いつ始めるか」の問題です。世界から遅れているという現実は確かにありますが、それは同時に、これから大きく成長できる余地があるということでもあります。一緒に、AIを味方につけて、もっと楽に、もっと効果的にEC事業を成長させていきましょう。

チャンスは、今、目の前にあります。


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