FLUX 3 Videoとは、最長20秒の音声つき動画を生成できるBlack Forest Labsのモデルのことです。
秒単位の従量課金なので、EC事業者にとっての判断は「使えるか」ではなく「撮り直しを含めて1本いくらになるか」に絞られます。フルHD品質のテキストから動画への生成は1秒あたり0.29米ドル、下書き品質なら0.06米ドル。この2つの数字を組み合わせると、20秒の商品動画1本を仕上げるまでの原価がかなり具体的に出せます。本記事では、その計算過程と、撮り直しを何回まで許容できるかの損益分岐を実際の数字で示します。執筆は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が担当しています。
2026年8月4日のGAで何が変わったか
まず押さえるべきは、機能が増えたことよりも、価格表が全公開されて原価計算ができるようになった点です。The Decoderによると、Black Forest LabsはFLUX 3 Videoを自社APIと一部パートナー経由で一般提供に切り替えました。生成できるのはHDとフルHDのクリップで最長20秒、音声はセリフ、効果音、環境音を含めてネイティブに生成されます。後から吹き替えるのではなく、映像と同時に音が作られる方式です。
対応している入力は幅広く、テキストから動画、画像から動画、キーフレーム指定、既存動画の続き生成、そして1本のクリップ内での複数シーンとカメラアングルの切り替えに対応しています。シーンの中に直接タイポグラフィを描画できる点と、14言語以上でリップシンクした発話を生成できる点も公表されています。同社自身のElo評価ではテキストから動画で1,135、画像から動画で1,051というスコアを示し、Gemini Omni Flash、MiniMax H3、Seedance 2.0を上回ったとしています。ただしこれは自社実施の評価なので、そのまま鵜呑みにはできません。
価格はBFLの料金ページで秒単位に定義されています。下書きモードはHDのみで、テキストから動画と画像から動画が1秒あたり0.06米ドル、動画から動画が0.12米ドル。フル品質ではHDが0.17米ドルと0.41米ドル、フルHDが0.29米ドルと0.53米ドルです。音声はこの価格に含まれます。日本のEC事業者が見るべきは、この2桁違う下書きとフル品質の使い分けです。
早期アクセス段階の仕様と何が違うのかを整理したい場合は、FLUX 3のネイティブ音声つき動画をEC文脈で解説した記事を先に読むと差分が追えます。
20秒1本の原価を、撮り直し込みで計算する
結論から書くと、下書きで8回試して2回フルHDで仕上げる標準的な進め方なら、20秒の商品動画1本の生成コストは約21.2米ドル、1米ドル150円換算で約3,180円になります。為替は変動するため、円換算値は目安として扱ってください。
内訳はこうです。下書きモードで20秒を1本作ると0.06掛ける20で1.2米ドル、日本円で約180円。構図やナレーションの言い回しを詰めるためにこれを8回繰り返すと9.6米ドル、約1,440円です。方向性が固まったところでフルHDのフル品質に切り替えると、20秒1本が0.29掛ける20で5.8米ドル、約870円。最終確認で微調整を入れて2本作れば11.6米ドル、約1,740円になります。合計21.2米ドル、約3,180円という計算です。
短い尺ならさらに下がります。商品ページのファーストビューに置く8秒のループ動画なら、下書き8回で3.84米ドル、フルHD最終2本で4.64米ドル、合計8.48米ドルで約1,270円です。逆に、既存の実写素材に手を入れる動画から動画の処理はフルHDで1秒0.53米ドルと高く、20秒で10.6米ドル、約1,590円が1本あたりの単価になります。撮り直しが多い工程ほど、下書きモードで詰めきってから本番に上げる運用が効きます。
比較対象として置いておきたいのが外注です。商品動画の制作外注は、撮影を伴うかどうか、素材点数、修正回数によって金額が大きく変わるため一律の相場は出せませんが、実写撮影を含む案件が1本数万円から始まるのは業界の目安として広く共有されています。ここは各社の見積もりで確認してください。重要なのは金額の大小ではなく、内製に切り替えると「1本追加するコスト」が数千円単位に落ちるという構造変化のほうです。SKUが300点ある店舗が全商品に動画をつけるとき、1点あたり3,180円なら約95万円で全点に行き渡ります。
直近の支援案件で観測したのは、動画を作れないことよりも「作った動画をどこに置くか決まっていない」ことのほうがボトルネックになっている状況です。楽天市場なら商品ページ内の動画枠と楽天ショート動画、Amazonならブランド登録者向けの商品動画枠、Shopifyならテーマ内のセクション。置き場所が決まっていない状態で生成だけ進めても在庫が積み上がるだけなので、原価計算と同時に掲載先を確定させてください。
商品動画を内製するためのプロンプト6本
ここからは実際に使えるプロンプト6本を示します。いずれもFLUX 3 Videoに直接投げる指示文の設計と、その前段でChatGPTやClaudeに構成を作らせる指示に分かれています。
最初は、下書きモードで無駄打ちしないための構成設計です。生成前に絵コンテを言語化しておくと、下書きの試行回数が目に見えて減ります。
プロンプト1:20秒動画の絵コンテを4カットに分解する
あなたはEC商品動画の構成作家です。以下の商品について、20秒の動画を4カット構成の絵コンテに分解してください。
商品情報:
- 商品ジャンル:{ジャンル}
- 商品名:{商品名}
- 主要訴求:{訴求1、訴求2、訴求3}
- 想定視聴者:{購買層}
- 掲載先:{楽天商品ページ/Amazon商品動画枠/Shopify商品ページ}
出力形式:
カットごとに「秒数配分・画角・被写体の動き・画面内テキスト・ナレーション文(日本語15字以内)」の5項目を書いてください。
制約:
1. 4カットの秒数合計をちょうど20秒にすること
2. 最初の3秒で商品の全体像が分かること
3. 誇大表現(最高・No.1・絶対・完全)を使わないこと
4. 効能効果を断定する表現を使わないこと
次に、その絵コンテを生成モデルに渡す形の指示文へ翻訳します。日本語の絵コンテをそのまま投げるより、視覚要素を明示的に分けたほうが下書きの当たり率が上がります。
プロンプト2:絵コンテを動画生成プロンプトに変換する
以下の絵コンテを、テキストから動画を生成するモデル向けの英語プロンプトに変換してください。
絵コンテ:{プロンプト1の出力}
変換ルール:
1. カットごとに独立した段落にし、冒頭に秒数を明記する
2. 被写体、カメラワーク、照明、背景、質感の順に記述する
3. 画面内に表示する文字は「on-screen text: "{日本語文字列}"」の形で明示する
4. ナレーションは「dialogue (Japanese): "{セリフ}"」の形で明示する
5. 商品の色・形状・パッケージの特徴を具体的に描写し、モデルが別物を描かないようにする
6. 出力は英語プロンプト本体のみ。解説を付けないこと
3本目は、静止画資産を活かす経路です。すでに商品撮影の写真がある店舗は、テキストからではなく画像から動画を作るほうが商品の再現性が高くなります。
プロンプト3:既存の商品写真から動画化する指示文を作る
手元にある商品写真1枚を起点に、画像から動画を生成するための指示文を作ってください。
写真の内容:{写真の説明}
動かしたい要素:{カメラのズーム/商品の回転/背景のみ動かす/手が商品を持つ}
避けたい変化:{パッケージの文字が変形する/色味が変わる/個数が増える}
出力形式:
1. 英語の生成プロンプト(動きの記述を中心に、静止要素は「keep unchanged」と明示)
2. 生成後に必ず目視確認すべきチェック項目を5つ
4本目は、下書きから本番に上げる判断を機械的にするためのチェックリストです。感覚で「まあいいか」と本番課金に進むと、フルHDの単価がそのまま無駄になります。
プロンプト4:下書き動画の合格判定チェックリストを作る
以下の商品動画について、下書き品質からフル品質の生成に進んでよいかを判定するチェックリストを作ってください。
商品ジャンル:{ジャンル}
掲載先:{掲載先}
訴求内容:{訴求}
チェックリストの条件:
1. 目視で判定できる項目だけにすること(主観的な「魅力的か」は不可)
2. 商品の形状・色・個数・パッケージ文字の再現性を必ず含めること
3. 景品表示法と薬機法の観点で問題になり得る表現の有無を含めること
4. 音声つきの場合、口の動きと発話の同期を含めること
5. 全10項目以内、各項目は「はい/いいえ」で答えられる形にすること
5本目は、生成した動画を掲載先ごとに調整する工程です。同じ素材でもモールごとに求められる尺と比率が違うため、ここを毎回考え直すと工数が積み上がります。
プロンプト5:掲載先別のリサイズ・尺調整の仕様書を作る
20秒の商品動画を、以下の掲載先向けに展開するための仕様書を作ってください。
掲載先:{楽天商品ページ/楽天ショート動画/Amazon商品動画枠/Shopify商品ページ/Instagramリール}
元素材:20秒・フルHD・音声つき
出力してほしい内容:
1. 掲載先ごとの推奨アスペクト比と尺
2. 音声の有無(自動再生時に無音になる環境を考慮)
3. 冒頭何秒で何を見せるべきかの指示
4. 画面内テキストを入れる場合の安全領域の考え方
5. 元の20秒からどこを切り出すかの推奨区間
注意:各モールの最新の入稿規定は公式マニュアルで必ず確認する前提で、確認すべき項目名も併記してください。
6本目は、月次の費用管理です。秒課金は油断すると膨らむので、最初から上限を設計に入れます。
プロンプト6:商品動画の月次予算と生成上限を設計する
以下の条件で、商品動画の内製にかかる月次予算と生成本数の上限を設計してください。
条件:
- 対象SKU数:{数}
- 1本あたりの尺:{秒数}秒
- 想定する下書き試行回数:{回}
- 最終出力の本数:{本}
- 単価前提:下書きHD 0.06米ドル毎秒、フル品質フルHD 0.29米ドル毎秒
- 為替:1米ドル{レート}円
出力してほしい内容:
1. 1本あたりの生成コスト(米ドルと円の両方)
2. 対象SKU全点を作りきる場合の総額
3. 月次予算を{金額}円に抑える場合の、月あたり生成可能本数
4. 予算超過を防ぐための運用ルール3つ
5. 費用対効果を測るために追うべき指標3つ
よくある失敗と、その回避策
最も多い失敗は、下書きモードを使わずにいきなりフル品質で試行することです。単価差は約4.8倍あります。20秒の試行を10回行った場合、下書きなら12米ドルで済むところが、フルHDだと58米ドルになります。構図やナレーションを詰める段階では画質は判断材料にならないので、下書きで方向性を固定してから本番に上げる二段構えを最初から運用に入れてください。
次に多いのが、生成物の表現チェックを飛ばすことです。動画は静止画よりチェックが甘くなりがちですが、画面内テキストとナレーションは景品表示法と薬機法の対象になります。特に化粧品、健康食品、サプリのジャンルでは、生成されたナレーションに効能を断定する言い回しが混ざることがあります。ここは人手の確認工程を必ず残し、AI動画を本番投入するかどうかの判断基準で整理した観点を社内チェックに落としてください。
3つ目は、商品の再現性を過信することです。テキストからの生成では、パッケージの文字、容量表記、色味が実物とずれることがあります。実物と異なる商品画像は、モールによっては規約違反や返品理由になります。パッケージが写り込むカットは、テキストからではなく実写画像を起点にした画像から動画の経路に切り替えるのが安全です。
4つ目は、Elo評価の順位をそのまま採用理由にすることです。今回公表されているスコアはBFL自身のテストによるものです。自社の商品ジャンルで同じ順位になる保証はないので、下書きモードで数十本試して自社の商品との相性を測ってから本採用を判断してください。他モデルとの比較を検討するなら、MiniMax H3のオープンウェイト公開と商品動画への影響も比較材料になります。
KPIと費用対効果の測り方
投資判断に使う指標は、動画の本数ではなく1本あたりの寄与で置くのが実務的です。追いやすいのは、動画を設置した商品ページの滞在時間、カート投入率、そして返品率の3つです。返品率を入れるのは、動画によって商品理解が進むと「思っていたものと違う」型の返品が減ることがあるためで、動画の効果が売上以外に出る典型的な経路になります。
費用側は、生成コストだけで見ないでください。1本あたり3,180円という数字には、絵コンテの設計、生成の待ち時間、表現チェック、掲載作業の人件費が含まれていません。現場感覚では、生成そのものより前後の工程のほうが時間を食います。20秒1本を掲載可能な状態にするまでの実作業を計測して、生成コストに人件費を上乗せした値を「実質単価」として管理するのが正しい見方です。
月次の運用設計としては、最初の1か月は上位20SKUに絞って実測することをおすすめします。全点展開の判断は、その20点の指標が動いたかどうかを見てからで遅くありません。
動画生成が価格勝負に入ったあとに残るもの
秒単価が公開され、複数のモデルが同じ土俵で比較できるようになった時点で、生成そのものはコモディティに向かいます。1秒0.29米ドルという水準は、来年には確実に下がります。だとすれば、EC事業者が投資すべきなのは生成ツールの選定ではなく、絵コンテの型と表現チェックの仕組みのほうです。ツールが変わっても、4カット構成の型と薬機法チェックのリストは資産として残ります。
もう1つの見立ては、動画が検索の対象になる方向です。生成AI検索が商品情報を要約する流れの中で、動画に含まれる音声とテキストがどこまで参照されるかは、2026年8月時点ではまだ確定していません。ここは要確認としておきますが、音声つきで生成できることの意味は、視聴体験だけでなく将来の情報抽出のしやすさにも及ぶ可能性があります。ナレーションに商品名と主要スペックを自然に入れておく運用は、コストゼロで打てる先行投資です。
競合が書けていない論点として指摘しておきたいのは、動画の「更新コスト」です。価格改定やパッケージリニューアルのたびに動画を作り直す必要が出ると、初期制作より運用のほうが重くなります。生成した動画のプロンプトと絵コンテを商品マスタと紐づけて保管しておけば、変更点だけを差し替えて再生成できます。この管理を最初から設計に入れているかどうかが、1年後の運用負荷を分けます。
モール別に、20秒の素材をどう割り付けるか
生成した1本をそのまま全チャネルに流すのは効率が悪く、かといって媒体ごとに作り直すのはコストが跳ね上がります。現実解は、20秒のマスターを1本作り、そこから区間を切り出して各所に配る運用です。ここでは配り方の考え方を整理します。
楽天市場の商品ページに置く場合、視聴者はすでに商品を探している状態で到達しています。したがって冒頭で世界観を作る必要は薄く、商品そのものの質感、サイズ感、使用時の状態を早く見せるほうが効きます。20秒のうち最初の8秒を切り出し、商品のアップと使用シーンだけで構成するのが扱いやすい配分です。楽天ショート動画のような縦型の枠に出す場合は、同じ素材でも縦の構図で生成し直す必要が出ます。横で作った映像を機械的に切り抜くと、被写体が画面端に寄って見切れます。生成の段階で縦用のカットを別に作るほうが、結果的に手戻りが少なくなります。
Amazonの商品動画枠は、ブランド登録が前提の機能です。ここは商品の仕様説明に寄せた構成が相性よく、生成したナレーションに型番や容量を含めておくと、視聴者が耳から仕様を確認できます。ただし他社ブランドとの比較表現や、優位性を断定する言い回しは規約上の制約があるため、生成されたナレーションをそのまま通さず、必ず表現チェックを挟んでください。
Shopifyや自社ECでは制約が最も緩く、20秒をフルで使えます。商品ページの中盤、スペック表の直前あたりに置くと、テキストで読むのが億劫になった読者を拾えます。自動再生を有効にする場合は無音再生が前提になるため、音声に頼らず画面内テキストだけで意味が通る構成にしておく必要があります。この点は、音声つきで生成できることの利点を活かしきれない場面として認識しておいてください。
SNS向けに転用する場合、冒頭2秒の設計がすべてを決めます。商品ページ用のマスターをそのまま流用すると、商品が中央に静かに置かれた立ち上がりになりがちで、スクロールを止められません。SNS用は別カットとして、動きの大きい瞬間から始まる構成を生成し直すほうが確実です。1本追加で約870円と考えれば、使い回しに固執する理由は薄くなります。
直近の支援案件で観測したのは、素材を作る前に「どの枠に何秒で置くか」を一覧化しておいた店舗ほど、生成回数が少なく済んでいるという傾向です。逆に、とりあえず作ってから置き場所を探した店舗は、比率も尺も合わずに作り直しが発生していました。設計の順番が費用に直結する典型例です。
生成物を資産として管理する仕組み
秒課金のツールで見落とされがちなのが、生成物の再現性です。同じ商品の動画を半年後に作り直すとき、前回どんなプロンプトでどんな設定を使ったかが分からなければ、また下書きから試行し直すことになります。1本あたり約3,180円の原価は、この再現性が確保されている前提での数字です。
管理すべき項目は5つあります。第1に、生成に使った最終プロンプトの全文。第2に、起点にした画像がある場合はそのファイル名とパス。第3に、生成時の品質設定と尺。第4に、下書きで何回試して何を変えたかの変更履歴。第5に、表現チェックで指摘が入った箇所とその修正内容です。
この5項目を商品マスタのSKUに紐づけて保管しておくと、パッケージリニューアルや価格改定のときに、変更が必要なカットだけを差し替えられます。全部を作り直すか、1カットだけ差し替えるかで、費用は5倍以上変わります。商品数が増えるほどこの差は効いてきます。
保管形式は、テキストファイルで十分です。ツールの管理画面の履歴に頼ると、ツールを乗り換えた瞬間に消えます。動画生成の分野はモデルの入れ替わりが速く、1年後に同じサービスを使っている保証はありません。プロンプトと設定をテキストで自社に持っておけば、別のモデルに移っても書き換えの起点になります。
もう1つ、社内の合意事項として決めておくべきなのが「AI生成であることを表示するか」です。2026年時点で日本国内に一律の表示義務はありませんが、EU向けに販売している事業者はAI生成コンテンツの開示規定の対象になる可能性があります。越境販売をしている場合は、この点を法務と確認したうえで運用を始めてください。国内向けのみであっても、表示の有無を社内で統一しておかないと、担当者ごとに扱いがばらつきます。
よくある質問
FLUX 3 Videoの最短で作れる動画の長さはどれくらいですか
公表されている上限は20秒ですが、下限については明記がないため要確認です。運用上は、商品ページのループ用途なら6秒から8秒、訴求を積む用途なら15秒から20秒という配分が扱いやすいと判断します。秒課金なので、短い尺のほうが試行回数を稼げます。
音声つきで生成すると追加料金がかかりますか
いいえ、音声は公表されている秒単価に含まれています。テキストから動画のフルHDが1秒0.29米ドルという価格に、セリフ、効果音、環境音が含まれる形です。別課金の音声合成を後段でつなぐ構成と比べたときに、この点は工程が1つ減る利点になります。
日本語のリップシンクは使えますか
はい、14言語以上でリップシンクした発話を生成できると公表されています。ただし日本語の再現度が実用水準かどうかは商品ジャンルと台詞の内容で変わるため、下書きモードで自社の台詞を試してから判断してください。
商品の実物と生成された映像が違った場合、問題になりますか
はい、実物と異なる商品映像は各モールの規約違反や、景品表示法上の優良誤認に該当する可能性があります。パッケージや容量表記が写るカットは実写画像を起点にし、生成後の目視確認を工程に組み込んでください。
内製と外注はどちらが安く済みますか
本数によります。単発で数本なら外注のほうが総コストで有利になる場合が多く、SKU数が数十点を超えて継続的に作り続けるなら内製の限界費用の低さが効いてきます。1本あたり約3,180円という生成コストに、社内の作業時間を上乗せした実質単価で比較してください。
生成した動画の商用利用は可能ですか
利用条件は提供元の規約に従います。2026年8月時点で商用利用の可否と条件はBFLの利用規約を直接確認する必要があるため、ここは要確認としています。契約形態によって条件が異なる可能性があるので、本番投入前に自社の契約内容を確認してください。
まず何から始めればよいですか
売上上位20SKUのうち、静止画では伝わりにくい商品を3点選び、下書きモードで各8回試すところから始めてください。3点で合計約4,320円、1日で終わる規模です。その3点の指標が動くかどうかを見てから、全点展開の判断に進むのが順序として無理がありません。
今週着手するなら、この順番で
初日は生成に触らず、掲載先の枠を確認するところから始めてください。楽天の商品ページに動画枠があるか、Amazonのブランド登録が済んでいるか、Shopifyのテーマが動画セクションに対応しているか。ここが埋まっていないと、作った素材の置き場所がありません。所要時間は1時間程度です。
2日目に、売上上位20SKUのうち静止画では伝わりにくい商品を3点選びます。サイズ感が伝わりにくい家具や収納、使用感が重要な化粧品、開封の様子が購入判断に関わる食品ギフトあたりが候補になります。3日目に絵コンテを作り、4日目に下書きモードで各8回試す。ここまでで費用は約4,320円、実作業は延べ1日程度です。
5日目にフル品質で仕上げて掲載し、その後2週間の指標を見ます。滞在時間、カート投入率、返品率の3つを、動画のない同カテゴリ商品と比較してください。全点展開の判断は、この比較の結果が出てからで遅くありません。先に全点作ってしまうと、効果が出なかったときに引き返せなくなります。
著者:齋藤竹紘(株式会社オルセル 編集長/5,000社以上のEC支援実績/書籍3冊)
参考文献
- The Decoder・Black Forest Labs makes FLUX 3 Video generally available
- Black Forest Labs・Pricing
- Black Forest Labs Blog・FLUX 3 Video
- VentureBeat・Black Forest Labs launches FLUX 3
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。