Gemini Omni 1.1 FlashでEC商品動画が3分の1コストに

Google が Gemini Omni 1.1 Flash を公開。360pドラフトで費用3分の1、シーン拡張は40秒まで。EC商品動画の内製コストと初動の3論点を、価格計算つきで解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

Google が Gemini Omni 1.1 Flash を公開しました。

Google は2026年8月27日、動画生成モデルの新版となる Gemini Omni 1.1 Flash を開発者向けに公開しました。目玉は、720p に比べて生成が最大60パーセント速く、費用が3分の1で済む360pのドラフトモードと、既存動画を10秒刻みで最長40秒まで延長できるシーン拡張です。商品動画をAIで内製したい日本のEC事業者にとって、試作コストの下限が一段下がったニュースだと受け止めています。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

Gemini Omni 1.1 Flash で何が変わったのか

結論から言えば、変わったのは「作れるか」ではなく「何度も試せるか」です。The Decoder が伝え、Google の公式ブログでも告知された今回の更新は、生成品質を一気に引き上げる類のものではなく、制作フローの回転数を上げる方向に寄っています。

具体的な変更は4点です。1点目はシーン拡張の精度で、直前の映像を最大10秒ぶん読み取ってから続きを生成するようになりました。従来は最後の1秒しか参照していなかったため、続きを作ると人物や背景が崩れやすかった部分です。10秒刻みで足していき、累計40秒まで伸ばせます。

2点目は開始フレームと終了フレームの指定です。始点と終点の静止画を渡すと、その間をつなぐカメラワークを生成します。3点目が360pのドラフトモードで、720p比で最大60パーセント高速、費用は3分の1です。仕上げは1080pや4Kへアップスケールできます。4点目は参照動画の入力で、最大3秒の外部映像をスタイル参照として渡し、キャラクターや動きの一貫性を保てます。

料金は1秒あたりの従量課金で、360pが0.03ドル、720pが0.10ドル、1080pが0.15ドル、4Kが0.30ドルです。利用は Google AI StudioGemini API の公式ドキュメントから始められます。すでに Adobe Firefly、Figma Weave、Runway、GMI Cloud が本番環境で採用しています。

Gemini Omni 1.1 Flash の解像度別料金表

日本のEC事業者にとっての論点は「捨てられる動画」が作れること

日本のEC事業者にとっての意味は、1本の単価が下がったことではなく、ボツにしても痛くない動画を量産できるようになったことです。公開された1秒単価から計算すると、8秒の商品動画を360pで作った場合は0.24ドル、1ドル150円換算でおよそ36円です。同じ8秒を720pで作れば0.80ドル、およそ120円になります。40秒のフル尺を720pで通しても4.00ドル、およそ600円です。為替レートは変動するため、実際の請求額は各自でご確認ください。

この価格帯になると、商品動画の作り方が変わります。これまでは1本の動画を時間をかけて仕上げ、それを楽天市場の商品ページにもAmazonのブランドストアにも使い回すのが定石でした。360pのドラフトが数十円で回せるなら、冒頭2秒の見せ方を5パターン作って比較し、勝ったものだけを1080pや4Kに上げるという進め方が現実的になります。訴求文言をA/Bテストする感覚を、そのまま動画に持ち込めるということです。

相性が良いのは短尺が求められる面です。TikTok ShopやInstagramのリール、Shopifyの商品ページ上部に置く数秒のループ映像は、いずれも作り込みより本数と鮮度が効きます。開始フレームと終了フレームを指定できる機能は、商品カットから使用シーンへ滑らかにつなぐ、あるいは末尾を先頭に戻してシームレスなループを作る、といった実務的な使い方に直結します。

競合との比較も押さえておきたいところです。The Decoder が並べた価格表では、Veo 3.1 Lite の720pが0.05ドル、1080pが0.08ドルと、単価だけなら Omni 1.1 Flash より安く設定されています。つまり Omni 1.1 Flash を選ぶ理由は最安値ではなく、シーン拡張の一貫性や参照動画による統一感といった制御性にあります。用途が「安く大量に」なのか「シリーズとして揃える」なのかで、選ぶモデルは変わります。

明日からの初動として何をするか

まずは自社の売れ筋を1商品だけ選び、360pで冒頭3秒のパターンを複数生成して見比べるところから始めるのが現実的です。いきなり全商品に展開せず、勝ちパターンの型を1つ確定させてから横展開したほうが、結果的に早く回ります。

次に、生成物の権利と表示のルールを社内で決めておく必要があります。AI生成であることの表示方針、モデルや人物の描写を使うかどうか、既存の商品写真を参照動画として入力してよいかといった論点は、公開後に問題が出ると差し替えコストが大きくなります。景品表示法の観点では、動画内の演出が実際の商品性能を上回る印象を与えないかも確認しておきたい点です。

3つ目に、動画を置く面ごとの規約を確認してください。特に楽天市場の商品ページでは、動画内であっても外部サイトへの誘導につながる表示は認められていません。自社サイト用に作った動画をそのまま楽天市場へ流用すると規約違反になる場合があるため、面ごとに編集を分ける前提で制作フローを組むことをおすすめします。

まとめ

Gemini Omni 1.1 Flash の要点は、360pドラフトで費用が3分の1になり、シーン拡張が40秒まで伸び、4Kまで仕上げられるようになったことです。日本のEC事業者にとっての価値は高品質な1本ではなく、捨てる前提で試せる本数にあります。まずは1商品で冒頭数秒の比較検証から入り、勝ち筋が見えてから解像度と本数を上げていく順番が安全です。

参考文献

※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/

引用元: The Decoder


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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