MetaはInstagramユーザーを無断でAI画像化できる機能を停止しました。
2026年7月、Metaが画像生成モデル「Muse Image」に搭載した「@メンションだけで他人のAI画像を生成できる機能」が、公開からわずか数日で取り下げられました。同意不要・デフォルトONというオプトアウト方式が強い批判を浴びた形です。Instagramを販促チャネルとして運用する日本のEC事業者にとっても、公開している商品画像やモデル写真の扱いに直結するニュースです。本記事は、EC事業者のAI導入支援を19年・5,000社超に提供してきた株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。
何が起きたか:@メンションだけで他人のAI画像を生成できる仕様だった
結論から言うと、Metaは批判を受けて問題の機能を公開数日で停止しました。The Decoderの報道によると、この機能はMetaが2026年7月に発表した新しい画像生成モデルMuse Imageに含まれていたもので、公開設定のInstagramアカウントを@メンションするだけで、そのユーザーの姿をもとにしたAI画像を誰でも生成できる仕様でした。
問題視されたのは同意の取り方です。この機能はデフォルトで有効になっており、自分の写真をAI生成に使われたくないユーザーは、Instagramの設定から自分でオプトアウト(利用拒否)の操作をしなければなりませんでした。つまり「使われたくない人が手を挙げる」方式であり、本人が知らないうちに画像生成の素材にされ得る設計だったわけです。
批判の高まりを受け、Metaは「この機能は的を外していた(this feature missed the mark)」と認め、機能を停止しました。同社は「有用なクリエイティブツールを提供し、公開コンテンツがこのように参照されるかどうかを人々がコントロールできるようにしたかった」と説明しています(出典: The Decoder)。
The Decoderは、GDPRなどデータ保護規制が厳しい欧州では、この機能はいずれにせよ存続が難しかっただろうと指摘しています。また、着想元とみられるのはOpenAIがSoraアプリで提供していた「カメオ」機能です。ただしSoraのカメオは本人が許可した相手だけが利用できる同意ベースの設計であり、デフォルトONだったMuse Imageの仕様とは前提が異なりました。
日本のEC事業者にとっての3つの論点
このニュースをInstagram運用中のEC事業者が読むべき理由は3つあります。
第一に、ブランドアカウントの公開画像もAI生成の素材になり得るという点です。EC事業者のInstagramアカウントはほぼ例外なく公開設定で運用されており、商品画像・着用モデル・スタッフ紹介などの投稿が蓄積されています。今回の機能は個人ユーザーの肖像が主な論点でしたが、公開コンテンツが本人の関与しないところでAI生成の参照元になるという構図は、モデル起用契約や商品ビジュアルの権利管理にもそのまま当てはまります。
第二に、オプトアウト方式への備えです。プラットフォームが新しいAI機能を「デフォルトON」で実装するケースは今後も続くと見られます。楽天市場やAmazonのようなモールと違い、InstagramやTikTokなどSNS側の仕様変更は告知から適用までが速く、店舗側が気づかないまま自社コンテンツが新機能の対象になっていることが起こり得ます。Meta AI関連の設定項目を定期的に確認する運用をルーチンに入れておくべき段階に来ています。
第三に、実装と撤回のスピードです。今回は発表から停止までわずか数日でした。SNSキャンペーンをAI新機能に乗せて企画する場合、機能自体が突然消えるリスクを織り込み、特定機能に依存しない設計にしておく必要があります。
今後の展望と初動アクション
まずやるべきことは、自社InstagramアカウントのAI関連設定の棚卸しです。Metaは今後も生成AI機能をInstagramやFacebookに順次投入すると見られ、その際に公開コンテンツの参照可否がどの設定に紐づくかを把握しておけば、次の仕様変更にも短時間で対応できます。
次に、モデルやスタッフが写る投稿については、AI生成への利用可能性を想定した肖像権・契約面の確認をおすすめします。撮影時の同意書に「プラットフォームのAI機能による参照」を想定した文言があるかどうかは、今回のような事案が起きた際の対応スピードを左右します。
また、Metaが同意ベースの設計に改めたうえで類似機能を再投入する可能性は十分あります(この点はMetaの公式発表がなく、現時点では見通しです)。欧州の規制動向と合わせて、再登場時の仕様がオプトイン型になるかは注目ポイントです。
まとめ
MetaはInstagramユーザーを無断でAI画像化できるMuse Imageの機能を、批判を受けて公開数日で停止しました。EC事業者にとっての教訓は、公開コンテンツがAI生成の素材になり得る時代に入ったこと、そしてプラットフォームのAI機能はデフォルト設定の確認が必須になったことです。Instagram運用の設定棚卸しと肖像権まわりの契約確認を、この機会に進めておきましょう。
参考文献
- The Decoder: Meta kills Muse Image feature that let anyone generate AI photos of Instagram users without consent
- Meta Newsroom: Introducing Muse Image
- TechCrunch: Meta removes controversial AI feature on Instagram after backlash
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
引用元: The Decoder
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。