OpenAI研究の8〜9割がGPT-7以降へ|EC事業者が読む3つの論点

OpenAIは研究の80〜90%をGPT-7以降に投じていると応用研究責任者が発言。GPT-6 Sol・Luna値下げ直後の方針から、EC事業者のプロンプト投資・モデル切り替え・社内活用の3論点を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

OpenAIは研究の80〜90%をすでにGPT-7以降の次世代モデルに投じていると明かしました。

OpenAIで応用研究部門を率いるBoris Powerは、同社の研究リソースの8〜9割がGPT-7、GPT-8、さらにその先の世代に向けられていると語りました。ドイツのAI専門メディアThe Decoderが2026年9月27日に報じたもので、発言の出どころはFellows Forumの講演動画です。報道はGPT-6 SolとLunaの投入からわずか5日後で、「今のモデルは通過点」という姿勢がはっきり表れています。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、この発言がEC事業者のAI活用にどう響くかを3つの論点で解説します。

GPT-6 SolとLunaの発表を伝えるイメージ画像

OpenAI研究の8〜9割がGPT-7以降に向かう理由

結論から言うと、OpenAIは「世代内の改良は短期策、本当の価値は次の世代にある」と割り切っています。Powerによれば、GPT-5.1から5.2への改良のような同一世代内のアップデートは、特定分野に絞った学習データを追加することで実現しているものの、あくまで短期的な手当てという位置づけです。

大きな飛躍は新しい世代のモデルで起こり、そのときには多くのことが自動的にうまく動くようになるといいます。そのうえで会社側は、新世代でどこにまた短期的な改良を投じるべきかを学び直す必要がある、とも述べています。つまり研究の大半はGPT-7以降に向けられ、残りの1〜2割で現行世代の磨き込みを行う、という配分です。

直近の製品ラインを見ると、OpenAIは9月22日にGPT-6 SolとLunaを投入し、API価格をGPT-5.6比で50%引き下げました。Techzineによると、Solは入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、Lunaは入力0.10ドル、出力0.50ドルで、最上位のGPT-6 Astraは入力10ドル、出力50ドルです。うるチカラでもGPT-6 Sol・Luna半額化の論点を解説しましたが、今回の発言は、この値下げされた現行世代ですら研究の主戦場ではないことを示しています。

Powerが語った本当の課題はモデル性能ではなく「使い方」

Powerがもう一つ強調したのは、現在のAIアシスタント最大の課題はモデルの性能ではなくオンボーディング(使い始めの導入支援)だという点です。ChatGPTの利用者の多くは、AIで何ができるのかをそもそも知らないと指摘しています。

今後のモデルは、できることを利用者に示し、ニーズを先回りして予測する方向へ進むとしています。世代ごとの使い心地については、GPT-4はきわめて丁寧なプロンプトが必要、GPT-5は使いやすいがフィードバックのやり取りが疲れる、GPT-6は目標を渡せば動く有能な社員に近い、という趣旨で整理しました。

この整理は、うるチカラが以前取り上げたGPT-6 Astraはプロンプトを短く・ガードレールを減らすよう推奨されている件とも一致します。細かく指示を書き込むほど性能が出る時代から、ゴールと判断材料を渡して任せる時代へ、利用の前提が移りつつあります。

日本のEC事業者にとっての3つの論点

この発言は、楽天市場やAmazon、Shopifyで店舗を運営する事業者のAI投資判断に直接関わります。論点は次の3つです。

1つ目は、プロンプトの作り込みに投じる工数の見直しです。商品説明文や楽天市場の商品名、Amazonの箇条書きを生成するための長大なプロンプトは、世代が変わるたびに書き直しになる可能性があります。OpenAI自身が世代内の改良を「短期策」と呼んでいる以上、現行モデル専用の細かなチューニングに数十時間をかけるより、「何を達成したいか」「守るべき規約は何か」を明文化した指示書を整備するほうが、次世代にも持ち越せる資産になります。

2つ目は、モデル切り替えを前提にした業務設計です。GPT-6 Solのように同等性能で価格が半分になる更新が数か月単位で起きています。特定のモデル名に依存した社内マニュアルや自動化フローは、切り替えのたびに手直しが必要です。入力データと期待する出力の例をセットで管理しておけば、新モデルで同じテストを流して品質を比較するだけで乗り換えを判断できます。

3つ目は、社内の「使いこなし格差」の解消です。Powerが指摘するとおり、性能より先に「何ができるか知らない」ことがボトルネックになっています。EC運営の現場でも、ChatGPTを文章校正にしか使っていない担当者は珍しくありません。レビュー返信の下書き、問い合わせ分類、競合ページの比較、広告レポートの要約など、日々の業務でAIに任せられる作業を棚卸しし、チームで共有することが、モデル更新を待つより確実に成果につながります。

今後の注目点

GPT-7の公開時期について、OpenAIは今回の発言で具体的な日程を示していません(要確認)。一方で、研究の大半が次世代に向いているという事実は、現行のGPT-6系が今後も数か月単位で価格改定や派生モデルの追加を受けつつ、並行して次の大型更新が準備されていることを意味します。

EC事業者として注目したいのは、次世代モデルで「できることを先回りして示す」機能がどこまで実装されるかです。これが進めば、AIを使いこなせる人と使えない人の差が縮まり、少人数の店舗でもAI活用の恩恵を受けやすくなります。その日に備え、業務の目的と判断基準を言語化しておくことが、いまできる最も効率のよい準備です。

まとめ

OpenAIは研究の80〜90%をGPT-7以降に投じ、世代内の改良は短期策と位置づけています。さらに最大の課題は性能ではなく利用者が使い方を知らないことだと明言しました。EC事業者は、現行モデル専用のプロンプト作り込みよりも、目的と規約を明文化した指示書、モデル切り替えを前提にした業務設計、社内での活用事例の共有に力を注ぐのが得策です。

参考文献

※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/

引用元: The Decoder


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

お問い合わせ