Microsoftは2026年9月25日、Copilotに常時稼働型エージェント「Autopilot」と従量課金を導入すると発表しました。
Microsoft 365 Copilotのアプリが「Home」「Code」「Autopilot」の3区画に再編され、エージェント系の機能は1ユーザー月額の定額ライセンスから切り離されて、使った分だけ払う従量課金(Copilot Credits)に移ります。受注処理や仕入先とのやり取り、売上集計をExcelやTeamsで回しているEC事業者にとっては、便利になる話であると同時に、AIコストの管理方法が変わる話でもあります。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、Copilot Autopilotと従量課金の要点を3つの論点に整理して解説します。

Copilot Autopilotとは何か、何が発表されたのか
Copilot Autopilotとは、利用者がオフラインの間もクラウド上で動き続け、決められた役割と目標に沿って仕事を進めるMicrosoftの業務エージェントのことです。Microsoftの公式ブログでAI at Work担当CMOのJared Spataroが発表し、ドイツのAI専門メディアThe Decoderも詳しく報じています。
The Decoderによると、Autopilotはこれまで「Scout」と呼ばれていたエージェントの改称版で、1つのAutopilotごとに専用のクラウドコンピューター、作業スペース、ストレージ、ID(アカウント)が割り当てられます。TeamsやOutlook、ドキュメント上で@メンションして呼び出せ、Teamsチャンネルの監視、仕入先評価の取りまとめ、定型業務の繰り返しといった仕事を人の指示なしで進めるとされています。Autopilotは9月末に限定プレビュー(プライベートプレビュー)として提供が始まる予定です。
同時に発表された「Code」は、プログラミング経験がない人でも自然言語でアプリやダッシュボード、自動化フローを作れる機能で、GitHub Copilotと同じ基盤技術を使っています。「Home」はチャットと、複数手順の仕事を丸ごと任せる「Cowork」をまとめた入口で、Word・Excel・PowerPointもCopilotの中で直接作成・編集できるようになります。HomeとCodeは今後数週間で、先行利用プログラムのFrontier参加組織から順次展開されます(Microsoft Source EMEA)。

従量課金への移行がEC事業者に与える影響
結論から言うと、Copilotの料金体系は「日常のAIは定額、エージェントは従量」の2階建てになります。WindowsForumのまとめによると、チャットやWord・Excel・PowerPoint・Outlook・Teams内のCopilotは従来どおりユーザー単位のライセンスでカバーされ、Cowork、Code、Autopilot、そしてOpenAIのAstraやAnthropicのFableといったフロンティアモデルの利用は従量課金に回ります。CNBCの報道として、法人向けMicrosoft 365 Copilotは1ユーザー月額30ドルと紹介されていますが、日本円での価格や、1タスクあたりのクレジット単価は今回の発表では公開されていません(要確認)。
The Decoderは、Microsoftが定額プランでAI利用を実質的に補助する方針から距離を置きつつあると指摘しています。これはEC事業者にとって、AIの費用が「人数×月額」で読める固定費から、「どれだけ任せたか」で変わる変動費に一部移ることを意味します。たとえば、毎日の受注データの集計、楽天市場とAmazonの売上レポートの突き合わせ、仕入先への納期確認メールといった繰り返し業務をAutopilotに任せる場合、作業量が増える繁忙期(楽天スーパーSALEやAmazonプライムデー前後など)ほどクレジット消費も増えると考えるのが自然です。
一方で管理の仕組みも用意されます。報道によると、従量課金のサービスは初期設定でオフになっており、管理者はAgent 365から組織全体・グループ・個人単位で上限額を設定できます。どのモデル群を誰に使わせるかも管理者が制御できます。また、Coworkを使うにはテナントでAnthropicのモデルを有効化する必要があると報じられています。
EC事業者がいま取るべき3つの初動
1つ目は、Copilotで何を定額の範囲で済ませ、何を従量課金に出すかの線引きです。商品説明文の下書きや問い合わせ返信の叩き台はチャットで十分なことが多く、従量課金の対象になるのは複数手順を自動で回す仕事です。まずは社内のAI利用を「単発の相談」と「任せっきりの作業」に分けて棚卸しすると、予算の見通しが立てやすくなります。
2つ目は、Autopilotを「1人のスタッフ」として権限設計することです。Autopilotは自分のIDとメールアドレスを持ち、関係者に自分から連絡を取れる存在だと報じられています。仕入先や物流会社、モール運営とのやり取りを任せるなら、送信前の承認をどこで挟むか、どのフォルダやチャネルまで見せるかを事前に決めておく必要があります。送信承認の具体的な設定方法はまだ公開されていないため、プレビュー段階では社外への送信を任せない運用が無難です。
3つ目は、他のAIツールとの費用比較を定点観測することです。うるチカラでもAIタスク単価とキャッシュ活用によるコスト削減や、GPT-6 SolとLunaの値下げを取り上げてきましたが、AIの価格は月単位で動いています。Copilotを使うかどうかは、Microsoft 365をすでに業務基盤にしているか、ChatGPTやClaudeを単体で契約した方が安く済むかを、同じ業務で比べて判断するのが確実です。以前の記事で紹介したCopilotのブランドエージェント設定とあわせて、Microsoft系AIの全体像を押さえておくと判断がぶれません。
まとめ
Copilotは、チャット中心の定額アシスタントから、アプリを作りエージェントを常時動かし、使った分だけ課金するプラットフォームへと形を変えつつあります。EC事業者にとってのポイントは、繁忙期に増える繰り返し業務をAutopilotに任せられる可能性と、そのぶんAIコストが変動費化することの両面です。まずは小さな業務で試し、上限額と承認フローを決めたうえで広げていくのが現実的な進め方です。
参考文献
- Microsoft公式ブログ「Introducing the new Copilot with Home, Code and Autopilot」
- Microsoft Source EMEA「New Microsoft Copilot Brings Home, Code, and Autopilot Together」
- Microsoft Tech Community「Evolution of the Copilot pricing model」
- The Decoder「Microsoft gives Copilot another makeover, adding an Autopilot agent and usage-based billing」
- WindowsForum「Microsoft 365 Copilot Splits Agent Features Into Usage-Based Billing」
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
引用元: The Decoder
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。