Appleは2026年9月15日、Siri AIをiOS 27で提供開始しました。
Siri AIとは、Apple Intelligence上で動き、画面に映っている内容を理解して他社アプリまで操作できる新世代のSiriのことです。英語でのベータ提供が同日に始まり、日本語を含む5言語への対応は来月とされています。日本のEC事業者にとって重要なのは、音声アシスタントが賢くなったという話にとどまらず、Safariに再入荷や値下げを検知して通知する機能が入った点です。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

iOS 27で何が変わったか、事実関係を整理する
結論から書くと、今回の更新で変わったのは「OSがユーザーの画面と行動に直接介入できる範囲」です。Apple Newsroomの発表によると、Siri AIはiOS 27、iPadOS 27、macOS 27、watchOS 27、visionOS 27の5つのOSで同時に提供が始まりました。まずは英語のベータとして展開され、フランス語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語への対応は「来月」と案内されています。日本語環境で本格的に動き始めるのは2026年10月以降という想定になります。
技術的な土台も明示されました。Appleは今回のモデル群を「Googleおよび同社のGeminiモデルと共同で開発したApple Foundation Modelsの次世代版」と説明しており、処理は端末上とPrivate Cloud Computeの組み合わせで行われます。自社開発にこだわってきたAppleが、基盤モデルの部分で外部と組んだことを公式に認めた形です。
機能面では3つが目立ちます。1つ目は画面認識で、表示中のWebページやアプリの内容についてそのまま質問したり操作を依頼したりできます。2つ目はシステム全体のアプリ操作で、Appleは今後Microsoft Outlookでのメール作成やTripsyへの店舗追加といった他社アプリ連携を挙げています。3つ目は会話履歴を同期する専用のSiriアプリで、iPhoneで始めた会話をMacやApple Watchで続けられます。対応端末はiPhone 16シリーズ以降とiPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max、M1以降のiPadとMacなどに限られます。
なお、EUではiOS、iPadOS、watchOSでのSiri AIが当初提供されません。Appleは「ユーザーのプライバシーとセキュリティを守る道筋を探している」と説明しています。日本は制限対象に含まれておらず、来月の日本語対応がそのまま市場投入のタイミングになる見込みです。
日本のEC事業者が押さえるべき3つの論点
論点の1つ目は、Safariの通知機能が店舗の再入荷連絡を肩代わりし始めることです。Appleは新しいSafariについて、タブを話題ごとに自動整理する機能に加えて、商品の再入荷や値下げといったサイトの変化を検知して知らせる「Notify Me」を挙げています。これまで再入荷通知や値下げ告知は、店舗側がメールやアプリのプッシュで囲い込むための資産でした。OS標準で同じ体験が提供されると、ユーザーは店舗に会員登録しなくても在庫と価格を追えるようになります。楽天市場やAmazonの商品ページ、自社Shopifyサイトのいずれも対象になり得るため、通知を握っていること自体の優位は薄まります。

2つ目は、商品ページが「人間が読む前提」から「AIが読む前提」に移ることです。画面認識は、ユーザーが見ているページの内容をそのままモデルに渡します。価格が画像に焼き込まれていたり、在庫状況がJavaScriptでしか描画されなかったり、送料条件がバナー画像だけに書かれていたりすると、AI側は読み取りに失敗します。楽天市場の商品ページで多用される縦長の説明画像は、この観点では不利になります。テキストと構造化データで書かれた情報が、そのままAIの回答に載る情報になります。
3つ目は、自社アプリを持つ事業者にとってのApp Intents対応です。Siri AIは他社アプリへの操作を広げていく方向を示しており、「アプリを開いて探す」から「Siriに頼んで実行する」への移行が進めば、対応していないアプリは呼び出し対象から外れます。国内では通販アプリを持つ事業者も多く、再注文や配送状況確認といった定型操作が最初の対象になりそうです。現時点でAppleが日本の小売アプリ名を挙げてはいないため、具体的な対応範囲は要確認としておきます。
来月の日本語対応までに着手したい初動
最初にやるべきは、主要商品ページの機械可読性の点検です。価格、在庫ステータス、配送日数、送料条件、返品条件の5項目が、画像ではなくテキストとして存在するかを確認してください。Shopifyや自社ECであれば構造化データの整備まで踏み込めます。楽天市場やAmazonの場合はモール側の仕様に従う形になりますが、商品説明のテキスト欄に在庫や納期の記述を残しておくだけでも読み取り精度は変わります。
次に、再入荷通知と値下げ通知の位置づけを見直します。OS標準の通知と同じことをしているだけの配信は、来年には価値が下がります。会員限定の入荷順、セット提案、同梱可能な組み合わせといった、外部から観測できない情報に寄せるのが現実的です。楽天市場で運営している場合は、楽天R-Mailや商品ページから楽天外のURLへ誘導する設計は規約に反するため、楽天内で完結する導線として組み立ててください。
3つ目に、計測の準備です。アクセス解析でiOSからの流入比率とSafari経由の比率を今のうちに控えておくと、日本語対応後の変化を比較できます。10月以降にSafari経由のセッションや再訪パターンが動いたかどうかが、影響度を測る最初の材料になります。
まとめ
Siri AIの日本語対応は来月であり、日本のEC事業者には約1か月の準備期間があります。対応の要点は、商品情報をテキストと構造化データで機械に読ませること、通知施策を店舗独自の情報に寄せること、iOS流入の現状値を控えておくことの3つです。関連する動きとして、iOS 27パブリックベータでのSiri AI公開とWWDC 2026での発表内容もあわせて確認してください。
参考文献
- Apple Newsroom「Siri AI, a profoundly more capable and personal assistant, is here」
- Apple Newsroom「Major updates for Apple’s software platforms are now available」
- Apple Newsroom「Apple introduces Siri AI」(2026年6月・WWDC発表時)
- Trending Topics「Siri AI Wants to Replace ChatGPT on the iPhone」
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引用元: Apple Newsroom
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。