SnapchatがAI生成動画を報酬対象外に|EC集客3つの論点

SnapchatがAI生成動画をSpotlightの推薦と報酬の対象外にしました。22日間で5社が同方向に動いた背景と、日本のEC事業者がSNS集客で見直すべき3つの論点を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

Snapchatが完全AI生成動画を推薦・報酬の対象外にしました。2026年7月31日、同社は短尺動画フィード「Spotlight」の推薦アルゴリズムを調整し、実在の人が作った動画だけを推薦対象とすると発表しています。注目すべきは、AI生成であることを開示していても優遇されない点です。プラットフォーム側が「AI表示さえすればよい」段階を越え、推薦と収益配分そのものから外し始めた動きであり、SNSを集客チャネルにしているEC事業者にとっては運用方針の見直しが必要になる知らせです。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

何が起きたか:AI生成動画がSpotlightの推薦と報酬から外れた

結論から言えば、変わったのは「削除するかどうか」ではなく「推してもらえるかどうか」です。TechCrunchによると、Snapchatは推薦システムを調整し、実在の人物が制作した動画のみをSpotlightの推薦対象にするとしています。同社は公式発表で、Spotlightを「実在の人による本物の創造性を見つけられる場所であり続けさせたい」と説明しました。

重要なのは線引きの位置です。Snapchatが対象にしたのは、外部で丸ごと生成された完全AI生成動画であって、AIの活用そのものではありません。Snapchat内の生成ツールを使って編集や加工を行うことは引き続き認められています。つまり「AIで作った動画」ではなく「人が関与していない動画」が外されたと理解するのが正確です。

さらに踏み込んでいるのが、透明性ラベルの扱いです。AI生成であることを開示しても人が作ったコンテンツより優先されない、という方針が示されました。これまで各社が整備してきた「AI利用を表示すれば流通させる」という枠組みとは、明確に方向が違います。Snapchatは2026年4月にもAI生成コンテンツの露出を減らす方針を示しており、今回はその延長線上で報酬の適格性にまで手を入れた形です。

日本のEC事業者にとっての論点:22日間で5社が同じ方向に動いた

日本のEC事業者にとっての本質は、Snapchat単体の話ではありません。ここが最大の論点です。日本では Snapchat は主要な集客チャネルとは言いがたく、この発表単体で日本の店舗売上が動くことはまずないでしょう。ただし、2026年7月の3週間あまりで同じ方向の判断が5社から出ています。7月10日にMetaがInstagramのAI画像加工機能を撤回し、7月20日にYouTubeが「非本質的なコンテンツ」を収益化対象外とする方針を明確化、7月22日にSubstackがAI執筆を見分けるツールを導入、7月30日にLinkedInがAIらしい投稿を通報するボタンを追加、そして7月31日のSnapchatです。いずれもTechCrunchが報じています。

この流れが意味するのは、SNSでの露出コストの構造変化です。生成AIで動画やバナーを量産し、投稿本数でリーチを稼ぐという運用は、この2年で多くのEC事業者が取り入れてきました。楽天市場やAmazonの店舗が、InstagramのリールやYouTubeショートに商品紹介動画を毎日投げ込む形です。ところが推薦アルゴリズム側が「人の関与」を評価軸に入れ始めると、本数を増やしても伸びない、あるいは収益化の適格性を失う領域が生まれます。同じ工数をかけても、届く量が変わってくるということです。

もう一点、見落としやすい論点があります。それは自社ECの商品ページやブログにも同じ論理が及びうることです。検索エンジンや生成AI検索が参照するのは、最終的に「そこにしかない情報」です。撮影した実物写真、実際の同梱サンプル、スタッフが使った所感といった一次情報は、AIには生成できません。SNSで起きている選別は、遠からずコンテンツ全般の評価軸として拡がる可能性があります。ただし、この点はまだプラットフォーム各社が明言した事実ではないため、現時点では見立てとして扱ってください。

今後の展望と初動アクション:3つの見直し

まずやるべきは、投稿の棚卸しです。直近3カ月に投稿したSNS動画のうち、撮影・実写・人の声・人の手が一切入っていない完全生成の割合を数えてください。ここが半分を超えている店舗は、露出が落ちたときの影響が大きくなります。数字を把握していないまま方針だけ変えても、効果測定ができません。

次に、AIの使いどころを「生成」から「支援」に寄せることです。台本づくり、構成案の複数出し、字幕とテロップの整形、サムネイル候補の量産、投稿後のコメント分類。これらはAIが得意で、かつプラットフォームが問題視していない領域です。撮影と語りは人が担い、その前後をAIで削るという役割分担にすれば、工数は落としたまま「人の関与」を残せます。

三つ目は、チャネルごとに規約を読み直すことです。今回の各社の動きは、削除ではなく推薦と収益化の条件変更として実装されています。つまり、警告が来ないまま静かに伸びなくなるタイプの変更です。YouTubeの収益化ポリシー、Instagramの推薦に関するガイドライン、TikTokの合成コンテンツの扱いを、四半期に一度で構わないので確認する運用にしておくと安全です。なお楽天市場の店舗ページやR-Mailから外部SNSへ誘導する設計は楽天の規約上できませんので、SNS施策は自社ECと他モールの導線で組み立ててください。

まとめ

Snapchatの今回の判断は、AI生成コンテンツを「表示すれば流通させる」段階から「人の関与がなければ推さない」段階へ進めたものです。日本のEC事業者にとってSnapchat自体の影響は限定的ですが、22日間で5社が同じ方向に動いた事実は無視できません。AIを投稿量の武器として使うのではなく、人が前に出る部分を残したまま制作工程を短くする道具として使い直す。この組み替えが、これからのSNS集客の分かれ目になります。

参考文献

※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/

引用元: TechCrunch


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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