特商法表記チェックスキル|最終確認画面6項目の漏れを10分で検出

特商法表記チェックのAIスキルで、特定商取引法に基づく表記と最終確認画面6項目の記載漏れを10分で検出する手順を解説します。消費者庁の一次情報にもとづく必須項目、楽天・Amazon・Shopifyなどモール別の編集欄、プロンプト例3本つき。

投稿日: カテゴリー EC×AI活用

特商法表記チェックスキルとは、記載漏れを機械的に洗い出すスキルです。

「特定商取引法に基づく表記」のページは、店舗を開いた最初の週に作ってそのまま数年放置されている、というのがよくある状態です。ところが2022年6月1日に施行された改正特定商取引法(令和3年改正)で、カートの注文確定ボタン直前に出る最終確認画面の表示が新たに義務化されました。この義務に違反すると、行政処分を経ずに直接刑罰の対象になります。特商法ページを完備していても、最終確認画面が抜けていれば別の違反として扱われるということです。特商法表記チェックのスキルは、この2つを別々の観点で点検し、漏れている項目と修正文案を出します。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

はじめにお断りしておくと、本記事は法的助言ではなく、記載漏れの機械的なチェックを社内で回すための実務手順を扱います。最終的な判断は弁護士や消費者庁、各モールの審査窓口に確認してください。

特商法表記チェックスキルでできること

このスキルがやるのは、網羅性の検査と修正文案の生成の2つです。人が目視で13項目や6項目を数えると、毎回どこかを飛ばします。項目リストを固定して機械的に突き合わせれば、飛ばしようがなくなるという発想です。

入力として渡すのは3種類です。1つ目が特商法ページのURLまたは本文テキスト、2つ目が最終確認画面(注文確定ボタン直前のページ)のスクリーンショットかHTML、3つ目が定期購入商品を扱っている場合の定期条件の記載箇所です。出力は決まった書式で返ってきます。検査対象の整理、特商法ページの項目別チェック、最終確認画面6項目のチェック、定期購入の追加要件、即修正すべき重大リスク、修正版のテキスト案、最後に確認チェックリスト、という並びです。

スキル自体はALSEL Agent Skillsから配布されており、Claude Codeなどのスキル対応環境で読み込んで使います。楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、Shopify、自社EC、BASE、makeshopなど、プラットフォームを問わず同じ手順が適用できます。

なお、このスキルは特商法の観点に絞ったものです。効能効果の表現や二重価格表示のリスクは扱いません。そちらはうるチカラの薬機法・景表法の表現チェックスキル解説で扱っている別スキルの担当範囲になります。

特商法ページに必要な表示事項は消費者庁の列挙で15項目

結論として、消費者庁の特定商取引法ガイド「通信販売」が法第11条の広告表示事項として挙げているのは15項目です。条件付きで発生する項目まで含めて列挙されているため、一般に言われる「13項目」より数が多くなります。

具体的には、販売価格(送料についても表示が必要)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの期間に関する定めがあるときはその旨と内容、契約の申込みの撤回または解除に関する事項(返品特約がある場合はその内容を含む)、事業者の氏名・住所・電話番号、法人がインターネット上で広告する場合の代表者または通信販売の業務の責任者の氏名、外国法人または外国に住所を有する個人で国内に事務所等がある場合のその所在場所と電話番号、販売価格や送料以外に購入者が負担すべき金銭があるときの内容と額、引き渡された商品が種類または品質について契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときはその内容、ソフトウェアに関する取引の場合の動作環境、契約を2回以上継続して締結する必要があるときはその旨と販売条件、販売数量の制限など特別な販売条件があるときはその内容、請求により別途送るカタログ等が有料のときの金額、電子メールで商業広告を送る場合の事業者の電子メールアドレス、以上です。

スキル側は実務で回しやすいように13項目へ整理していますが、これは粒度のまとめ方の違いです。実際に自社ページを点検するときは、消費者庁の列挙を正として突き合わせてください。

現場でとくに落ちやすい項目を4つ挙げておきます。1つ目は送料です。消費者庁の通信販売広告についての解説は「送料実費」という表記を不適切な例として名指ししており、金額での表示を求めています。全国一律なら金額1つ、地域別なら送料の上限と下限、あるいは平均送料や数例の表示が認められる、と書かれています。2つ目は返品特約です。返品特約を表示していない場合、消費者は商品の引渡しを受けた日から8日以内であれば、自己負担の送料で返品できることになります(法第15条の3)。「弊社規定により返品不可」とだけ書くのは、初期不良まで断っていると読めるため危険です。3つ目は解約用の電話番号で、同じ解説には、表示した番号に一切つながらない場合や折り返し連絡が来ない場合は表示義務違反のおそれがある、と明記されています。4つ目は事業者名で、個人事業主が屋号だけを出すことや、現に活動していない私書箱の住所だけを出すことは認められないとされています。

最終確認画面6項目は特商法ページとは別の義務です

最終確認画面の6項目は、特商法ページとはまったく別の義務です。理由は、法第12条の6第1項の表示義務違反が、法第70条第2号に罰則の対象として直接列挙されているからです。消費者庁の特定商取引に関する法律の解説(第7章 罰則)を読むと、法第70条は3年以下の懲役または300万円以下の罰金で、両方を併科することもあると書かれています。さらに法第74条第1項第2号の両罰規定により、法人には1億円以下の罰金刑が科されます。改善命令や指示を経てから、という段取りがない点が、他の表示義務との決定的な違いです。

表示すべき6項目は、分量、販売価格(送料についても表示が必要)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの期間に関する定めがあるときはその旨と内容、契約の申込みの撤回または解除に関する事項(返品特約がある場合はその内容を含む)です。書面で申し込む様式を用意している場合はその申込書面が、インターネット通販の場合は最終確認画面が対象になります。

罰則に加えて、消費者側にも手当てがあります。法第15条の4により、表示義務に違反して不実の表示があった場合や、表示されるべき事項が表示されず消費者がそれを存在しないと誤認した場合、消費者は申込みの意思表示を取り消せます。売上として計上した後にまとめて取り消される可能性がある、と考えると経営インパクトが見えやすくなります。

定期購入を扱っている店舗は、ここが最大の論点になります。1回あたりの分量と配送頻度、継続回数または期間、各回の価格、全期間を合計した支払総額、解約の方法と期限、最低継続回数を満たさずに解約する場合の負担、この6点を注文確定ボタンと同じ画面で読める状態にしてください。「初回980円」を大きく出して、2回目以降の価格と最低継続回数を小さい注釈に押し込む設計は、最終確認画面の表示義務と取消権の両方に触れる典型パターンです。スキルはこの手の「小さく書いてある」構造を検出し、読みやすい並びに組み替えた文案を返します。

モール別に事業者が触れる欄はここが違う

法定の表示事項は共通でも、事業者が実際に編集する画面はモールごとに違います。以下は運用上の目安で、管理画面のメニュー名は改称されることが多いため、最新の名称と場所は各社の公式ヘルプで要確認としてください。

楽天市場は、RMSの店舗情報にあたる会社概要や店舗運営者情報の欄が編集対象になります(2026年8月時点の正確なメニュー名は要確認)。ここで気をつけたいのは、RMS側に登録した内容と、店舗ページ上に自作した会社概要ページの内容がずれる事故です。住所や電話番号の変更時に片方だけ直して放置すると、同一事業者なのに表記が2種類ある状態になります。定期購入を楽天の機能で組んでいる場合は楽天側の確認画面がベースになりますが、独自LPから申し込ませている場合は自前で6項目を表示する必要があります。

Amazonは、セラーセントラルの販売事業者情報の登録内容が、購入者から見える特定商取引法に関する表示になります(画面名は要確認)。FBAに出荷を任せていても、特商法上の販売事業者は出品者本人です。ここを「Amazonが代行しているから自社は関係ない」と誤解している店舗が一定数あります。

Yahoo!ショッピングは、ストアクリエイターProの会社概要やお買い物ガイドにあたる欄が該当します(画面名は要確認)。商品ページからその情報へ到達できる動線が確保されているかもあわせて見てください。配送時期の表記精度が問われる場面が多いモールでもあります。送料条件そのものの整合は、うるチカラのYahoo!ショッピングの送料ポリシーチェックスキル解説で扱っているスキルの守備範囲です。

Shopifyや自社ECは、特商法表記のテンプレートが標準で用意されているわけではないため、店舗側で作る前提になります。管理画面の設定にあるポリシーからカスタムポリシーとして「特定商取引法に基づく表記」を作り、フッターメニューに追加する運用が一般的です(メニュー構成は要確認)。決済プロバイダの手数料を購入者が負担する設計にしている場合は、それも代金以外の負担として明示が必要です。

全モール共通で有効なのは、特商法表記のマスターを1ファイル作り、そこから各チャネルへ流す運用です。価格改定や住所変更のたびにモールごとへ手作業で直していると、必ずどこかが取り残されます。

特商法表記チェックの実際の使い方とプロンプト例3本

使い方は、スキルを読み込ませた状態で「特商法チェックして」「最終確認画面の必須項目を見て」といった言い回しで呼び出し、点検対象を貼り付けるだけです。特商法ページのテキストと最終確認画面のスクリーンショットが揃っていれば、1本あたり10分程度で結果が返ってきます。ここでは、スキルを導入していない環境でも同じ観点を再現できるよう、ChatGPT・Claude・Geminiにそのまま貼れるプロンプトを3本紹介します。

1本目は、特商法ページの網羅性を検査するプロンプトです。

あなたは日本のEC事業者の社内法務チェック担当です。
以下は当社ECサイトの「特定商取引法に基づく表記」ページの全文です。

【ページ全文】
(ここに貼り付け)

次の観点で点検し、項目ごとに「記載あり/記載なし/記載はあるが不十分」の3段階で判定してください。
判定の根拠となる原文の該当箇所を必ず引用してください。

1. 販売価格(送料を含む)
2. 代金の支払時期と方法
3. 商品の引渡時期
4. 申込みの期間に関する定めがあるときはその旨と内容
5. 申込みの撤回または解除に関する事項(返品特約を含む)
6. 事業者の氏名・住所・電話番号
7. 法人がネット広告する場合の代表者または業務責任者の氏名
8. 外国法人等で国内に事務所等がある場合の所在場所と電話番号
9. 販売価格・送料以外に購入者が負担すべき金銭の内容と額
10. 契約不適合の場合の販売業者の責任についての定めがあるときはその内容
11. ソフトウェア取引の場合の動作環境
12. 2回以上の継続契約が必要なときはその旨と販売条件
13. 販売数量の制限など特別な販売条件
14. 請求により送るカタログ等が有料のときの金額
15. 電子メール広告を送る場合の事業者の電子メールアドレス

最後に、不足していた項目だけを埋めた追記用テキストを出力してください。
断定的な適法/違法の結論は書かず、リスクの高さで示してください。

2本目は、最終確認画面の6項目を検査するプロンプトです。スクリーンショットを添付して使います。

添付は当社ECサイトの注文確定ボタン直前の画面です。
特定商取引法12条の6が定める最終確認画面の表示事項について、次の6項目を点検してください。

1. 分量(個数・容量・回数・期間)
2. 販売価格および支払総額(送料を含む)
3. 代金の支払時期と方法
4. 商品の引渡時期
5. 申込みの期間に関する定めがあるときはその旨と内容
6. 申込みの撤回または解除に関する事項(返品特約・解約方法・解約期限を含む)

各項目について、次の3点を答えてください。
・表示されているか
・注文確定ボタンと同じ画面内に表示されているか(別ページ・ポップアップ・リンク先は「同一画面ではない」と判定)
・本文と同等以上の文字サイズで読めるか

同一画面に無い項目、注釈でのみ触れている項目を、優先度の高い順に並べて指摘してください。

3本目は、定期購入に特化したプロンプトです。

以下は当社の定期購入商品の販売条件です。

【商品名】
【初回価格・2回目以降の価格】
【最低継続回数または期間】
【配送頻度】
【解約方法と解約期限】
【最低継続回数未満で解約した場合の負担】

この条件をもとに、最終確認画面にそのまま載せられる表示文を作ってください。
条件は次の通りです。

・支払総額を必ず計算して明示する
・「お試し」「初回限定」という表現を使う場合、それが定期購入の初回であることを同じ行で明示する
・解約方法と解約期限を、購入導線と同じ読みやすさで書く
・同意チェックボックスの文言案も出す

あわせて、現在の条件のうち消費者が誤認しやすい箇所を指摘してください。

3本とも、事実確認できない箇所は断定せず、最終判断は専門家に確認する前提で使ってください。

導入による業務インパクトと限界

効果が最も大きいのは、点検を「やろうと思っているが着手していない」状態から抜け出せることです。きちんと見ようとすると法令の条文を開いて項目を並べるところから始まるため、着手のハードルが高くなります。項目リストが固定されていれば、貼り付けて回すだけになります。5店舗を年2回点検する場合、1店舗あたり半日かかっていた作業が1時間程度に縮むなら、年間で20時間前後の削減になる計算です。削減幅は運用体制によって変わるので、自社で1本試してから見積もってください。

もう1つの効果は、事故が起きる前に潰せることです。定期購入の総額表示や解約導線は、行政の目に触れてから直すと、対応コストが桁違いになります。広告出稿まで含めて見るなら、ランディングページ側の事業者情報や返品ポリシーの動線も同時に点検しておくと安全です。この領域はうるチカラのGoogle Merchant Centerのポリシー診断スキル解説で扱っているスキルが近い役割を担います。

限界も正直に書いておきます。このスキルは記載の有無と構造を検査するものであり、その記載内容が法的に適法かを判定するものではありません。特商法は改正頻度が高く、モール側の運用ルールも随時変わります。出力された指摘は社内の一次スクリーニングとして扱い、消費者庁の公式情報と各モールの最新ヘルプで確認してください。スキル自体も「特商法に違反していない」と断定せず、該当箇所のリスクとして表現する設計になっています。

まとめ

特商法表記チェックのスキルが向いているのは、定期購入やサブスクを扱っている店舗、複数モールに同じ商品を出していて表記がずれている店舗、そして特商法ページを数年間更新していない店舗です。一歩目としておすすめなのは、自社の特商法ページ全文をコピーして1本目のプロンプトに貼り、15項目のうちいくつが「記載なし」で返ってくるかを見ることです。ここで3つ以上落ちるようなら、最終確認画面も同時に点検する価値があります。

参考文献

※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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