Gemini Robotics 2発表|3モデル公開と物流3つの論点

Google DeepMindがGemini Robotics 2を公開。人型ロボットの全身制御と3モデル同時発表の要点、作業完了判定91.3%の中身、日本のEC・物流にとっての3つの論点を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

DeepMindが「Gemini Robotics 2」を公開しました。

Gemini Robotics 2とは、Google DeepMindが2026年7月30日に公開した、ロボットの全身動作を制御する視覚言語行動(VLA)モデルのことです。卓上サイズのアームから人型ロボットまでを同じモデルで動かせる点が最大の変化で、上位の推論モデル「Gemini Robotics ER 2」、端末内で動く軽量版「Gemini Robotics On-Device 2」と合わせて3モデルが同時発表されました。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

Gemini Robotics 2の発表を伝えるGoogle DeepMindのカバー画像

Gemini Robotics 2で何が起きたか|3モデルの役割分担

今回の発表の要点は、ロボットの知能を「考える層」と「動かす層」に分けて3モデルで提供したことです。The Decoderは、Gemini Robotics 2を新世代のロボットに向けた知能レイヤーと位置づけて報じています。

動かす層にあたるのがGemini Robotics 2です。映像と言語の入力をモーターの制御に変換するVLAモデルで、Google DeepMindの発表によれば、人型ロボットを足先から指先まで一体で制御できるようになりました。考える層がGemini Robotics ER 2で、人と会話し、周囲を観察し、数分にわたる複数ステップの手順を計画したうえで、実際の動作をVLAに引き渡します。3つ目のGemini Robotics On-Device 2は端末内で完結する軽量版で、新しい機体への適応が数時間、学習例は200件未満で済むと説明されています。

実機のデモも公開されました。Apptronikの人型ロボットApollo 2に「じょうろを下段の緑のかごに入れて」と指示すると、テーブルまで歩いてじょうろを取り、棚の前まで移動して所定の位置に置きます。22自由度の5本指ハンドで結び目を作ったりジッパー袋を閉じたりする作業、Franka Duoの2本爪グリッパーで隙間なく詰める作業も示されました。Boston Dynamicsの四足ロボットSpotと組み合わせ、話しかけると物を取ってくるデモも公開されています。

考える層が動かす層を呼び出す「ツール連携」の性能も測定されました。実機のVLA、シミュレーター上のVLA、人が遠隔操作する場合という3つの制御方式のいずれでも、ER 2は前世代のER 1.6を上回ったと報告されています。

Gemini Robotics ER 2とER 1.6のツール連携性能を3つの制御方式で比較したグラフ

なぜ重要か|作業完了を91.3%で見極める「時間の知能」

今回いちばん実務に近い進歩は、器用さよりも「作業がどこまで進んだか」を測れるようになった点です。Googleの技術解説によると、Gemini Robotics ER 2は映像の各フレームを進捗0〜20%から80〜100%までの5段階に分類する課題で57.4%の精度を記録しました。さらに、決定的な瞬間のフレームを特定する課題では91.3%の精度と平均0.96秒の誤差を達成し、はるかに大規模なモデル群と競り合いながら、計算コストは一部で実行速度は4倍だと説明されています。

これは、電球を締め終わったか、ゴミ袋を縛り終わったかといった判定を、次の工程に移る前に自分で下せるという意味です。従来のロボットは途中で失敗すると手順全体をやり直すしかありませんでしたが、失敗した工程だけを再試行できるようになります。あわせて複数ロボットの協調も導入され、屋内に強い車輪型と不整地に強い人型のように、得意分野の違う機体が意味理解を共有して作業を受け渡せるようになりました。安全面ではASIMOV-Agenticという新しいベンチマークが設けられ、人が近づくと停止し、離れたら自律的に再開する挙動や、VLAからの危険な指示を拒否できるかが評価されています。

日本のEC・物流にとっての3つの論点

日本のEC事業者にとって、今日の楽天やAmazonの管理画面が変わる話ではありません。ただし論点は3つあります。

1つ目は作業完了の判定です。ピッキング、検品、梱包はこれまで人の目で「終わったか」を確認してきた工程で、進捗分類と瞬間特定はまさにこの部分に重なります。ただし57.4%という精度は実運用に耐える水準とは言い難く、現時点では研究段階の指標として見るのが妥当です。

2つ目は機体を選ばない設計です。On-Device 2が200件未満の事例と数時間で新しい機体に適応するなら、特定ベンダーのロボットに固定されにくくなります。3つ目はオフライン動作で、電波の届きにくい倉庫内でもクラウド接続なしに動かせる意味は小さくありません。

日本の物流の逼迫については、国土交通省の検討会資料が、当初想定された2030年度のトラック輸送の需給ギャップ約34%のうち約14%は2024年問題への官民の取り組みで概ね克服できた一方、なお平均約7%から最大約25%の輸送力不足が生じうると試算しています。ただしこれはトラック輸送の数字であり、庫内作業の人手不足を直接示すものではない点は分けて考える必要があります。なお、日本国内でGemini Robotics 2を採用した物流事業者は本稿執筆時点で確認できていません(要確認)。

今後の動き

当面の焦点は提供範囲です。Gemini Robotics ER 2はすでにGoogle AI Studioなどから一般に触れる状態にあり、VLA本体とOn-Device 2はアーリーアクセスの申込制にとどまっています。ロボット本体を持たない事業者でも、庫内の作業映像をER 2に読ませて進捗を答えさせる検証であれば今日から試せます。

DeepMind自身も課題を明記しています。多指ハンドによる精密作業は依然として難しく、動作速度にも改善余地があるとしています。安全についてはモデルカードと技術レポートが公開されており、協働ロボットの安全規格とどう接続されるかが次の見どころです。

まとめ

Gemini Robotics 2は、人型から卓上アームまでを1つのモデルで扱い、作業の進捗と完了を映像から判定する能力を前進させました。倉庫の自動化がすぐ塗り替わるわけではありませんが、EC事業者は「完了判定を機械が下せるか」という観点で自社の庫内工程を棚卸ししておくと、数年後の投資判断が速くなります。

参考文献

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引用元: The Decoder


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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