Pacsun18年ぶり出店攻勢|Z世代共創戦略3つの論点

Pacsunが18年ぶりに出店攻勢へ転換。Z世代を共創パートナーに変えたブランド戦略から、日本のEC事業者が押さえる共創・ドロップ販売・TikTok Shopの3つの論点と初動を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

米アパレルのPacsunが、18年ぶりに閉店数より出店数が上回る局面に入りました。立て直しの軸になったのは、Z世代を「顧客」ではなく「共創パートナー」として巻き込むブランド戦略です。Modern Retailが報じたCEOブリー・オルソンのインタビューから、日本のEC事業者がZ世代攻略で押さえるべき3つの論点を整理します。単なる海外事例ではなく、楽天市場・Shopify・TikTok Shopの現場で明日から動かせる初動まで落とし込みます。

何が起きたか:共創でブランドが復活した

Pacsunは長く店舗の閉鎖が続いていましたが、今回はじめて出店が閉店を上回る転換点を迎えました。きっかけは、Z世代の声を商品企画や売り場づくりに直接取り込む「共創(Co-Creation)」への舵切りです。

具体的には3つの仕組みが軸になっています。1つ目は、若年層の価値観や購買行動を毎年まとめる年次レポート「Youth Report」。2つ目は、実際のZ世代消費者を意思決定に関与させる「Youth Advisory Council(若者諮問委員会)」。3つ目は、ファッション・音楽・スポーツ・アートという4つの文化の柱を軸にしたブランド表現です。CEOのオルソンは、この一連の取り組みを書籍「Co-Created: The Cultural Strategy That Redefined Pacsun」にまとめています。

さらにPacsunは早い段階でTikTok Shopに参入し、新しいモバイルアプリを商品ドロップ(数量限定の発売)とロイヤルティ特典のハブとして再設計しました。販路を増やすのではなく、ファンが集まる場所をブランド自身が用意したかたちです。

日本のEC事業者にとっての論点

第1に、「リサーチして終わり」と「共創」は別物だという点です。日本でもアンケートやレビュー分析は一般的ですが、Pacsunの強みは消費者を意思決定の場に座らせたことにあります。楽天市場やShopifyでも、レビュー返信やSNSコメントを拾うだけでなく、商品企画の前段階で熱量の高い顧客に意見を求める設計に踏み込めるかが差になります。先日紹介したファンコミュニティ型の商品開発とも通じる考え方です。

第2に、ドロップ型の販売とアプリ回遊の相性です。数量限定発売は希少性で初動の売上を作りやすく、ドロップ型で新規客を獲得したHarry’sの事例でも有効性が示されています。日本ではShopifyや自社アプリでの抽選販売、楽天市場のスーパーDEALやお買い物マラソンと絡めた数量限定企画が相当します。アプリにロイヤルティ特典を集約すれば、来訪のたびにブランドとの接点が積み上がります。

第3に、TikTok Shopの位置づけです。米国では中小事業者の売上が大きく伸びており、TikTok Shopの中小売上が前年比66%増という数字も出ています。日本でもTikTok Shopは購買接点として無視できない段階に入りつつあり、Z世代を狙うブランドほど早めの検証価値があります。

今後の展望と初動アクション

まず取りかかりたいのは、既存顧客のうち熱量の高い層を可視化することです。購入回数や口コミ投稿、SNSでの言及をもとに、共創に巻き込める数十人規模のコア顧客リストを作るところから始めます。

次に、その層に対して商品企画やパッケージ案を発売前に見せ、フィードバックを受け取る小さな仕組みを回します。Youth Advisory Councilの簡易版を、自社の顧客で試すイメージです。

3つ目に、ドロップ型の数量限定企画を月1回など定期で設計し、自社アプリやLINE、メールで告知する流れを作ります。ここで重要なのは、楽天市場の店舗から会員へ外部URLを送る運用は規約違反になるため、楽天施策は楽天内(スーパーDEALや楽天市場アプリ)で完結させ、外部誘導は自社EC・Shopify側で行うという切り分けです。

最後に、Z世代の価値観を継続観察する自社版「Youth Report」を年1回でも作ると、企画の言語化と社内合意が一気に進みます。

まとめ

Pacsunの復活は、Z世代を観察対象から共創パートナーへ引き上げ、TikTok Shopとアプリを文化の受け皿にしたことの結果です。日本のEC事業者も、コア顧客を企画に巻き込む共創、ドロップ型の限定企画、TikTok Shopの検証という3点から、自社の規模で再現できます。先行するDTCブランドの失速事例と合わせて読むと、続くブランドと沈むブランドの分岐点が見えてきます。

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引用元: Modern Retail


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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