TikTok Shopの米国における中小事業者の売上が、2025年に前年比66%増えたことが明らかになりました。Modern Retailが報じたもので、年商1500万ドル未満の小規模ブランドが、動画とライブ配信を通じて大手と互角に新規顧客を獲得しています。TikTok Shopは日本でも本格展開が進んでおり、楽天市場やAmazonに依存してきた日本のEC事業者にとっても無視できない販路になりつつあります。本記事では、何が起きているのかと、日本のEC事業者が今すぐ検討すべき3つの論点を整理します。
TikTok Shopで何が起きているか
TikTok Shopの発表によると、米国で年商1500万ドル未満の中小事業者の売上は2025年に前年比66%増加しました。現在、米国だけで21万5000を超える中小事業者がTikTok Shopで販売しており、これは前年から25%増えています。
消費者側の数字も特徴的です。TikTok Shopで新しい商品を探すと答えた消費者は67%にのぼり、Amazonの57%を上回りました。過去1年でTikTok Shop上で新しいブランドを発見した人のうち、72%が年商1500万ドル未満の小規模ブランドだったとされ、そのうち58%が実際に購入に至っています。TikTok Shop担当のPatrick Nommensenは「動画やライブ配信、コミュニティ要素を通じて、規模を問わずどんなブランドもターゲット層とつながれる」と述べています。
調査会社Charm.ioの推計では、TikTok Shopの2025年の米国売上は140億ドルを超えました。カテゴリ別では美容・パーソナルケアが約19%、レディースウェアが約12.5%を占めています。
日本のEC事業者にとっての論点
ここで重要なのは、これが「検索して買う」モールとは異なる購買行動だという点です。楽天市場やAmazonは、買いたい商品が決まっている顧客が検索して比較する場です。一方TikTok Shopは、動画を見ているうちに知らなかったブランドに出会い、その場で買う「発見型」の購買が中心になります。米国データで小規模ブランドの発見が大手を上回ったのは、フォロワー数や広告予算より、コンテンツの面白さと相性が売上を左右するためです。
日本のEC事業者にとっての論点は3つあります。第一に、楽天やAmazonで価格競争に消耗している中小事業者ほど、TikTok Shopの発見型購買は反転の機会になりうること。第二に、商品撮影や広告運用より、短尺動画とライブ配信を継続できる体制づくりが成否を分けること。第三に、TikTokで認知を広げて楽天やAmazon、自社ECで刈り取るという、チャネルをまたいだ導線設計が現実的な選択肢になることです。
なお楽天市場の店舗運営では、楽天R-Mailや商品ページから楽天外への誘導は規約で禁止されています。TikTokから楽天商品ページへ送客するのは問題ありませんが、逆に楽天の店舗からTikTokへ誘導する設計は規約違反になりうるため、導線は「外部→楽天内」の向きで組む必要があります。
今すぐ検討すべき初動アクション
まず、自社商品がTikTok Shop向きかを見極めます。美容・コスメ、食品、雑貨、アパレルなど、使用シーンを30秒の動画で見せやすい商材は相性が良い傾向があります。次に、いきなり完璧な動画を狙わず、商品の使い方や開封を撮った短尺動画を週数本のペースで出し続ける体制を作ります。
そのうえで、自社で撮影が難しい場合はクリエイターとのアフィリエイト連携を検討します。米国ではTikTok Shop利用者の70%がクリエイター推奨商品を購入した経験があり、適切なクリエイターとの座組みが売上を大きく動かします。最後に、TikTok単体の売上だけで判断せず、楽天や自社ECを含めた全体の新規顧客獲得コストで効果を測ることが、過剰投資を避けるうえで重要です。
まとめ
TikTok Shopの中小売上66%増は、規模の小さい事業者でも発見型購買で新規顧客を取れることを示しています。日本のEC事業者は、既存のモール運用を維持しつつ、短尺動画とライブ配信を継続できる体制を小さく試し、チャネル横断の導線で全体最適を図る姿勢が求められます。
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
引用元: Modern Retail
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。