米国の老舗百貨店JCPenneyで、売上首位に立っているのがナショナルブランドではなく自社のプライベートブランド(PB)だという事実が報じられました。NikeやLevi’sといった有名ブランドを抑えて、自社アパレルブランドが全社1位になっているのです。値上げと節約志向が同時に進むいま、これは日本のEC事業者にとっても「PB(プライベートブランド)をどう武器にするか」を考え直す好機だと感じます。本記事では、何が起きたのかを整理したうえで、楽天市場・Amazon・Shopifyで自社商品を売る事業者が取るべき初動を3つの視点でまとめます。
何が起きたか:百貨店の看板を自社ブランドが奪った
流通専門メディアのModern Retailによると、JCPenneyの自社アパレルブランド「St. John’s Bay」が、ポートフォリオ全体で売上1位に立っています。同メディアは「その売れ行きは、NikeやLevi’sといったナショナルブランドを上回るほどだ」と伝えています。さらに、もう一つの自社ブランド「Liz Claiborne」も、アパレル・シューズ・ハンドバッグといったカテゴリを横断して見ると、女性向けの主力ブランドの一つになっているとのことです。
ナショナルブランドは集客の看板として機能する一方、利幅が薄く、同じ商品が他店でも買えるため価格競争に巻き込まれやすいという弱点があります。これに対してPBは、仕入れ構造を自社でコントロールできるため利益率を確保しやすく、その店でしか買えない独自性も生まれます。値上げ局面で消費者が「価格と品質のバランス」を厳しく見るようになったことが、品質を担保したPBへの支持につながっていると考えられます。
日本のEC事業者にとっての論点:PBは利益率と指名買いの源泉
この動きは、対岸の出来事ではありません。日本でもイオンの「トップバリュ」やニトリのように、PB比率を高めて利益を厚くする戦略は珍しくありません。EC事業者の文脈に落とすと、論点は大きく二つあります。
一つは利益率です。楽天市場やAmazonに他社と同じナショナル商品を並べるだけでは、価格とポイント還元の消耗戦になりがちです。自社で企画・調達するオリジナル商品(OEM・ODMを含む)を持てば、広告費やモール手数料を払ったうえでも利益が残る構造をつくれます。もう一つは指名買いです。「この店のこのブランドだから買う」という状態をつくれれば、検索順位や広告枠の奪い合いから一歩抜け出せます。これはShopifyなど自社ECとの相性が特に良く、楽天・Amazonで認知を取り、自社ECでブランドのファンを育てる二段構えが描けます。
JCPenneyの事例が示すのは、PBが「安かろう悪かろう」の代名詞だった時代は終わり、品質と独自性で主力になり得るという点です。ここは日本のEC事業者も見習いたいところだと考えます。
今後の展望と初動アクション
まず取り組みたいのは、自社の売れ筋データの棚卸しです。どのカテゴリで他社と価格が衝突しているかを洗い出し、そこをPB化の候補にします。次に、いきなり大ロットのOEMに踏み込むのではなく、既存の人気商品の周辺(消耗品・付属品・セット品)から小さく試すのが現実的です。さらに、商品ページではPBであることをマイナスに見せず、「自社開発だから実現できた価格と品質」という物語として打ち出すと、AIによる商品比較が進む検索環境でも独自性が伝わりやすくなります。
PB戦略は一朝一夕には立ち上がりませんが、利益率と指名買いという、モール依存から抜け出すための二つの果実を同時に狙える数少ない打ち手です。JCPenneyの売上1位という結果は、その有効性を裏づける具体例だと言えます。
まとめ
JCPenneyで自社PBが売上トップに立った事実は、PBが利益率と独自性を両立できる主力商材になり得ることを示しています。日本のEC事業者も、価格競争に消耗する前に、自社にしか出せない商品をどう育てるかを検討する価値があります。小さく試し、品質を物語として伝えることが、最初の一歩になります。
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引用元: Modern Retail
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。